芋けんぴ。この言葉を聞くと胸の高鳴りを抑えることが出来ない。
僕は芋けんぴのことをあまりの美味しさ&そのカロリーの高さから、かりんとうと並んで「悪魔のお菓子2大巨頭」と呼んでいる。
ところで芋けんぴの「けんぴ」って何だ……?
調べてみると、高知県に平安時代から伝わるお菓子「けんぴ」に形や質感が似ていることが由来らしい。
一般的な芋けんぴはサツマイモを原料としているが、形や質感が似ていれば必ずしもサツマイモじゃなくていいのではないだろうか? サツマイモだけが、芋けんぴの「芋」ポジションにドシッと座っているのはちょっとズルくないだろうか。
他の芋菓子たちも、芋けんぴを名乗るチャンスはあるはずだ!
我こそは芋けんぴだ!!! そんな強い気持ちを持つ芋菓子を集めて、真の芋けんぴを決める「けんぴ1グランプリ」をここに開催しようではないか。
出場芋紹介
エントリーNo.1 じゃがりこ サラダ味(カルビー所属)
1990年代中頃からカルビーのエースとして活躍。美味しさ・知名度ともに出場芋トップクラスで今大会の優勝候補大本命である。
キャッチフレーズは「芋菓子界の大スター!コイツを勢いに乗せだしたらキリンがない」
エントリーNo.2 ポテロング しお味(森永製菓所属)
1978年に芋菓子界デビューの大御所。今回の出場芋の中では最長(約13センチ)。油で揚げていないノンフライ製法が吉と出るか凶と出るか……!?
キャッチフレーズは「最年長にして最長、油も白旗も揚げないぜ!!」
エントリーNo.3 ぼうじゃが うましお味(東ハト所属)
2019年9月に彗星のごとく登場した期待の新人。東ハトいわく、カリッと軽快な食感の細型ポテトスティック。
キャッチフレーズは「今大会のダークホース、台風の目となりカリッとサクッと優勝出来るのか!?」
エントリーNo.4 Jagabee しあわせバター味(カルビー所属)
皮付きポテトを丸ごとカットした、これまでにない新食感スナック。皮付きポテトなのでもっとも芋感がありそう。
キャッチフレーズは「皮付きポテトで芋を感じろ!勝利というしあわせゲットへ」
エントリーNo.5 Jagabee バターしょうゆ味(カルビー所属)
チームJagabeeから2芋がエントリー。バターしょうゆって何にでも合うし無限に食べれる。
キャッチフレーズは「甘じょっぱいは世界を救う、カルビー帝国の秘蔵っ芋!」
それぞれの芋菓子を、芋けんぴに調理する
出場芋が出揃ったところで、さっそく調理開始!
現芋けんぴと同じように、それぞれの芋菓子を植物油で揚げ、砂糖を絡めていくことにする。
砂糖と水をフライパンに入れて沸騰するのを待ちつつ……
もう一つのフライパンでひたすらに揚げていく。
揚げて
開けて
AGEAGE↑↑に揚げて
赤上げて! 白下げないで、じゃが揚げて……
揚げ終わり~!! ちなみにこんな感じ。
砂糖も良い感じに沸騰してきたので、in。
絡めて
まだまだ絡めて
この時点で美味しそうでワクワク
完成~!!!
いやいや……みんな美味しそうな芋けんぴじゃないですか!!!
しれっと本物の芋けんぴを混ぜてみたのだが、分かるだろうか?
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答え:②
さぁ舞台は整った!! 「けんぴ1グランプリ」開幕だー!
けんぴ1グランプリ 審査開始
今回の審査には僕だけでなく、後輩夫婦にも協力してもらった。
職場の後輩:最近嬉しかったニュースは新居前のバス停からお気に入りの二郎系ラーメン屋まで1本で行けるのに気付いたこと。
後輩の嫁:旦那がラーメン二郎へ行くことが何よりも嫌。
ちなみに今回、後輩が2週間前に引っ越したばかりの新居で、芋菓子の調理をさせてもらっている。
「えーと……これは何?」
「これは扇風機ですね。羽の前ガード部分が外れちゃったので結束バンドで固定しました。でもそもそも首が折れてて下しか向かないんですよ」
「テンション低いスターミーみたい」
「そういえば、貰った冷蔵庫飾ってあるんですよ」
「おぉ! 引っ越し祝いに渡したミニ冷蔵庫だ。引っ越してから1週間ほど冷蔵庫が届かないって話聞いて大変そうだったから。我ながら良いプレゼントだったよ」
「僕もデニムさんに見せたので捨てますね。マジで邪魔です」
「はい。本当に邪魔です」
「えぇぇぇぇ!!!」
というわけで、ここから「けんぴ1グランプリ」の審査に入る。各お芋お菓子に一言コメントと評価をしていく。
(◎……また食べたい 〇……美味しい △……食べれなくはない ×……イマイチ)
エントリーNo.1 じゃがりこ サラダ味(カルビー所属)
「△ 焦げた部分の独特の苦みがありますね」」
「△ 最初の苦みと最後にくるじゃがいも感が凄い……。強烈」
「× いつものじゃがりこの美味しさを考えるともったいない」
まさかのじゃがりこが低評価。高3の冬に親友と同じ人を好きになった時くらいのほろ苦さが口の中にガツンと来た。
じゃがりこは中が空洞だからか、圧倒的に焦げるのが早かった。裏を返せば中が空洞だからこそ、じゃがりこの長所であるサクッとした食感に繋がっているのかも。
エントリーNo.2 ポテロング しお味(森永製菓所属)
「○ おぉ、食感芋けんぴっぽくない?」
「△ 最初と最後はイマイチだけど、一瞬だけ芋けんぴが顔出しますね!!」
「× 私はダメですね。そもそもポテロングがそんなに好きじゃない」
ポテロングは賛否両論が分かれた。
ノンフライ製法のお菓子を揚げるという愚行ではあるが、個人的には嫌いな味ではなかったなぁ。
エントリーNo.3 ぼうじゃが うましお味(東ハト所属)
「× うーん……チキンっぽい味付けが砂糖とマッチしていない」
「× クセが強い。砂糖とじゃがいもが同時に押し寄せてくる……」
「△ 食べられないことはない」
ぼうじゃがは完全に砂糖とマッチしていなかった。
ぼうじゃがはチキンパウダーを使ってポテトの旨味を引き立てている美味しいお菓子なのだが、砂糖コーティングとは合わなかった。酢豚にパイナップルが必要か討論する人達の意見のごとくチキンパウダーと砂糖が口の中でいつまでも平行線を辿っていた。
エントリーNo.4 Jagabee しあわせバター味(カルビー所属)
「◎ これは……! もっと食べたい!」
「◎ 皮付き芋の良さが出てる気がしますね」
「〇 分かる! じゃがいもの素材そのものの味にバターと砂糖がバシッと決まってる」
初めて3人揃っての「美味しい」という評価に学校の校庭に犬が来たときくらいテンションが上がる。
皮付き芋というJagabeeの強味が、砂糖コーティングにバシッとハマっていたと思う。
エントリーNo.5 Jagabee バターしょうゆ味(カルビー所属)
「◎ 美味し~い! いくらでも食べることできそう!」
「◎ これは商品としてあってもおかしくない。そのくらい美味しい」
「◎ ここまでの手間はめんどくさいけど、この手間かけてでも食べたい」
文句なく美味しかった!
美味しさの秘密はやはり皮。Jagabeeについて調べると、じゃがいものおいしい部分は皮の近くにあるらしい。皮付きであることで素材感を感じるのもポイントだ。……あれ、でもそれってJagabeeが美味しいだけでは(略)
現王者 本物芋けんぴ(澁谷食品株式会社所属)
せっかくなので本物の芋けんぴについても実食。
「◎ けんかになってでも最後の一本食べたい」
「◎ んーん、たまらない」
「◎ ぴかイチの美味しさ!!!」
正直、美味しすぎた。芋けんぴのプールがあれば間違いなく飛び込みたい。
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というわけで、本物の芋けんぴも入れた評価は、下のシートのとおり。
ということで、第一回「けんぴ1グランプリ」優勝は……
「芋けんぴ(本物)」と「Jagabee バターしょうゆ味」の同時ミラクル大逆転サヨナラ満塁優勝だぁーっ!!!
……ということで僕は今後、芋けんぴを「さつま芋の芋けんぴ」、Jagabeeバター しょうゆ味を「じゃがいもの芋けんぴ」と呼んでいこうと思う。
田舎から上京した人が、東京で支えてくれる定食屋の女性を東京のお母さんと呼ぶのと同じ原理だ。
(執筆:電気とデニム)
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