飯テロ。
美味しそうな料理や食べ物の画像をSNS等にアップし、見る者の唾液を分泌させ、空腹感で悶えさせる史上最悪のテロ行為。
その飯テロを、「言葉だけで出来ないか?」と考えた漢(おとこ)たちがいた。
漢たちは日々言葉に磨きをかけ、毎夜飯テロ文を量産する。
そして今宵。
飯テロ文の王を決めるべく、5人の猛者がここに集った。
★★★★★★★★★★
この記事はタクミくんの提供でお送りします!
★★★★★★★★★★
説明
【概要】
思わずお腹が減ってヨダレを垂してしまうような「飯テロ文」を書く。
【ルール】
- 何の料理/食材にするかは自由。米でもカニでもステーキでも懐石料理でもok。
- 写真を使うのは禁止。文章だけで飯テロせよ。
【審査員】
今回は友人のシェフ・しもやん氏に審査員をお願いしました。
しもやんは調理師免許、製菓衛生師免許を取得しているガチの料理人です。
創作料理が得意な模様。
こういう最高そうな創作料理をすぐ作ってくれます。
……おっと、飯テロ文の前に飯テロ画像を上げてしまいました。失敬。
今回優勝した飯テロ文は、シェフ・しもやんによって実際に作ってもらいます。
頼む……!!美味しいのが優勝してくれ……!!!
エントリーNo.1 moto
一番手はプロ乞食ライターのmoto。
人に食べ物を恵んでもらう方法を研究している彼は、飯テロの文才もあるのでしょうか?!
moto「ベーシックな家庭の味で飯テロに挑戦しました。」
旨味が液体へと変化し、お椀に注がれる
ゆらゆらと立ち昇る湯気
ほのかに香る味噌の香り
冷たくなった手を温まったお椀に添えるおそるおそる口に含む
口の中の体温が急激に上がる
飲み込むと体の芯から温まる
薄まった塩気がちょうど良いプルンプルンした豆腐
ヌメヌメしたわかめ
相性が抜群に良い「ハァ~」と息吐いて
火照った体の余韻を楽しもう
【会場の反応】
・冬に読みたい飯テロ。今は暑いからそこまで……
・「プルンプルン」とか「ヌメヌメ」にエロスを感じる
・夜食に味噌汁が飲みたくなりますね!
味噌汁という家庭的な料理で飯テロ文を書いたmotoくん。
会場の反応は賛否両論ありますが、審査員の反応は……?
【シェフ・しもやんの講評】
みそしるの優しい味わいと書き手の優しさが汲み取れます。
この人は衛生兵なのかな? ホスピタリティ溢れる癒し系飯テロ文章ですね。
今晩はみそしるを飲みたいと思います。
審査員からはそこそこ高評価の模様!
文章からは彼の人畜無害さがにじみ出ており、優しい飯テロだったとのこと。
優しい飯テロって変な言葉だな。
ちなみにこの飯テロが投下されたのは深夜12時半。
飯テロのゴールデンタイムです。
全然優しくない。
エントリーNo.2 有栖川 兎
2人目はCRAZY STUDY新加入の有栖川兎くん。
第三回ウェブメディアびっくりセールでヘッドハンティングしました。
ちなみに「有栖川兎」の読み方は知りません。
有栖川「これからの時期にぴったりなアレで飯テロさせていただきます」
暑い。暑い。うだるように暑い。
こんなときにはあれがいい。
ひんやりとした大きめの氷を取り出してあれにセット完了。
そのままガリガリと削っていく。
巷ではフワフワが好まれているとは聞くが、そんなこと構わずグルグルグルグルとハンドルを回す。できた。熱帯夜に突如現れた氷山だ。美しい。
ここで、お待ちかねの味付けタイム。
イチゴ、ブルーハワイ、レモン、メロン、コーラ、みぞれとシロップは色々あるが今日はカルピスをかけてみよう。
水で一切割らないカルピスをそのまま氷山の上から注ぐ。
白×白。美しい。さあ早速食べよう。
スプーンでシャクッと氷をすくい口に運ぶ。つ、冷たい。そしてミルキーで優しい味わい。
口の中が天国だ。二口め、三口めと調子に乗って食べていく。
シャクシャクシャクシャ…。あ……しまった…。頭がキーーンとする…。イタタタ。
…でも負けてられるか、氷が溶けきる前に食べるのだ…。シャクシャクシャクシャク。
ふぅ食べきった。美味しかった。最後に、器に残っている薄まったカルピスをすする。
心なしか外が涼しく感じる。風鈴がチリンチリンと音を奏でる。
気持ちのいい夏の夜だ。
【会場の反応】
・文学的な文章書くなぁ
・カルピスのかき氷、美味いよね
・少し変わり種のシロップをかけたい気持ちもありつつ、いつもブルーハワイをかけてしまっていたことを思い出しました
暑い時期にぴったりのかき氷(カルピス味)で挑んだ有栖川くん。
会場はおおむね高評価の様子!新人なのに侮れない!!
そして審査員の評価は……?
【シェフ・しもやんの講評】
今年の夏が楽しみになる飯テロ文ですね。
かき氷が出来ていく行程が音楽の様にリズミカルに書かれているので、全体がッスと入ってきました。
内容も濃い。味をあえてカルピスにしたり、頭キーンしてしまうところも書いてしまうなんて・・・マシンガンで蜂の巣にする気かよ!!
最後の風鈴の所もいい。夏が待ち遠しくなりました。
途中よくわからないツッコミも入りましたが、審査員からも高評価の様子!
このまま優勝をかっさらうのか……?!
エントリーNo.3 佐藤花太郎
3人目は異次元ライター・佐藤花太郎くん。
無一文旅したり、肌にドレッシング塗ったりなど破天荒な内容の記事ばかり書いている彼ですが、果たして飯テロ文ではどのようなテキストを繰り出してくるのでしょうか……?!
花太郎「聞いてください。『君の卵焼き』」
「君の卵焼き」
作詞 佐藤花太郎
作曲 佐藤花太郎ああ 君がいた 温もりを追いかけて
辿りついたのは 君と昔出会った 小さな酒場
がたつく 今にも壊れそうな扉をあけ
ガラッと空いたカウンターに座り
まるで今の僕のようだと
ぽっかり空いた胸に手を当てるどうしてあの時の僕は
君の涙の訳を
優しく包んであげられなかった
そう思いながら卵焼きを注文するやっぱり 僕は君が作った卵焼きの味を
砂糖たっぷりの甘過ぎな卵焼きが
食べたいの
ああ 君がいない ああ
【会場の反応】
・歌にしてきたwwwww
・悲壮感ぱないすね
・実体験をもとにした歌詞にぐっときました。いつの日か幸せな甘過ぎる卵焼きが食べられますように
まさかの失恋ソングでの参戦の花太郎くん。
(ちなみに彼はバンドマンとしてボーカルを担当してたりもします)
卵焼きの甘さと涙のしょっぱさが、果たして飯テロとしてどう作用するか……?!
【シェフ・しもやんの講評】
失恋と卵焼きをかけた切ない詩にグッときました。
特に『どうしてあのとき僕は君の涙の訳を優しく包んであげられなかった』の所いいですね。
あれ急に涙が出てきたぞ。
去年自分にも大事な人が居た記憶が・・・ううううぐぐぐ・・・うぅ・・・ひっくマスター卵焼き下さい・・・(´;ω;`)
(去年までしもやんには2年半交際していた子がいましたが、いろいろあって別れました)
はからずも審査員の心にダメージを与えてしまったようです。
この反応が、審査の結果にどう影響するのでしょうか!? 結果が読めなくなってきました!
エントリーNo.4 少年B
4人目は少年Bさん。
エモい文章の研究など、モノ書きとしての能力が非常に高い彼。
そして実はこの飯テロ分選手権の発案者でもあります。
これは優勝候補では……?!
少年B「今回は”寸止め”のテクニックを使ってみました」
仕事帰り。
最寄り駅の、寂れたほうの出口へ向かう。
課長め、まったくまたむちゃくちゃなこと言いやがって。
そんなことを思いながら、いつもの店の、のれんをくぐる。
気づいたオヤジが、すぐさまこちらを一瞥する。「いらっしゃいませー」
店内にバイトの兄ちゃんの声が響く。
この店は今日も繁盛している。
オヤジは手際よく麺の入ったざる―「テボ」というらしい―を持ち上げると
二度、三度。大きく手を宙に振った。ダイナミックな湯切りののち、丼のなかの、琥珀色をしたスープにそっとやさしく滑り込ませる。
バイトの兄ちゃんが丁寧な手つきで、菜箸を器用に操って麺をまとめてゆく。
これもまた、職人技のひとつと言えよう。
チャーシュー、メンマ、ネギに玉子をささっと手早く盛り付けると、
―この店は、何もトッピングしなくても、半分に切った玉子が載っているのだ―
丼の中に小さな宇宙が完成する。「おまたせしました、中盛りです。」
ニコッと笑う兄ちゃん。無表情で受け取るサラリーマン。
ああ、このひとも、僕とおなじなのだなぁ。ふとそんなことを思う。
目の前で、麺をすする彼の姿を、ぼんやりと見ている。
背中が、小さいなぁ。「空きましたよ、どうぞ。」
不意に声をかけられ、ついビクッとしてしまう。
いつのまにか席が2つばかり空いていた。
やれやれ、やっぱりだいぶ疲れているようだ。
うっすら苦笑いを浮かべながら、席に着く。
この店は醤油がメインだが、塩も相当うまいのだ。
さてさて、今日は何を食べようかな。「はいお待ち。」
隣の席に丼が届く。
パキッ。割り箸を割る音が僕の耳に届いた。
【会場の反応】
・ディティールの書き込みがすごい!
・この文、飯にたどり着いてないのに飯テロ文として完成されてる……!
・寸止めが秀逸。まんまとお腹減ってしまった
食レポを含まずに飯テロするという、恐ろしい文才とテクニックを発揮してくれた少年Bさん。
これは審査員の評価もかなり期待できそうです!
【シェフ・しもやんの講評】
主観からの風景を描写した、高度なテクをもつ飯テロ文ですね。
様々な人間模様、風景、状況からラーメンを引き立てる書き方からは、久住昌之の『孤独のグルメ』を連想しました。
このような哀愁漂うしんみりとした文章を読むと、ラーメンのスープをじっくり味わって飲み干したくなる気分にさせてくれますね。
疲れた体を潤してくれるでしょう。
やはり審査員からもかなり好評の模様!
さすが飯テロ文選手権の立ち上げ人。優勝では?
エントリーNo.5 じきる
5人目はじきるさん。
CRAZY STUDYの編集長であり、会社でも編集者&ライターとして働いている彼。
文章のプロとして、この戦いは負けられないのでは……?
じきる「飯テロは”誘惑力”が大事です。思わず体液(ヨダレ)を垂らしてしまう、魅力的な文章を書きました」
ヌラヌラと照る艶めかしい肉棒を、その甘い蜜壺に侵入させる。
トプッズプズプッと、徐々にその肉棒は蜜に溺れ、あっという間に全て浸かり切った。数回、上下に動かす。
一旦取り出し、粘着性の高い蜜液が垂るのをじっとりと眺める。
ふつくしい……。その煌めきをしっかり堪能した後、熱を持った網目へゆっくりと乗せる。
ジュルジュルと灼きつく肉と網。
しばしふたりは、愛欲の快楽へーーー。ーーー数分の後。
しっぽりと焦げ目のついた肉棒。
鼻腔をくすぐる、肉と蜜の焼ける匂い。
この誘惑に誰が抗えようか。
七味をふりかけ、むしゃぶりつこう。
【会場の反応】
・えっっっっっっろ
・え、肉棒に七味を!?
・純粋な官能小説かと思った
完全にアウトな飯テロ文を提出してきたじきる氏。
ちなみに本人は「これは焼き鳥だ!えっちいのを想像した君らがえっちいのだ!」と意味不明な供述をしているとのこと。
審査員は、この問題作をどうジャッジするのでしょうか……?
【シェフ・しもやんの講評】
あれ、テロじゃなくてエロが混ざってるぞ?
題材って『飯テロ』から『飯エロ』になったんだっけ?
嫌いじゃないけど・・・いやむしろ大好ぶry
これは焼き鳥(タレ)をイメージしてるのかな?
はじめて読んだ時はち○ぽに七味かけるって画が見えたけど、読めば読むほど味わいがあるスルメのような飯エロ文ですね。
炎上効果も期待できますし素晴らしい文章だと思いました。
飯テロ文ではなく飯エロ文だったようです。
そして炎上効果は期待したくないです。
結果発表
さて、5人の飯テロ文が出揃いました。
いずれも負けず劣らずの名作揃い。
珠玉集まる本選手権、今回の優勝は誰の手に……!?
いやー!
どの飯テロ文も、個性が光る作品ばかりで優勝を決めるのが難しかったです。
どれがいいかなぁ~と考えてたらお腹減っちゃいましたよ!
もう前置きを考えれないほど頭まわんないので、さっそく優勝発表します!!!
ドドドドドドド……
ダカダカダカダカダカ……
ざわざわざわざわ……
ダン!
優勝はエントリーNo.2 有栖川兎くんの『カルピスかき氷』です!!
本当にどれも素晴らしいんですけど、1番光るものを感じたのでこの作品を選びました!
シンプルでわかりやすく、かつストーリーに風情があって読んでいて心地よかったです。
かき氷が心の底から食べたくなりました!
なんと!!
第1回飯テロ文選手権の優勝者、新人の有栖川兎くんに決定しました!!!
まだ有栖川くんの記事はクレスタ内にありませんが、現在執筆中とのこと!
これからの有栖川くんの活躍に期待したいです!
ちなみに「有栖川 兎」って、「ありすがわ うさぎ」の読み方であってます? 違ってたら教えてください。
シェフに実際に作ってもらった
最初にお伝えした通り、今回優勝した「飯」を実際にしもやんシェフに作ってもらいます!
飯テロ文の実写化です。
(ぶっちゃけかき氷なので誰が作っても同じ気がしますが、一応シェフに作っていただきます)
では、有栖川くんの飯テロ文とともに実写化の様子をどうぞ。
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暑い。暑い。うだるように暑い。
こんなときにはあれがいい。
ひんやりとした大きめの氷を取り出してあれにセット完了。
そのままガリガリと削っていく。
巷ではフワフワが好まれているとは聞くが、そんなこと構わずグルグルグルグルとハンドルを回す。
できた。熱帯夜に突如現れた氷山だ。美しい。
ここで、お待ちかねの味付けタイム。
イチゴ、ブルーハワイ、レモン、メロン、コーラ、みぞれとシロップは色々あるが今日はカルピスをかけてみよう。
水で一切割らないカルピスをそのまま氷山の上から注ぐ。
白×白。美しい。
さあ早速食べよう。
スプーンでシャクッと氷をすくい口に運ぶ。
つ、冷たい。そしてミルキーで優しい味わい。
口の中が天国だ。
二口め、三口めと調子に乗って食べていく。
シャクシャクシャクシャ…。
あ……しまった…。頭がキーーンとする…。イタタタ。
…でも負けてられるか、氷が溶けきる前に食べるのだ…。
シャクシャクシャクシャク。
ふぅ食べきった。美味しかった。
最後に、器に残っている薄まったカルピスをすする。
心なしか外が涼しく感じる。風鈴がチリンチリンと音を奏でる。
気持ちのいい夏の夜だ。
(Fin.)
※全体的に部屋が汚いのは運営側の不備です。大変申し訳ございません。
(おわり)
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