先日、こんなやりとりをみました。
初心者ライター
「駆け出しなのですが、どんな記事を書いたらいいですか?」先輩ライター
「そうですね、ライターとして稼ぐためには、稼げるジャンルを選びましょう」初心者ライター
「どんなジャンルが稼げますか?」先輩ライター
「そうですねえ……いまキテるのはNFT関係ですかね。仮想通貨もまだまだ高単価なお仕事多いですよ。あとは手堅い転職系やスクール系、金融系、脱毛、育毛、メンズコスメあたりもおすすめです」初心者ライター
「わかりました! まずはNFTの案件からやってみます!」
意訳も含まれますが、だいたいこんな感じ。これをみたとき、言い知れない胸苦しさを覚えました。
稼げるジャンル至上主義
「稼げるから」という理由で、ホットな領域に着手する初心者ライターをたびたびみてきました。
ライターとして食っていくからには、もちろんお金は大事です。収益性の高い仕事を選ぶのは、生存戦略として当たりまえのことだと思います。とくにNFTなどはまだまだブルーオーシャンなので、いまから攻めておくのは間違いない選択肢です。
ただ今回のケースにおいて、問題はそこではありません。
何も知らない初心者ライターが、「稼げる」の3文字だけでジャンルを決めてしまうのは少しもったいないと感じてしまうのです。
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知り合いに「マイコン(マイクロコントローラ)」に特化したブログを運営している人がいます。最新のマイコン情報から、人気のマイコンの比較や組み込み方法まで、マイコンにまつわることなら片っ端から取り上げているブログです。彼自身もプログラマーで、日々マイコンをいじってはちょっとしたガジェットを作っているそうです。
自分はライター・編集者歴5年目ですが、プログラミングはできませんし、当然マイコンにも詳しくありません。基礎知識がゼロなので、すくなくとも「マイコン」というジャンルでは、彼には絶対に勝てないでしょう。
これは贅沢な願いかもしれませんが、初心者ライターこそ、そういうジャンルを見つけてほしいなと思ってしまうんです。初心者なので、取材力・執筆力・構成力などはきっとプロには及ばないでしょうが、プロに勝てる部分はあります。
それは「これまでの経験と知識」です。
もしあなたがスタバの店員をやっていたなら、スタバ店員だけが知ってるおすすめカスタマイズや注文方法について熱い記事を書いてみましょう。たとえ文章がめちゃめちゃでも、一般の読者には大きな価値があるはずです。
あなたが専業主婦・主夫なら、家事や子育てのテクニックを書くのも良いでしょう。専業主婦・主夫は家庭のプロです。ほとんどのサラリーマンは敵いません。
自分の得意分野についての記事は、まったく知らないジャンルの記事を書くよりも筆が軽く、楽しく書けるんじゃないかなと思います。そして得意分野の記事を書き続けることで、執筆・構成・取材スキルも高まり、他のジャンルでも応用のきくスキルが身につくはずです。
「稼げるジャンル」は稼げない
そういった、自分のこれまでの知識や経験をすべてすっ飛ばして、ただ「稼げる」ジャンルの記事を書くのは少しもったいないかなと思うのです。
お金がたくさん動く、稼げるジャンルはたしかにあります。ライター報酬が比較的高い業界もあります。ただし、稼げるところにはもちろん競合もたくさんいますし、それこそ初心者がとうてい敵わないプロフェッショナルがうようよいます。
そのような状況下において、稼げるジャンルで、稼げる案件に、最初からありつける初心者ライターは、果たしてどのくらいいるでしょうか?
「稼げるジャンルはライバルが強すぎて稼げない」のも、また真理なのです。
もっとも理想的なのは、「自分の知識や経験」と「稼げるジャンル」がうまく噛み合うポイントを見つけること。
たとえば就職活動がうまくいかず、いろんな手を打ってなんとか仕事にありつけた人なら、その経験は人材業界のコンテンツとして役にたつかもしれません。人材業界は比較的大きなお金が動くジャンルなので、食いぶちは十分にあります。競合が多いジャンルでも、知識や経験があれば、ライバルたちに差をつけられます。
自分が強者になれる、自分だからこそ稼げるジャンルを掘り起こすのが、稼げるライターになる近道かもしれませんよ。
(執筆:じきるう)
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