こんにちは。ライターの大塚たくまです。
ぼくは数多くのインタビューを行っているライターです。
一般のビジネスマンに取材をすることも多くあります。
取材を受け慣れていている方であれば、こちらから質問に工夫しなくても、面白い話がどんどん出てきます。
しかし、一般の方へのインタビューではそうでないことのほうが多いのが実情です。
ぼくはそのようなインタビューで、まだ誰も掘り起こしていない「面白い話」を引き出すのが好きです。
この記事では、ぼくが一般の方へのインタビュー記事を面白くするうえで重要だと感じているテクニックを6つご紹介します。
インタビューを面白くできるかどうかは、インタビュアーの力量にかかっています。
参考にしてもらえたら嬉しいです。
インタビューのコツ① 発信済みの内容は質問しない
インタビューの準備の中でもっとも重要なのが、下調べです。
「どこを掘ると面白いだろうか?」と考えながら調べます。
一般の方でも、自身のビジネスに関するWebサイトを持っていることは多くあります。
サイトに掲載されている基本情報はできるだけチェックしておきましょう。
過去の新聞記事やWeb記事などにも目を通しておくとよいです。
見落としがちなのが、YouTube。
一般の方でもオンラインイベントなどに登壇して、YouTubeにアーカイブが残っている場合などが多くあります。
ぜひチェックしておきましょう。
インタビューの時間は限られています。
過去すでに語られていることを繰り返し聞くのは、すこしもったいないですよね。
過去の発信で出ている情報を前提に、質問を構築するのがおすすめです。
過去の発信は必ずしも完全ではありません。
「事実」はあるけど「理由」がない。「理由」はあるけど「エピソード」がない。
そんなことが、多くあります。
過去の発信をベースに、誰も掘っていない面白そうな切り口を見つけ、質問内容に加えましょう。
新しいインタビューでなければ聞けない情報を聞くことこそが、時間をとってインタビューに答えてもらう意味です。
インタビューのコツ② 事前に質問を送る
「事前に質問を送るべきか?」と、ぼく自身もよく尋ねられます。
一般の方へのインタビューに限定して言えば、事前に質問を送るべきです。
なぜなら「先方は話し慣れているわけじゃない」のと、「インタビューの時間は限られている」からです。
話し慣れていない人は、事前に質問を送ってもらえることで、インタビューでどんな話をすればいいのかイメージができます。
また、その質問内容でインタビュアーがどれだけ、このインタビューへのモチベーションが高いかを判断してくれます。
下準備の跡が見える質問内容だと「こんなに真剣に向き合っている」と喜んでくれるのです。
先方のインタビューへのモチベーションが上がり、前のめりになってくれるだけでも大きなプラスです。
事前に質問を送らずに起こってしまう一番悲しい出来事は、「そんな質問をするなら、先に言ってくれたら準備したのに……」と言われてしまうことです。
質問を事前に送れば、先方が回答を整理して準備してくれていたり、より話が盛り上がるよう資料を準備してくれたりすることもあります。
そのような先方との連携が、面白い記事へと繋がるのです。
インタビューのコツ③ よく笑いよく反応する
いきなりシンプルですみません。
それぞれのコミュニケーションのやり方があるので一概には言えませんが、やっぱりリアクションは大切です。
とくに「笑顔」にはマジックがあります。
インタビュアーがずっと笑って話していると、先方が安心してくれて、だんだん笑顔が見えるようになるのです。
とはいえ、不自然なニコニコではよくないのが難しいところ。
全力で話を聞いて、全力で反応するようにしてください。
話を盛り上げるのは、素直なリアクションです。
イメージは「まっすぐで素直な後輩」。
ちょっぴり目をキラキラさせて、尊敬する先輩の話をわくわく聞くスタンス。
先方もリラックスして、気持ちよく話せます。
インタビューのコツ④ 現在→過去→未来が基本
インタビューでおすすめの質問の流れは「現在→過去→未来」です。
この順番で行うことで、話を整理しやすいと思います。
まずは現在、何をしているかを聞きます。
これは今やっていることなので、思い出すストレスがなく、答えやすい質問です。
その後で「なぜ現在があるのか」という切り口から、過去を掘っていきます。
そして、過去から現在までが見えてきたら未来について聞きましょう。
これは記事の構成でも使いやすい、基本のストーリー展開です。
「現在」のターンで読者に主人公が何者なのかを示し、「過去」を振り返り、「未来」の展望を語る。
すっきりとわかりやすい構成になります。
ただ、これはあくまで「基本」です。
この「基本」を軸に置いた上で、各インタビューに応じてずらしてみてください。
インタビュー内容や、想定する読者層によって適切な構成は異なります。
基本を理解した上で、どう質問を構築するかを考えるのも楽しいところです。
インタビューのコツ⑤ 追い質問で深掘りをする
基本的に、インタビューにおける相手の答えは不十分であり、追い質問が必要と考えましょう。
「事実」はあるけど「理由」がなかったり、「理由」はあるけど「エピソード」がなかったり……ということがよくあります。
そんな話をどんどん引き出して、深掘りしていきましょう。
気をつけてほしいのが、インタビュー中に「なんで?」と思ったことは、絶対に放置しないこと。
インタビュアーが「なんで?」と思ったことは、確実に読者も「なんで?」と思います。
自分が読者の代表になったつもりで質問するマインドが大切です。
読者が「意外だ!」と思いそうな答えが出てきたときは、そのリアクションを素直に伝えて記事に落とし込みましょう。
たとえば、チェーン店のうどん屋なのに「各店で製麺している」と言われたら、「えっ、そうなんですか! 仕入れていると思っている人も多いのでは?」とわざと言うのです。
すると「天候によって麺の出来は変わるので、仕入れでは管理できないんです」とか、一般的な意見に対する反論を具体的にもらえることもあります。
そこに読者が「面白い」と感じる内容が潜んでいることも多いのです。
インタビューの現場で読者を憑依させたリアクションや質問を行うことで、記事に臨場感が出てきます。
「臨場感」は、なかなか全部読んでもらえないWeb記事において「思わず読んでしまう」ことにつながる重要なポイントです。
ぜひ勇気を出して、素直なリアクションをとってみてください。
インタビューのコツ⑥ 編集で会話のテンポをよくする
Web記事に限った話になりますが、スマホだと一文が長いと読みにくくなります。
長文がダラダラ続くと、文字がスマホの画面いっぱいになってしまい、読むのがストレスに感じてしまうわけです。
すでに関心の高い著名人のインタビュー(大谷選手とか)なら、それでも読んじゃいますが、一般の方だと読むストレスを与えながら、興味を持続させるのは難しい。
長文を防ぐコツは「一回答 一意図」に編集することです。
たとえば、以下のような回答があったとします。
ーー 朝ごはんは何を食べましたか?
先方:朝ごはんはパンと味噌汁を食べました。パンに明太子バターを塗るのが好きで、それと味噌汁が意外と合うんですよ。すっかりハマっちゃいまして。味噌汁はインスタント味噌汁で十分でね、最近のインスタントはけっこう美味しいんですよ。自分でつくるより、美味しいんじゃないかって思うくらいなんだよね。
これに実際の現場ではしていない質問を加え、「一回答 一意図」の状態に編集します。
ーー 朝ごはんは何を食べましたか?
先方:朝ごはんはパンと味噌汁を食べました。
ーー えっ? パンと味噌汁って、合わないと思うんですが……。
先方:それが意外と合うんですよ。明太子バターのパンにインスタント味噌汁を合わせたら、意外と合って。それからハマってます。
ーー へー! やってみようかな。でも、毎日味噌汁つくるのって、大変じゃないですか?
先方:いや、インスタントですよ。最近のインスタントは自分でつくるより美味しいんじゃないかってくらい美味しいので。
※注意:明太子バターをつけたパンと味噌汁が合うかどうかは知りません
こうすることで会話のテンポをよくし、読者が軽やかに楽しく読めるように工夫しています。
離脱を防ぐためのコツで、Webならではのテクニックです。
インタビューは愛と情熱の交換作業
今回は一般の方へのインタビューにおいてとくに重要だと感じる6つのテクニックを紹介しました。
とはいえインタビューは奥が深く、この記事だけでは語り尽くせません。
最後に、インタビュー記事ができあがって、公開するとき。
可能であれば、一緒にソーシャルメディアなどで盛り上げてもらいましょう。
一度記事制作をした「愛着」を、自分のなかでも大切に。
その後も最新情報をチェックし、ソーシャルメディアなどで応援を続けてください。
その姿勢は取材相手だけではなく、読者も見ています。
取材相手からも読者からも信頼を得られる書き手になってください。
インタビューは愛と情熱の交換作業。
先方の熱量をしっかり受け止め、読者へと熱伝導させていくような記事がたくさん生まれると、もっとインターネットが熱く、楽しくなるんじゃないかなぁ、と思っています。
(執筆:大塚たくま)
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