使いたいときだけ料金を払って自転車を利用する「シェアサイクル」が便利だ。

▲最近街で見かけません?
僕は自転車を所有しているが、ちょくちょく利用している。
夕方から雨予報の日の通勤や、夜に飲み会がある日など……。控え目に言って、むちゃくちゃ便利だ。
シェアサイクル最大の利点は、借りた駐輪場とは別の駐輪場に返却できること。
このシステム何かに似てるな。スタート地点から移動しゴール地点に向かう、そしてゴール地点はそのままスタート地点にもなりうる……
あぁ! これ駅伝と同じだ!
スタート地点からランナーが走り、途中の中継所でまた別のランナーにタスキを渡す、まさに駅伝のシステムだ。
もしかしたら、シェアサイクルにタスキをかけて、駅伝のように自転車をリレーしていくと面白いのではないか。
これは総距離60km・11区間のコースを、シェアサイクル(ランナー)が10時間かけてタスキを繋いだ記録である。
シェアサイクル駅伝のコースを考える
レースにドラマを生むのはいつだってコースだ。箱根駅伝の5区山登りみたいに。
せっかく東京を回るので、行ったことない土地や名所を巡れるようコース案を作ってみた。

▲はとバスツアーくらい色々1日で見れそう。総距離50〜60kmと予想。
また今回は、東京でシェアサイクル事業を行う3社の自転車を繋ぐ。
利用するシェアサイクルは以下3社。

▲乗ってみての感想は現場からお伝えします
さぁ、コースも決まったし、あとは当日までエンジン(僕の体)が壊れぬよう過ごすのみだ。
シェアサイクル駅伝 レース当日
6月某日。時刻は朝6時。
閑散とした大手町駅で人知れず「第1回シェアサイクル駅伝競走大会」がその口火を切らんとしていた。

▲友人T。現在は無職でもヒモでもない立派な社会人
今回は筆者の他に、「人をダメにするソファ」を送りつけられ、その記録を1ヶ月間監視させられた元無職でヒモの友人Tが参加してくれた。
彼には「動きやすい恰好で朝イチから夕方まで予定を空けてほしい」とだけ伝えており、何も分らぬまま大手町に来ている。
毎度のことながら彼のフットワークの軽さ・ノリの良さは異常である。見習いたい。
さっそく簡単な趣旨をTに説明し、1区のスタート地点ドコモシェアサイクルのポート「永代通り」に向かう。

既に何台かのランナー(※レース中は自転車をランナーと呼びます)が待機している。

シェアサイクルの人気には、電動アシストが一役買っている。アシストがあることで普段自転車に乗らない人でも颯爽と風を切ることができる。
この駅伝でもランナーを選ぶ際に見るべきポイントはその日の体調(電動アシストの充電具合)だ。
電動アシスト付きの「ドコモシェアサイクル」と「ハローサイクリング」は、アプリで体調を確認できる。

この子に決めた。
ランナー自身にも使用方法が書いてあり、分かりやすい。
パスコードを入力するだけの簡単なお仕事です。

電動の残パワー表示がある。残り体力が分かるなんて……監督想いな機能だ。

記念撮影。まさに本日の主役です。
まずは箱根駅伝のスタート地点である「読売新聞東京本社」へ向かう。

読売新聞本社前。この像を見ていたら、いつの間にかゴールした達成感が生まれていた。
違う、違う! まだスタートしていないんだった。

時刻は6時20分。いざ、スタートです!
ドコモシェアサイクルでの目的地は「中野」。

自転車で東京走り回るって初めてだ。やっぱり都会を感じる。

▲筆者(写真左)と友人T(写真右)
靖国神社で。鳥居デカイな。写真撮ってくれた人に「YouTuberですか?」と聞かれる。
この時代、酔狂な行動をする人間はYouTuberに見られる。

良い路地〜。自転車だとふだん見えない東京の「良い」に出会えるのかも。

龍馬を発見しました。

店の窓にはたくさんのハイネケンが。開国してんなぁ。

▲友人T背中。広い背中だな~土台が違うよ、土台が!
2人とも交通ルールを遵守しつつ黙々走っている。会話のシェアはない。

明治神宮です。
色んな観光名所にも、自転車だと小回りがきいて行きやすい。

▲ランニングウォッチSuuntoの画面
現在7時半を少し回ったところ。ちなみにこの地点で約10km。おにぎり食べたり、靖国神社見てたわりには順調なペース。
日中は暑くなるから、涼しい朝の時間帯に進んでおかないと……!

原宿警察署近辺。
ここで初めてのタスキリレーを行います!

2区の中継所「THE SHARE 原宿」には、既に多くのランナーがウォーミングアップを終え、待っています。

悲しいかな、みんな調子が悪そう。
いやこれはただのデータ……走り出せばアドレナリンも出るし大丈夫!

ここでTYO1515→MNT1094へタスキが渡りました!
想像通り、これもの凄く駅伝っぽいぞ。

竹下通り。会う度に尿管結石の辛さを語ってたな……。
あっ、すいません、竹下通りと縁のない人生を送っていたので、大学時代の友人・竹下くんの飲み会鉄板エピソードを思い出してしまいました。

渋谷。僕は神奈川に住んでいるが、今回のチャリ旅で無意識的に都会を避けていたことを痛感する。
怖いもん、こんな大きいビル。

▲暗闇にうっすらランナー達が見える
2区のランナー・ミントちゃん(MNT1094)のブレーキ音がとんでもなくうるさいので、少々早めですが3区の中継所「富ヶ谷2丁目」へ。

自分の出番を今か今かと待つランナー達。
田舎の駅伝(人間版)だと、こんな感じで公民館の駐車場とかが中継所になってたりする。

おっ! ランナーが来たぞ!!! どこのチームだ!?

友人Tチームだ!!!

▲勢いよく駆け出す友人T
うわぁぁぁ、頑張れ!!!
……ね? 駅伝感出てません?

「中野駅」の表示が見えた! まだまだ足は大丈夫そう。

4区中継所の「Flat Share NAKANO Campus」に着きました。
ここで一旦、「ドコモシェアサイクル」のランナーは終了です。
みんなお疲れ様! 良い走りでした。

タスキを渡し終わったランナーを横目に走る筆者
ここ中野で、次のシェアサイクル事業者「ピッパ」へのタスキリレー。
同じ中野駅近辺だが「ドコモシェアサイクル」のポートから「ピッパ」のポートまでは、人間がタスキを繋ぐ。
走れー!!!

▲ランニングウォッチSuuntoの画面その2
3時間が経過し、現在20km弱。ここで3分の1くらいか。
久々に旅している感じが凄く楽しい。

中野駅前で。
余談だが、タスキがぱっと見「シェアサイクル」と読めず、「リサイクル」に熱心な地域ボランティアの人に見える。

そうこう(走行?)しているうちに、第5区中継所となる「ピッパ」のポート先「マキノハイツポート」に到着しました。
良かったーーー! ちゃんとランナーが2人います!
全てのポートでそうなのですが、あらかじめポートの自転車台数をアプリで確認しつつ向かうものの、直前で借りられてしまうとどうしようもないのです。
そのドキドキもこのシェアサイクル駅伝の魅力といって差し支えないでしょう!

ガマチャリ……? 忍者じゃじゃ丸……? 自転車に書いてある訳の分からないワードに我々の気分も高まる。
やるな、ピッパ。乗る前から気分を乗せてくれるなんて。
調べるとNintendo Switch用ゲームソフト『忍者じゃじゃ丸 コレクション』の発売を記念したコラボとのこと。
コラボ期間は2020年12月12日(土)となっていたが、2021年6月現在まだまだコラボ継続中。
全国のじゃじゃ丸ファンのみんなー! ピッパのポートへ急げ!

ピッパは会員登録後、QRコードをスキャンするとロックが開錠される。
名前の由来通り、ピッ!とすればパッと借りられる。
ちなみにピッパは24時間330円のデイパスという利用方法があり、これも凄くお買い得だ。

▲筆者(写真右)と友人T(写真中央)と山本太郎(写真左)
タスキをピッパのランナーに渡し、いざ出発です。
ドコモシェアサイクルの電動ですっかり甘やかられた分、電動ではないピッパの漕ぎ出しがキツいな。
おばあちゃん家で内緒で貰ってたお菓子が、母親にバレて急に貰えなくなったあの感じに似たキツさ。

ジョー……お前が燃え尽きるのも、僕らの旅が終わるのもまーだだよ。

▲風で飛ばされそうなタスキを必死で押さえる友人T
へぇー、これがサンプラザ中野くんさんを生んだ、中野サンプラザかぁ。

ここからはピッパ終点の赤羽駅を目指します。

「貼紙厳禁」言いつつ貼紙めちゃくちゃされてますやん。

シティーハンター冴羽獠……! かと思ったらヘアーハンターモリカワだった。

朝6時のスタートから約5時間半が経過し、時刻は11時30分前。
作戦は確実に「ガンガンいこうぜ」から「いのちをだいじに」へ切り替えている。
この日は晴れ間も多く、確実に二人の体力をじわじわ奪っていく。暑いよ~。
ちなみに「じゅもんをつかうな」で、ギブアップという魔法の呪文も封じています。

気分を変えるべく第6区中継所「清水町24-7ポート」へ。

▲自転車の声を聞く筆者(写真左)と座り心地を確認する友人T(写真右)
ピッパは電動ではないため、ランナーの体力がアプリで把握できない。
その分、それぞれが思い思いの方法でランナーを選んでいた。

第6区のランナーが決定。モルワイデ図法で描かれた地球とともに6区スタートです。

ピッパのベルは、グリップを回すタイプのベルだ。これならベル泥棒からの盗難の心配もない。
昔、サドルの代わりにブロッコリーが差し込まれていた事件があった。
いつ、ターゲットがベルになってもおかしくない昨今、これはありがたい。

やんごとなきお店。

ゆず大興奮の下り坂。ブレーキいっぱい握りしめてゆっくり、ゆっくり下ったよ。
この坂を下ると、「赤羽」は目と鼻の先です。

第7区中継所「JR赤羽駅前ポート(東口)」に到着。ここでピッパのランナーは終了です。
お疲れさまでした。ナイスランです!

▲ランニングウォッチSuuntoの画面その3
ピッパ終了時点で37キロ。折り返しを過ぎている。
しかし時刻は正午をすこし回ったところ。ここからが一番日差しがキツい時間帯。正念場……!

「ピッパ」のポートから「ハローサイクリング」のポートまでを人間が繋ぎます。
お腹が空いていたので、なか卯で親子丼と冷やしうどんのW炭水化物を決めてやりましたよ!
正直……けっこう疲れてます。僕は定期的に運動しているほうだが、6時間以上動き続ける経験はあまりない。
長くゆっくり走り続けられる人を改めて尊敬する。

第8区中継所「赤羽駅西口自転車駐車場」です。ここからは圧倒的ポート数を誇る「ハローサイクリング」に事業者が変わります。

ハローサイクリングも会員登録後に自転車を選択する。
またドコモシェアサイクル同様に、ランナーの残体力が分かる仕様になっている。

▲「写真撮ってもらえませんか?」を5回スルーされた筆者(写真右)と友人T(写真左)
赤羽駅前にて。写真撮ってくれた人に「YouTuberですか?」と聞かれる。
この時代、酔狂な行動をする人間はYouTuberに見られる(2回目)。

少し遠回りになりますが、足立区へ。荒川へ向かいます。

荒川沿い。この駅伝で一番気持ちよかった~。
好きなんです、こういう真っ直ぐな道。

荒川のラッキー区間を終え、浅草方面を目指す。
ラジオ体操って年中無休でやってるんだ!?
小学生の夏休み、みんなでデジモンバトルするためだけに地域のラジオ体操通ってたなぁ……。

▲通ってもいない真土小の思い出を語る友人T
ここでハローサイクリング間でのタスキリレー……第9区中継所「真土小思い出広場」です。

わっ! スカイツリー!
関東に出てきて10年余り……今日は間違いなく、これまでで最も東京の観光名所を見た日だ。

▲新米YouTuberになった2人
浅草花やしき前にて。写真撮ってくれた人に「YouTuberですか?」と聞かれる。
この時代、酔狂な……もういいや、「YouTuberです」と答えました。

太陽カンカン照りの14時過ぎ。疲れからか「村上すっぽんぽん」に見えました。

これはランナーへの給水ではありません。エンジンのメンテナンスです。
僕はもうミニストップに足を向けて寝ません。感謝がノンストップです。

第10区中継所「アパホテル上野広小路」に到着です。
この駅伝もだんだん終わりが見えてきた。ハローサイクリングありがとう!
意地の走り見せてもらったよ。
ここから徒歩で約300メートル錬成公園に移動し、アンカーのドコモシェアサイクルにタスキを繋ぎます。

▲筆者(瀕死)
お分かりいただけるだろうか……? これが体力の限界を迎えた男の顔である。

▲ランニングウォッチSuuntoの画面その4
もうゴールは目と鼻の先。あと4キロくらい楽勝でしょ…!って思う人。1回フルマラソン走ってみてよ。ラスト2kmがどんだけ長いかって。そんな気持ちです。

今こそ、このビル一杯のローヤルが欲しい。

第11区中継所「錬成公園」です。さぁ~ラスト!!!
錬成公園は最後の中継所にふさわしい、緑豊かで素敵なところでした。

▲筆者(から元気)
うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!
……思わず取り乱してしまいましたが、最終区間噛みしめて走ろう。

と思った矢先、ブレーキめちゃくちゃ掛けづらいな。こんな真下に向いていることある!?
さすが、アンカー。このくらい癖の強いランナーじゃないと、ゴールテープ切る資格はないってことね。

だんだんまたビルが多くなってきた。
もう少しでゴールです。
……そして歓喜の瞬間が訪れる。
11区間約60kmの長い長い旅路「第1回シェアサイクル駅伝」を制したのは………。
友人Tチームです。
わぁぁぁぁぁぁぁ!!! おめでとう!!! そしてありがとう!!!

▲友情出演:トイレットペーパー(ゴールテープ)
激闘を終えて
約60km・10時間弱のこの駅伝を、データとともに振り返る。
最終的なコース・各区間距離

各ランナーの区間記録

▲駅伝あるあるですが、区間記録の紙が貼り出されるのをみんなソワソワ待っている
最終区間までは見事なまでのデッドヒート。アンカーでこんなにも差がついたのは、ゴールしたと思い安心した電気とデニムが、自転車の返却手続きを忘れていたからだ。
箱根駅伝でもアンカーがゴール120メートル前でコースを間違う珍事があったが、それ以上の失態だ。
シェアサイクル3事業者を乗ってみた比較

もうひと声な点も生意気ながら書かせてもらったが、どの自転車も乗っていて楽しかった。
自チームのランナーだと思うと、1台の自転車に対して愛が生まれることはシェアサイクル駅伝の最大の魅力かも。
総額でかかったお金は2,490円。10時間遊んで1回の飲み会代くらいの金額しか掛からない。これは、流行るな……。



以上をもちまして「第1回シェアサイクル駅伝競走大会」を終了したいと思います。
それでは皆さま「第2回シェアサイクル駅伝競走大会」にてお会いできることを大会関係者一同楽しみにしております!!!
*なお参加希望チーム多数の場合は立川周辺で予選会を行う場合がございます。ご了承ください。
(執筆:電気とデニム)