土地勘のない街をぶらついたら、「世界一の商店街」をみつけた。
場所は東京都品川区豊町の「ゆたか通り」。中延駅から戸越公園駅まで向かう道の途中にある、一本道の商店街だ。
2019年6月時点では、Wikipediaにすら載っていない超ローカル情報である。今回はこちらを紹介していく。
「世界一の商店街」とは

▲戸越公園駅のマップ
世界一の商店街は、品川区・戸越公園駅近くの「ゆたか通り」。
戸越公園駅のマップからみる、この絶妙なローカルさ。赤い太線のところが商店街。このさほど長くない一本道に、世界一が詰まっている。
何が世界一かというと、約30本ある街路灯に「世界一の〇〇」という豆知識がびっしり貼ってあるのだ。広告や張り紙など一切なし。清潔さを保っていて、大切にされている感じがうかがえる。
まずは、軽いジャブからいってみよう。

▲世界一の身長(ロバート・ワドローさん:2m72cm)
日常的にあまり身近でない数字ってありますよね。「世界一の身長がどれくらいか?」とか。
世界一の身長をもつのはロバート・ワドローさんで、2m27cm。ギネスブックにも認定されているらしい。それが実際どれくらいの高さなのか、街路灯にラインが記されている。

▲モンスターボックス世界記録(大山大和さん:3m16cm)
「モンスターボックス世界記録」なんてものもある。なにかと思えば、20段以上ある巨大な跳び箱のことらしい。体育の種目にしれっと書いてみたい名前である。

▲世界最大の家畜牛(体高1m93cm)
世界最大の家畜牛、体高1m93cm。
街路灯が約30本と限りがあるので、きっとピックアップするものにも議論がなされたとおもうのだけど、人類の枠を飛び越えてきたかー。日本の牛より、基本的にカナダのほうがデカいようだ。

▲バスケットボールリングの高さ(3m05cm)
お次は「バスケットボールリングの高さ」、3m05cm。
……あれ? 世界一の話じゃなくね?

▲ホッケースティックの長さ(約90cm)
ホッケースティックの長さ、約90cm。
ここにきて数値がアバウト。しかも別に世界一とかぜんぜん関係なくなっている。
でも東京2020オリンピックを見据えてるのがニクいし、品川区ホッケー応援キャラクター「シナカモン」がかわいいのでOK。好き。

▲ビーチバレーボールのネットの高さ(男子2m43cm、女子2m24cm)
ビーチバレーボールのネットの高さ。
さっき似たようなのあったな?? 品川区ビーチバレーボール応援キャラクター「ビーチュウ」のうるうる目に免じてスルーすると思った??
うん、君の完全勝利だよ、もう。耳なんだろうけど、2つのだんご頭がこんなデザインなの、ほんとくやしい。マネしたい(わたしにはキツい)。

▲世界の高い山TOP3(エベレスト8848m、ゴドウィンオースチン8611m、カンチェンジュンガ8586m)
さっきまで世界一関係なかったのに、急にものすごく王道感のある世界一シリーズに戻って一瞬ひるんだ。

▲走り幅跳び世界記録(マイク・パウエル:8m95cm)
走り幅跳び世界記録保持者のマイク・パウエルさんに注目すべきなのだろうが、黄色いTシャツを着たゴリラがいるカフェがおしゃれすぎて気になる。

▲世界一の動物種(シロナガスクジラ:約34m)
世界一の動物種であるシロナガスクジラは、11,12階建てのビルの高さがあるらしい。後ろの「男前サロン計画」が気になるが、そこへの言及はぐっと堪える。
街路灯の上に佇む謎のキャラクター
すでにみなさんお気づきだろうが、この商店街には「謎のキャラクター」がいる。
このキャラクター、実は街路灯の上にも立っているのだ。

▲気づいたからこそ写せる風景であって、うつむきがちにスマホ片手に歩いてたらまず発見不可能
街路灯の上にたたずむ、二人の男女。

▲初代ビックリマンのヤマト王子を一瞬おもいだす。画像検索したらまったく違った
「ご当地ゆるキャラ的な存在なのだろうな」というのはすぐに思い付く。そのため、商店街の玄関にこうやって飾ってアピールしているのだと。
……でもね、聞いてください。何か様子がおかしいんですよ。

▲道路の向かいにいた、赤い袴に白い小袖の女の子。コスチュームの配色的に、巫女(みこ)かな
もはや「少年少女が宙に浮いているのが奇妙」とか、「現地で見るとデカすぎてびびる」とか、そういった序盤にくる驚きはとっくに通り越しているんです、わたし。
いいですか、もう一度、同じ写真を貼りますよ。よく見てください。

▲よく見ると、奥の方までズラッと人形が並んでいる
ゆたか通り商店街にある街路灯およそ30本すべてに、けっこうデカめな男女の人形が乗っているんです。
しかも何種類かポーズがあるようで。

▲対面位置
街灯路のてっぺんから通行者の足元を照らす、ご対面の位置関係。
上を見ると人形いっぱいおるけど、見慣れてくると平気になるよね。

▲そういえば、男の子の方だけコスチュームの色が毎回違う?
彼らが降臨する瞬間(設置現場)をナマで見てみたかったなあ。

▲壁を凝視する男の子
エッ、あっ、うん。ケンカ中なのかな? 男の子がそっぽを向いている。そんな時もあるよね……。

▲街路灯の上で倒れる二人
これに関しては本当にどうしたんだ。

▲ゆたか通りにあった商店街(スマホだと文字読みづらいですね)
「この少年少女がいったいどんな人物なのか?」「由来は?」と気になるところだが、ゆたか通り商店街にあったのは、この看板だけ。
ざっくりまとめると、「昔、村人たちは夜の暗さにおびえて暮らしていた。ある満月の夜、世衣良姫(せいらひめ)が大原不動の前で念じると、月より光を持った双子であるOh君とはらちゃまが現れた。そして空高く舞い上がり、豊かな光をふりまいた」ということらしい。
住人のアイデアと投票で成り立った感のある名前。大昔の伝説なのか、現代の創作なのかよく分からない。

▲双子の出世を記す「ゆたか」にあった大原不動は実在している。
街路灯の上にあっちこっちいるけれど、プライベートな面には謎がある。アイドル的な立ち位置にいるような気もしなくはない。
まあ細かいことはおいといて、「かわいらしくてなんか見ちゃう」のでセーフです。
まとめ
……さて、いかがでしたか?(お決まり)
今回ご紹介した世界一は、ほんの一部。約30本の街路灯すべてに何かしら書かれているからね。
都内にお住まいのかたで、品川区にある中延駅~戸越公園駅あたりをぶらつけそうな人がいたら、じゃんじゃん立ち止まってきてほしいです。Oh君とはらちゃまも、可愛いんでぜひ見ていってください。
(おわり)
読了おめでとう!次はこちらの記事をどうぞ!