ダンスバトル。
DJが選曲した音楽に合わせてダンサーが互いに即興で踊り、勝敗を決するアレ。元々はストリートダンスの世界で行われていたけど、最近はアニソン界隈とかでも盛んらしい。
ただ、ダンスバトルって、どうしても敷居が高いのよね……。
ダンスバトルに出てくる人は、だいたいみんなダンスめっちゃ上手い。そりゃそうか、自分のダンスに自信があるからダンスバトル出てくるんだもんな。
ダンス始めたての人や、自分のダンスに自信のない人は尻込みしちゃうよね。
でもさ。ダンスバトルの醍醐味って、ただダンススキルを見せつけて、相手に勝つことだけじゃないと思うんだよね。
ピリピリした空気の下、みんなが注目する中でダンスする快感。ゾクゾクしちゃうよね。そんでもって会場を沸かせるようなムーヴやったら、そりゃもう絶頂モンですわ。エクスタシぃ。
あの快感を、みんなにもっと知ってほしい。ダンサーだけじゃなく、もっともっといろんな人に。
というわけで開催しました!! ダンスやったことない人限定ダンスバトル『第一回シロウトダンスバトル World Championship』!!
今回はダンス経験者は参加禁止にした。敷居を極限まで下げることに挑戦である。
あと参加者を募る時、「いやいやいや!私ダンスできないから!!」って断られたとしても、「いや、これダンスできる人はそもそも参加禁止なんで!」って切り返せる。相手の退路を断つ効果があるのだ(悪質な手口)。
ちなみにWorld Championship(世界大会)なので、ここで優勝したら世界一の称号が得られるぞ。言ったもん勝ちだ。
バトル参加者は8名のみに限定したため、たとえ一回戦負けしても世界ランクBEST8。世界ランカーの大バーゲンセールだ。
審査員には以下の3名をアサインした。
ちょっとだけ経歴に偏りがある気がしなくもないが、これでいいのだ。ダンス経験の深い人でも浅い人でも、誰もがカッコいいと思うダンスが一番カッコいいのだ。これは”あえて”の人選なのだ。
そして、”カッコいいダンス”にダンス歴は一切関係ない。パッション……情熱が大事なのだ!シロウトならではの、スキルなんて全部無視した、ひたすらに情熱的なダンスを見せてくれ!!
シロウトダンスバトル 当日
そんなわけで当日。
シロウトダンスバトルの参加者を募集しはじめたのは、開催当日の4日前。準備不足にも程がある。ダンスバトル前日になっても参加者が4人しかいないという状況だったが、飛び入りも含めてなんだかんだで8人集まった。
ちなみに今回は、『#平成最後の夏を止める』というフラッシュモブイベントのアフターパーティの一部を間借りして開催させてもらった。間借りイベントの開催を快諾してくれた、主催者のモトゥーケあさひさんと占い師アキさんには圧倒的感謝だ。二人ともクセの強い名前だなおい。
また素人限定ということで、なるべく非ダンサーにも馴染み深めな曲を多く流した。
一回戦 第一試合
さっそくシロウトダンスバトルの様子を振り返ってみよう。一回戦 第一試合には主催者のモトゥーケさんも参加してくれた。
お互いにダンス経験はないなりに、自分なりのダンスをフィーリング全開で踊ってくれた。正直にいってめちゃめちゃなダンスだが、それで良いのだ。ダンスのスキルは一切問わない。感情の思うままに全力で踊る。これ以上に熱狂的なダンスがあろうか。
ボクは当日はDJをしていたのだが、もうDJそっちのけでバトルフィールドで繰り広げられるダンスに夢中になっていた。いや、DJはちゃんとしたけどね。
試合後は互いに握手。ダンス経験がなくとも、本気で踊りあった者同士、友情が芽生えるのだ。ダンスバトルでは戦友(ライバル)が生まれる。
そしてお互いを称え合うオーディエンス。ちなみに観客の大半もダンス未経験者だ。写真ではわかりにくいかもしれないが、観客もみな笑顔。シロウトダンスバトルの場に苦悶や疑念の表情を浮かべるものはいない。その意味では、一般的なダンスバトルよりも幸せに満ちた場ではなかろうか。
一回戦 第二試合
一回戦 第二試合では、CRAZY STUDYライターのざわくん(写真左)も出場してくれた。
ダンスと呼べるダンスはほぼ一切行わず、威圧的なウォークと眼光で相手を威嚇するという斬新すぎるダンスだった。ダンスってなんだっけ。でもそれで良いのだ、ダンス未経験者限定のダンスバトルなのだから。
ちなみにこの試合はざわくんが勝った。ダンスしてないのに。
一回戦 第三試合
一回戦 第三試合には、どこかのT.M.でレボリューションしながらHOT LIMITしそうな人が出場してきた。めちゃめちゃ気合い入ってんなおい。
全身黒ガムテープで出場してきたタカユキさんは、デューク更家のウォーキングというとても懐かしいダンス(?)で相手を翻弄する。「そこはHOT LIMITじゃないのか」とも思ったが、細かいことは気にしない。
対するさんしちさんは、ただひたすら限界までわちゃわちゃしながら暴れ続けるという破天荒なダンスを披露してくれた。破天荒すぎてカメラではうまく納められず、タカユキさんに取り憑いた悪霊みたいになってしまった。
デューク更家の妖艶なウォークと、暴れ牛の破壊的ムーブ。これらを比較してジャッジする審判は本当に困っていた。シロウトダンスバトルは、審査員が一番大変かもしれない。今度ビールでも奢っておこう。
一回戦 第四試合
一回戦 第三試合には、便器を持ったドラえもんが現れた。さっきの全身黒ガムテープといい、何なんだこのイベントは。ハロウィンはまだ早いぞ。
もはやどこから突っ込んだらいいか分からないが、とりあえず便器をかぶったドラえもんがブレイクダンス(っぽいもの)をしはじめた。もうダンスうんぬんを語る前に、前衛アートすぎてカオスがパンデミックを起こしている。
オーディエンスはみな、とにかく爆笑していた。みんなが笑顔ならカオスでもいいか、もう。
ドラえもんのブレイクダンス(っぽいもの)に対抗して、対戦相手もブレイクダンス(っぽいもの)で応戦する。お二人とも30代だったと記憶しているが、ここまで自分をさらけ出せる30代はなかなかいないだろう。最高にカッコいい。
決勝戦
決勝戦はななのりさん(写真左)とさんしちさん(写真右)。ちなみにななのりさんは飛び入りでの参加である。飛び入りでも決勝まで上りつめてしまうあたり、シロウトダンスバトルの敷居レベルの低さがお分かりであろう。
親指直角版メロイックサインで相手を威嚇するさんしちさん。対するななのりさんは拳を強く握りしめ、力強い男性像をアピール。さすがに決勝戦まで上がってきた人は、素人とはいえ風格が違うようだ。
先攻はさんしちさん。暴れ牛のごとく感情全開で踊るため、一回戦に引き続き全くカメラに映らない。ダンサー界隈にもなかなかいない、フィーリングの化身である。
感情がたかぶりすぎた結果、さんしちさんは床にぶっ倒れてフィニッシュ。ダンスを踊ってエクスタシー。これぞダンスの醍醐味だし、ダンスバトルの真骨頂だ。素人だけのダンスバトルでこれが見れたのは本当によかった。
続くななのりさんは、真剣な表情で軽快なステップを踏む。じつは彼はダンス未経験なものの、DANCERUSH STARDOMなどのゲーセン筐体ゲームをたびたびプレイするらしい。だがもちろん、このような場でダンスバトルをするのは初めてだ。
緊張と解放が交錯し、熱狂的でスタイリッシュなダンスを生み出す。そこにダンス経験は1ミリも関係ないのだ。
ーーーさあ、結果発表である。正直、どちらが勝ってもおかしくない。
今回の勝者は……?
勝者!!ななのりさん!!!
審査員の票は2対1で割れていたのだが、30秒にもおよぶ協議の末、ななのりさんに軍配が上がった。会場からはお互いを讃える盛大な拍手が送られた。ここにシロウトダンスバトルの初代世界チャンピオンが生まれたのである。
あと世界ランカーも8人生まれた。
まとめ
このイベントでは、争いや憎しみは一切生まれない。勝手も負けても、お互いのダンスを称え合う環境が作れたのは本当に良かったと思う。
見てよ、上の写真。こんな青春、他にありますか???
シロウトダンスバトル終了後は、みんなでめちゃめちゃに踊りまくった。ここではダンスバトルに参加しなかった人も加わって、わっちゃわちゃになった。なんだよ、みんな踊りたかったんじゃねぇか!
バトル後に「私も参加すればよかった」という声をもらった時は、このイベントを開いて本当に良かったと心から思った。ありきたりかもしれないが、その言葉だけで主催者はとても嬉しいのだ。
ダンスバトルは、ダンサーだけのものじゃない。素人でも楽しめる、万能コンテンツなのだ。
ただし、ふたつだけ懸念点があった。
ひとつめは、シロウトダンスバトルの審査はめちゃめちゃ大変だということだ。全然違うスタイルのダンス(的な何か)が交互に披露されるので、審査基準を設けるのが難しい。審査員が疲弊するイベントである。
ふたつめは、いかに素人をダンスバトルに参加させるかだ。ダンスをやったことない人にいきなりダンスバトルをさせるのは結構難しい。実際に、今回は参加者集めがまあまあ難航した(準備が遅かったというのもあるが)。
もし第二回を開催するなら、いろいろ改善策を考えなきゃだなあ。
……オチはないよ!! 今回はここまで!! 読了ありがとうございました!!!
(おわり)
一部写真提供:q
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