こんにちは。ライターの大塚たくまです。
フリーライターとして独立して、2年の月日が経過しました。
現在は観光やグルメに関する読み物系の記事を中心に執筆しています。
そんなぼくは、もともとWebメディアの会社で化粧品や健康食品のアフィリエイト記事を執筆するライターであり、多くのライターを束ねる編集者でした。
そこで叩き込まれたのが、SEO(検索エンジン最適化)ライティングです。
ぼくは現在、あまり「SEO」とは関係なさそうな取材記事をおもに執筆しています。
しかし今でも、「SEO」を踏まえた記事のつくり方は、ぼくの確固たる「基礎」として君臨しているのです。
ぼくはライターとして大切なことを、すべて「SEO」から教わりました。
今でもぼくはSEOを愛しているのです。
そんな愛するSEOですが、しばしば「つまらないもの」と誤解されているケースを見かけます。
今日は「SEOって、あたたかくて面白いもんなんやぞ」って話をさせてください。
SEOの誤解① パターン化されてつまらない
SEO対策をした記事は「SEO記事」と呼ばれ、競合となる検索順位上位の記事を参考にしながら、パターン化されたような記事を書くことが多いイメージがあります。
これは実際に、そのような指示をライターに与えるクライアントが多いことによって生まれたものでしょう。
しかしSEOの本質は、パターン化された記事を書くことではありません。
とくに競合が強いキーワードであれば、単にパターン化された記事を書くだけではなかなか勝てないのが現実です。
ぼくが前職で書いていた化粧品や健康食品などのジャンルは、SEOのレッドオーシャンでした。
SEOで結果を出さないと、絶対に利益の出ない世界。
1位から10位までSEOをギッチギチにやってる競合の中で、どう勝つのか。
パターン化された記事では絶対に勝てません。
ぼくらは「パターンをずらしつつ、いかに読者の役に立つのか」を、ずっと考えていました。
検索エンジンは、ユーザーの「ページ滞在時間」も評価基準にされていると言われています。
SEMrushuが2017年に行った調査によると、SEOにおいてページ滞在時間は2番目に重要という結果が出ています(1番はWebサイトへの直接アクセス)。
ぼく自身もデータを見て、それは実感していました。
「なんとかして滞在時間を増やし、自分たちのページで検索行動を終わらせたい」
前職では仮説検証を繰り返し、他サイトにない新たな表現を発明する日々でした。
「青汁がお茶みたいに美味しい」のなら、寿司と合わせて食べてみる。
「ワキのにおいに使えるデオドラントクリーム」なら、片方にだけつけて1日過ごし、同僚に両ワキを嗅がせたリアクションの差を載せてみる。
検索者の「ニーズ」とうまく付き合い、それを企画のタネにすることで、SEOの新たな勝ち方を探していく。
レッドオーシャンの中では、まだ誰もやったことがない企画で検索者に楽しく疑問解決をしてもらい、納得してもらわなければ勝てなかったのです。
パターン化したものと、どう付き合っていくのか。
そして、どうズラしてオリジナリティを出すのか。
検索者の悩みは決まっているけど、悩みを解決する方法は自由。
そこが、SEOの面白いところです。
SEOの誤解② 人に寄り添わなくてつまらない
「SEOはGoogleの顔色ばかりうかがって、人に寄り添わない」
これも根強い誤解です。
もちろん、検索エンジンも「完全」ではありませんから、「人に寄り添っていない記事」が上位にきていると感じることもあるでしょう。
ただ、これって「検索ワード」によるものでもあります。
検索するワードの中には「あれこれエピソードを語るより、早く答えを教えて欲しい」という需要が多く存在します。
たとえば「明太子 英語」で検索したとしましょう。
このとき検索者は「“明太子”という言葉の英語訳が知りたい」と思っているだけなので、それさえ分かればニーズは解決できます。
早く答えを知りたい人が検索するワードで、人情たっぷりにアレコレ語る記事が1位にあっても迷惑ですよね。
このように、とにかく素早く答えがわかる書き方をしたほうが人に寄り添っている場合もあります。
けっして、検索エンジンにだけ寄り添っているわけではありません。
ただ、それだけがSEOではありません。
「人情たっぷりにアレコレ語る記事」が活躍する検索ワードもちゃんと存在します。
ぼくは前職時代、看護師の転職サイトへ送客するWebメディアを立ち上げました。
その頃はたいへん忙しく、1日に3記事も4記事も編集しながら、執筆も行っていたのです。
そんな状況下で取り組んだ「看護師 やめたい」という検索ワード。
ぼくは看護師をやめたい人に向けて、転職のコツを伝えたり、転職サイトへ送客したりする記事をつくりました。
すると、上司にめちゃくちゃ怒られました。
「大塚くんは、同期が泣きながら『やめたい』と相談してきたら、淡々と転職サイトの紹介をするの?」
ハッとしました。
検索結果を見ると、「看護師をやめたいと思った先輩看護師の体験談」をまとめた記事が続々。
「看護師をやめたい」と思った人に寄り添い、優しく抱きしめるような検索結果でした。
「ぼくはGoogleと検索者をナメてたんだ……」
それ以降、ぼくは検索者の「感情」を重要視するようになりました。
「検索しながら言いそうなセリフ」まで考え、検索者の立場をイメージします。
記事を読む画面の向こう側には「人」がいます。
記事はその人とのコミュニケーションです。
相手の反応をうまく想像しながら書けると、よいコミュニケーションがとれるでしょう。
SEOの誤解③ よい記事をつくれなくてつまらない
「SEO的な記事のつくり方だと、よい記事をつくれない」という意見も多く耳にします。
しかし、これは「質の低いSEO記事のマニュアルに沿ったつくり方」に限った話です。
SEOの本質は検索者の疑問を解決してあげることであり、パターン化した記事をつくることではありません。
SEO記事の本質を突き詰めて考えていくと、ぼくは「親切」という言葉に尽きると思っています。
でも、「親切」って難しいですよね。
ぼくが「親切」と思っていても、相手にとってはありがた迷惑なことも多いものです。
人へ親切にすることは難しい。
相手のことを知り尽くしていないと「何が親切なのか」はわかりません。
だからこそ、SEO対策を施した記事をつくるときには検索者のことを徹底的に考えます。
まるで、自分に憑依させるかのように。
「何が知りたかったんだろう」
「どんな瞬間に検索しているんだろう」
「どんな気持ちでいるんだろう」
人に何か物事を伝えたい時、伝えたい相手に寄り添えば寄り添うほど、メッセージは伝わりやすくなります。
つまり、「伝えたい」という目的を果たすためには、SEOの記事の作り方は有効です。
SEOを考え、読者に寄り添う記事のつくり方をマスターできれば、初心者の書き手もぐんぐんレベルアップできるようになります。
SEOライティングの技術は、Googleに寄り添うのではなく、読者に寄り添うつくり方を教えてくれるナビゲーターとなりえるのです。
SEOは「愛」だと信じれば面白い
結局SEOって、検索者に与えた愛の分だけ、結果が出るんじゃないかと考えています。
どんなに困難な検索ワードで、理不尽な結果が出てくじけそうになるけれども、必ず最後に「愛」は勝つんじゃないかと。
KANさんばりに、Googleを信じてみようと思うのです。
画面の向こうには、たしかに人がいます。
わたしの向こうに、あなたがいるように。
そのことだけを忘れずに、これからも記事をつくっていこうと思います。
(執筆:大塚たくま)
読了おめでとう!次はこちらの記事をどうぞ!