木だ。
木の板がある。
以前、100円均一店に行ったとき、目に入ったのでつい買ってしまった。木なんて売ってるのかと。
そして店内をうろついていると、こんな商品も見つけた。
彫刻刀だ。
木の板と彫刻刀。この2つを見たとき、僕の頭には一つのアイデアが浮かんだ。
あ、そうだ。
彫刻をほろう。
木塊を作る
さっそく彫刻をほっていきましょう。なお僕はいままで一度も彫刻をほったことがありません。
若干の不安はありますが、脳内には完璧なビジョンが見えています。いまから完成が楽しみです。
彫刻をほるといっても、板のままではほるのに十分な厚さがありませんね。
なのでまずは木工用ボンドで木の板をくっつけて、ひとまとまりの木塊にしましょう。
一面にボンドを塗りたくりました。フランクフルトにかけるマスタードみたいな塗り方ですね。
一度に大量のボンドを出してしまったので、強烈な匂いで一瞬(死ぬかな?)と思いましたが、換気をしたら大丈夫でした。換気は命のお母さん。
こんな感じで4枚の木の板をくっつけていきます。
くっつけた木は、乾くまでしっかりと固定しましょう。
木塊ができました。
これで敵を殴ったら倒せそうですね。
下書きを描く
彫刻を彫りやすいように、モチーフの輪郭などを木塊に描き込んでいきましょう。
今回、彫刻のモチーフはダビデ像にしたいと思います。
なんでダビデ像?と思ったかもしれませが、理由は簡単です。
「彫刻」という言葉で一番最初に思いついたのがダビデ像だったから。彫刻界のデファクトスタンダードです。それと単純にかっこいい。
それでは、木にダビデ像の下書きをしていきましょう。芯が柔らかい鉛筆を使うと描きやすいらしいです。
下描きについては、インターネットで見つけた沢山のダビデ像の画像を参考にします。インターネットって便利ですね。
できました。
これは後で気付いたことですが、どうせ削ってしまうのでわざわざ輪郭以外は描く必要はなかったかもしれません。
木を彫っていく
下準備に時間がかかってしまいましたが、ようやく木に刃を入れることが出来ます。
ふだんの生活で率先してピザやホールケーキを切ってきた僕にとっては、ここからが一番楽しいところです。
僕は彫刻刀にあまり詳しくないのですが、とりあえずこの「三角刀」というもので削っていきます。尖ってて一番かっこいい。
ただ、100均の安い彫刻刀なので、きちんと削れるかやや不安です。
では削っていきます。
これだけ彫ることが出来ました。
クッソ時間かかる。
道具も100均の彫刻刀しかなく、彫刻の経験もまったくありません。
10時間であれだけということは、パッと見の単純計算で300時間ぐらいかかりそうです。受験勉強かよ。
さすがのダビデさんも待ちくたびれていると思います。
すみません。
流石にこのままでは時間がかかるので、追加の道具を買ってきました。
糸ノコです。彫刻刀よりかなりでかいです。これで作業もスピードアップしますね。
しかし、作業が早くなったからと言って、油断はできません。
スピードが速くなったあまり、削ってはいけない部分まで削らないようにしたいです。
失敗をしないことを第一に、慎重に木を削っていきます。
こんな感じになりました。けっこう人っぽい輪郭になってきたと思います。糸ノコで切ったから表面が凸凹してる。
ですが大変なのはここからです。ポージングや筋肉のふくらみなど、細かいところを意識して作業しなくてはいけません。
いままでは雑な削り方をしたとしても、作品として残る部分ではなかったので良かったですが、ここからは【芯】の部分を削ることになります。
つまり、一つの失敗が命取りです。
いままで以上に緊張する。誰かドクターXを呼んで来てくれ。
さらに彫り進めていく
一度彫ったらやり直しがきかない。初めて彫刻をやる僕にとってはとてつもない緊張感です。
なので一度作業を中断します。
別に早く完成させなければいけないわけではありません。何よりも大切なことは、取り返しのつかない失敗をしないことです。
というわけでパンケーキを食べに来ました。甘いものを食べると緊張も紛らわせますね。
パンケーキはめちゃくちゃおいしかったですが、フワフワ過ぎて(無を食べているのかな?)とも思いました。
あと、彫刻はぜんぜん刃が入らなかったのに、パンケーキは無抵抗で刃が入ったので柔らかさのギャップで脳がバグりかけました。
ごちそうさま。
パンケーキを食べて休憩した後、ここまで削ることが出来ました。
ようやく人の体っぽくなってきましたね。
ちなみにこれは、削った時に出た木くずです。
もったいないのでこれで燻製でも作ろうかと思いましたが、ボンドの成分が怖すぎたのでやめておきました。
ここまで来たら完成まであとちょっとです。
机も削ってしまわないかひやひやしながら作業を進めること、数日……。
こうなって
こうなって
こうなりました。
えっ、結構ダビデ像っぽくないですか?!
初めての彫刻でここまでできたのはちょっとすごすぎるな。ミケランジェロさん、僕をスカウトしませんか?
ここでチェックタイム
ここまで順調に掘り進めていますが、そもそもこれはどれぐらい精密に彫れているのでしょうか?
僕は素人かつ自己流で作っています。ダビデ像の画像を見ながら、「ここはこんな感じかな~」と彫り進めてました。
なので見誤りで、形が正確に彫れていないかもしれません。
ここで一度チェックしましょう。
チェックの仕方は、「作った彫刻」と「ダビデ像の輪郭の画像」を重ねるだけです。
まずは正面から。
少しずれはありますが、まあこれぐらいは許容範囲でしょう。素人にしては上出来です。
次は右側です。
あ。
足のここの部分、ズレすぎでは!?
てかここ、なに???
どうやら右足の後ろにある装飾を、誤って削ってしまったようです。
てか本当になにこれ???
え~~~。失敗しないように慎重にやったのに。
もう全部燃やしちゃおうかな。
でもちょっと待って! 何とかなりそうです。
これはダビデ像を作るときに出た、木の切れ端です。
それをこのように、足の装飾の形に切り取ります。
何とかなりました。
そしてついに……
ダビデ像の完成です!
けっこう上手にできたと思います。というかこれ以上は僕の実力では不可能です。
木でできたダビデ像は見たことがないので、なんかいいですね。
部屋でひとり小躍りしちゃうぐらいにはテンションが上がっています。
股間のところはどうしようかと思いましたが、リアルに彫らずにデフォルメしときました。
さすがにインターネットで自分の股間が映るのは、ダビデさんも恥ずかしいと思うのでね。
ダビデさんもありがとうと言っていると思います。
どういたしまして。
これでいつでもダビデ像を拝むことが出来ます。
彫刻を彫るのは初めてのことで、合計40時間ぐらいかかってしまいましたがけっこう楽しかったです。
もっと小さい角材とかを買えば、誰でも木彫りの彫刻を作れると思うので、気になるひとはやってみてください。
あと、彫刻刀はちゃんとしたやつを買ったほうがいいです。
普通にぶっ壊れるので。
(執筆:TEAMラゲシマ)