2022年12月1日、アメリカのAI研究企業・OpenAIから『ChatGPT』という対話型AI言語モデルが発表されました。どうやらChatGPTにテキストで質問を投げかけると、AIがかなりマトモに答えてくれるらしいのです。しかも日本語対応で、Googleアカウントと連携するだけで無料で使えます(※12月3日時点)。
「テキスト生成AIなんて、それっぽく見えるだけで所詮はめちゃめちゃな文章ができあがるんでしょ?」と疑っていたのですが……これ、ヤバいです。
質問に対してかなり真っ当な回答が返ってきました。文章も破綻していません。こ、これはすごいぞ……。
ただ、ここまで正確な文章が返ってくるのなら、もうAIに記事を書いてもらえるのでは?と思いました。
筆者はふだん編集者として働いており、日夜ウンウンと頭を悩ましながら文章と格闘していますが、このAIに書きたいことぜんぶ質問してその回答を並べるだけで記事ができるのではと考えた次第です。
というわけで、さっそく試してみました。
AIに書かせる記事のテーマ設定
今回は以下のようなテーマで、AIに記事を書かせてみましょう。
- タイトル
タラバガニの美味しい食べ方をAIが解説- 目次構成
・タラバガニってどんなカニ?
・タラバガニの旬は?
・タラバガニの産地は?
・タラバガニを茹で方は?
・タラバガニってどうやって剥くの?
・タラバガニのおいしい調理法を教えて!
・タラバガニを安く買う方法を教えて!
目次に挙げた項目をChatGPTに質問して、その回答を本文として書いていきます。なおやり直しはせず、一発目に回答されたものをすべて採用します。
では、さっそくやっていきましょう。
タラバガニの美味しい食べ方をAIが解説
タラバガニってどんなカニ?
【ChatGPTの回答】
タラバガニは、アメリカ南部から中米、南米、カリブ海域に分布するカニの種類です。タラバガニは、非常に大きなカニの一種であり、体長は数メートルにも達することがあります。また、タラバガニは、強靭なカラダと大きな鋏を持っているため、捕食する小型の動物を掴むことができます。
【筆者コメント】
おっと……さっそく怪しい情報が出てきました。タラバガニは北太平洋・日本海・北極海など海の冷たい地域に生息するのですが、中南米・カリブ海など比較的暖かい地域に分布していると書かれていますね。先行き不安になってきました。
なおタラバガニは成長してもせいぜい1mを超える程度であり、「体長数メートル」は盛り過ぎです。こんなの編集さんに出したらフルスイングで投げ返されます。
タラバガニの旬は?
【ChatGPTの回答】
タラバガニの旬は、季節や地域によって異なります。一般的に、タラバガニは春から夏にかけてが旬とされており、この時期には、タラバガニが卵を産むため、肉がとても甘くなります。ただし、タラバガニの旬は地域や海域によって異なるため、詳しい情報は地元の市場や漁師などから確認することができます。
【筆者コメント】
タラバガニの旬は実際のところ4〜5月と11〜2月とされているらしく、AIちゃんも大きくはズレていないかな? またタラバガニは一般に3〜5月ごろ産卵期を迎えるので、これもあっています。
感心したのが、「タラバガニの旬は地域や海域によって異なる」「詳しい情報は地元の市場や漁師などから確認」という文。正確性を担保しようとAIちゃんが気をつける姿勢がうかがえます。ひとつ前のパラグラフはめちゃめちゃだったけどな。
タラバガニの産地は?
【ChatGPTの回答】
タラバガニは、アメリカ南部から中米、南米、カリブ海域に分布するカニの種類です。タラバガニは、海水が淡水に変わる場所や、河川の入り江などで暮らし、卵を産むために上流に移動します。また、タラバガニは温帯から熱帯の海域に分布しているため、その地域によって生息する環境が異なります。
具体的な産地については、タラバガニが生息する地域によって異なるため、詳しい情報は地元の市場や漁師などから確認することができます。
【筆者コメント】
既出の情報と重複している箇所がたくさんありますね。ChatGPTは前の質問については考慮してくれないので、これは仕方ないです。
ところでこのパラグラフ、誤情報モリモリですね。まーた中南米やカリブ海などの温帯・熱帯海域に分布と書かれています。AIちゃんはどうしてもタラバガニをあたたかい地域に移住させたいようです。強い意志を感じます。
タラバガニの茹で方は?
【ChatGPTの回答】
タラバガニは、殻が非常に厚く、硬いため、茹でる前にゆで汁を作る必要があります。まず、タラバガニの殻を取り除いた後、冷水を張った鍋に入れ、火をつけます。湯気が立ち始めたら、タラバガニを鍋に入れ、火を弱めてゆでます。ゆで汁が白くなったら、タラバガニを取り出し、冷水で冷やします。次に、茹でるための鍋を用意し、沸騰したお湯にタラバガニを入れます。火を弱めて、茹で時間を見守ります。茹で時間はタラバガニのサイズや個体差によって異なりますが、通常は数十分程度です。茹で時間が経過したら、鍋からタラバガニを取り出し、冷水で冷やします。最後に、タラバガニを冷蔵庫で冷やしたり、冷凍庫に保存することができます。
タラバガニを茹でる際は、火が強すぎないよう注意しましょう。強い火で茹でると、タラバガニの殻が割れてしまい、肉が美味しくない場合があります。また、タラバガニは茹でる前にゆで汁を作ることが重要です。ゆで汁を作らないと、タラバガニの肉が硬くなり、美味しくない場合があります。
【筆者コメント】
急に文字量がふえてびっくりしました。1を聞いて100を返してくるオタク並みのマシンガントークです。
「茹でる前にゆで汁を用意する」というパラドックスが発生していたり、「茹でたあとにもう一度茹でる」というタケノコみたいな調理法を試していたり、茹でたタラバガニを冷凍庫に保存しちゃったりツッコミどころは多々ありますが、タラバガニを熱帯地域へ移住させるよりはまだマシかもしれません。
気になるのは同義文の繰り返しですね。同じ内容をなんども表現を変えてつらつらと重ねています。文字数稼ぎと思われるのでAIじゃないライターさんは絶対やめましょう。
タラバガニってどうやって剥くの?
【ChatGPTの回答】
タラバガニは、殻が非常に厚く、硬いため、剥く前に茹でる必要があります。まず、タラバガニを茹でた後、冷水で冷やします。次に、タラバガニの尻尾を押さえ、剥く場所を見つけます。タラバガニの尻尾の近くには、小さな穴があります。この穴からタラバガニを剥くことができます。タラバガニを剥く際は、ナイフやスプーンなどで殻を削ります。殻が削れたら、殻を引っ張って剥いていきます。タラバガニを剥くときは、注意して行う必要があります。殻が割れると、肉が美味しくない場合があります。また、タラバガニは小さな鋏があるため、剥く際には注意しましょう。
剥いだタラバガニは、細かく切り分けるか、肉を抜いて使うことができます。タラバガニには、脚肉と背肉があります。脚肉は、タラバガニを剥いた後に見つかる肉です。背肉は、タラバガニの頭部から胸部にかけてある大きな肉です。両者とも、煮込みやフライなどの料理に使うことができます。また、タラバガニは、殻を削った後に脚を取り出すこともできます。脚を取り出したタラバガニは、焼きや煮込みなどの料理に使うことができます。
【筆者コメント】
「タラバガニの尻尾」「尻尾付近の小さな穴」という我々が認知していないタラバガニの部位があらわれました。ただ、タラバガニの祖先はエビなど尻尾のある生物とされており、タラバガニのふんどし部分がその名残となっています。なので、AIちゃんの説明はあながち間違いではないのかもしれません。まさか生物学にも精通しているとは。ただ、ナイフやスプーンよりも料理バサミで剥いたほうがいいと思うぞ。
なお前のパラグラフにも出てきてましたが、このAIちゃん、殻が割れるのを異常に嫌がっています。そもそも殻を割らないと中身を取り出せないのですが、なにか殻にトラウマでもあるのでしょうか。
タラバガニの背肉(?)というのも気になりますね。甲羅につまっているお肉のことでしょうか。ここは煮込みやフライで料理するそうです。なかなかアバンギャルドな調理法するじゃん。
タラバガニのおいしい調理法を教えて!
【ChatGPTの回答】
タラバガニは、肉がとても柔らかく美味しいカニの種類です。タラバガニをおいしく調理するには、まずは、茹でることが重要です。タラバガニは、殻が厚く硬いため、茹でる前にゆで汁を作る必要があります。ゆで汁を作ると、タラバガニの殻が柔らかくなり、肉が美味しくなります。
タラバガニを茹でた後、おいしい調理法としては、煮込みやフライなどがあります。煮込みは、タラバガニを小さく切った状態で、野菜やスパイスなどと一緒に煮込む料理です。フライは、タラバガニをフライパンに入れ、油を回しながらフライする料理です。タラバガニは、油が苦手なため、油を使わずにフライすることもできます。
また、タラバガニは、焼いたり、塩焼きしたりすることもできます。焼きは、タラバガニを焼くだけの簡単な料理です。塩焼きは、タラバガニを塩で漬け込んだ後に焼く料理です。塩焼きは、タラバガニがとても柔らかくなり、さっぱりとした味わいがするため、夏におすすめです。
タラバガニは、肉がとても美味しいため、どのような調理法でも美味しく食べることができます。また、タラバガニは、非常に栄養価が高いため、健康的な食生活にも適しています。ぜひ、タラバガニを使って、おいしい料理を作ってみましょう。
【筆者コメント】
また既出情報が出てきましたね。この辺はゆるしてください。まだ生後3日なんです。
調理法としてベーシックな焼きものも紹介されていますが、AIちゃんはタラバガニを煮込みやフライにするのに異常な執着をもっていますね。タラバガニは茹でたものをポン酢でもかけて食べるのがセオリーだと思っていましたが、我々人類は調理に対するイノベーションの心を忘れていたのかもしれません。タラバガニのフライ、タラバガニの煮込み、ぜひみなさま試してみては?(筆者はもったいないのでやりません)
タラバガニを安く買う方法を教えて!
【ChatGPTの回答】
タラバガニは、非常に大きなカニの種類であり、肉がとても柔らかく美味しいため、値段が高いことが多いです。そのため、タラバガニを安く買うための方法としては、以下のようなものがあります。
・市場や漁協などで直接買い付ける
・漁港で漁師から直接買い付ける
・季節や地域によって価格が変動するため、旬のタイミングで買い付ける
・大量購入することで、割引や特別価格がもらえる場合がある
・個人輸入や海外通販サイトを利用することで、安く買うことができる場合がある
タラバガニを安く買うためには、まずは、地元の市場や漁協などで情報を集めることが大切です。また、漁港で漁師から直接買い付けることもおすすめです。こうした方法で、タラバガニを安く買うことができます。
【筆者コメント】
おお、いままでで一番まともな内容かもしれません! タラバガニの大量購入をすすめるなど、読者を石油王と勘違いしている節はありますが、大きなツッコミどころはありません。
箇条書きで列挙しているのもいいですね。Webにおいて読みやすいデザインが考慮されている点でも、AIちゃんはライターとして優秀かもしれません。これまでの所業を全部無視すれば。
テキスト生成AI「だけ」で記事一本書くのは難しいけれど……
今回はGhatGPTを使って記事を書いてみましたが、結果としては誤情報だらけのめちゃめちゃなコンテンツができあがりました。
ただ、まともな内容が出力されることもあるため、「書きたい内容をChatGPTに聞く→いいかんじのが出力されるまで何回か試す→人間がファクトチェック&手直しする」の流れでやればそこそこの記事が作れるんじゃないかなとも思います。
そういえば少し前に、NovelAIなどの「AI絵師」がイラストレーターの仕事を奪うと叫ばれてましたが、一部のイラストレーターさんたちは積極的にAIを活用して自身の創作に役立てているそうです。ライターも将来、ChatGPTのようなテキスト生成AIを活用した技術的な職種になるかもしれませんね。
なお余談ですが、今回の記事は本文だけでなく、タイトルや目次もぜんぶAIツールなどで生成してみました。
AI Title Makerでタイトルを生成し、見出し(hタグ)抽出でGoogle検索上位の見出しを洗い出し、Catchyで目次を整頓。くわしいやり方は今回は割愛しますが、ツールを活用することでめんどくさい作業が数分で終わります。
もちろんある程度は人の手で調整したほうがいいのですが、こういったAIツールの活用はもう現実になってきています。いまのうちから知っておくのがいいかもしれませんね。
参考にしたタラバガニの文献:
Wikipedia - タラバガニ
魚食普及推進センター(一般社団法人 大日本水産会) - かにの「ふんどし」って、なに?
最北の海鮮市場 - タラバガニの食べ方(むき方・さばき方)
ぐるすぐり - たらば蟹の旬・食べ方(茹で方・さばき方)
ナゾロジー - 「カニ」への進化を繰り返した甲殻類の系譜が明らかに!タラバガニがヤドカリに分類される理由
成田光生 - 収斂(しゅうれん)進化
ふるさと産直村 - タラバガニの剥き方
北海道立総合研究機構 - タラバガニ
(解説:じきるう)
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