ダブルチーズバーガーセットを注文して待っていると、あの音が流れてくる。
ピロリ♪ ピロリ♪
マクドナルドでよく耳にするこの音は、フライドポテトが出来上がったアラームである。
さて、フライドポテトの材料は「じゃがいも」だが、他の芋でもおいしくなるんじゃないだろうか?
この記事では、いろんな芋で「フライド○○」を作り、芋ごとにアラーム音を作曲していこう。
フライドポテト
まずは基本のフライドポテトを作ってみよう。
じゃがいもを用意。
皮をむき、うろ覚えのフライドポテト型に切る。
調べたところ、オリーブオイルで揚げるとおいしいらしい。このためだけに買ったエクストラヴァージンオリーブオイルでフライパンを満たす。
おお、いい感じに揚がってきた。
最後に油を切り、塩をまぶして……完成!
完成を知らせるアラーム音が鳴り響く。
ネットで調べた楽譜を元に、フリーソフトで音符を打ち込んだ。作曲環境がシンプルなので、音色が違うのは許してほしい。
実食
調理器具の差なのか、お店のサクサク感の再現は難しい。ちょっとしなっとしている。
でも、ちゃんとフライドポテトの形になってる! これには感激した。
そして、うまい。揚げたてだから中身はホクホク。オリーブオイルがおすすめというのもわかる。お店とはちょっと違う、香り高い味だ。家で作ると、塩加減を自分で調節できるのもうれしい。
これ以降もさまざまな芋をフライしていくが、基本的な作り方は同じである。
- フライドポテトっぽい形に切る
- オリーブオイルで揚げる
- 塩をまぶす
- 作曲をする
次なる芋に行く前に、「どうやってアラーム音を作曲するのか」を説明しておこう。
アラーム音を作曲するには
音楽の理論も知らなければ楽器も演奏できない私だが、それでも作曲できる方法を考えた。
フライドポテトのアラーム音は「ソファソ♪ ソファソ♪」である。
これに合わせて「ポテト♪ ポテト♪」と歌ってみよう。妙な「しっくり感」がないだろうか。
「ポテト」と「ソファソ」を並べてみると、オの段が「ソ」、エの段が「ファ」になっている。
ということは、母音「アイウエオ」に合わせて「ドレミファソ」を並べたら……あっという間にメロディができるぞ!
たとえば「さつまいも」なら、母音は「アウアイオ」なので、音階は「ドミドレソ」になる。
なんて単純な理論なんだ。背後にバッハの気配を感じたが気にしないことにしよう。
では、作曲法が確立できたところで次の芋を揚げてみる。
フライドさつまいも
二番手はさつまいもである。品種は茨城県産の「紅はるか」だ。
とにかく硬かったが、期間限定で坂本龍馬の後継者になったと自分に言い聞かせることで、なんとか切りおおせた。
つつがなく揚げて……完成!
音階は「ドミドレソ」のままで、ちょっとリズムをいじってみた。なんとなく本家のアラーム音よりもワクワクするな。
実食
甘い! さつまいも本来の甘さがストレートに出ている。
ただ、オリーブオイルの風味が甘さをジャマしている気がする。これは油を間違えたか…? あと、カリカリ感はほとんどない。
味がまとまるかと思って塩を追加してみたが、さっぱりまとまらない。芋、塩、オリーブ、互いに一歩も譲らない敵対関係が生まれ、口の中が三国志になって終了した。
フライドながいも
このあたりから未知の領域になっていく。今度はフライドながいもである。独特な粘りからとろろにするのが一般的だが、揚げるとどうなるんだろうか。
なんでも前例にならうお役所精神のもと、ながいもをフライドポテト状に切った。切れば切るほど粘りが加速していく。隣り同士のパーツが糸を引き、マッチングアプリのようにつながり合う。
これ揚げたらどうなるんだ? ひとつなぎの大秘宝になるんじゃないのか……?
揚げてもまだ粘ってる。しつこいぞ。
不安になりながらも…完成!
ながいもの粘りを、間延びしたリズムで表現してみた。あまり「急ごう」という気にならないアラームである。
実食
うまい。いける。なんだか、焼き色といいツヤといい、フライドポテトよりフライドポテトっぽくないだろうか。
噛んだら一瞬だけ「サクッ」とする。一瞬なので「サ」ぐらいである。その後はサラサラしたほどよい粘りで揚げ油の香りが流れ込む。
角が取れてまろやかになったフライドポテトといったところか。
日本食っぽいので箸で食べてみたら、器も相まって料亭の一品みたいになった。
フライドさといも
「ねっとり感があり、煮物に最適です」
すまんな、揚げるんだ。第4の刺客はさといもである。
今回、最も料理に苦労したのがこれ。
ぬめりに苦戦しながら皮をむき、フライドポテトに似せようとがんばって切った結果、コマ切れになってしまった。
「カレーの具みたいだな」という思いをグッとこらえ、しめやかに揚げて……完成!
さといもがコロコロと転がる様をイメージし、軽快なリズムにしてみた。
実食
あまりに小さいので、スプーンでシリアル風に食べる。
さといもがつよい。
見た目はいい感じにフライドフライドしてるし、噛んだ瞬間はカリっとするのだが、すぐさまさといも特有のもったり感が口の中を支配する。そして味が無くなる。塩どこ行った。オリーブオイルどこ行った。
味覚が都会から田舎に里帰りしたかのようだった。
フライドれんこん
最後に、芋ではないが根菜つながりで、れんこんを試してみよう。
切った姿を見てほしい。こいつは本当にれんこんか???
おなじみの「穴」が無いと、ここまで「れんこん感」が喪失するとは驚きである。れんこんの本質は穴だったのか。
容赦なく揚げる。ますますれんこんから遠のいていくぞ。
れんこん本人が望んだ姿かはわからないが……完成!
「れんこん」と聞いた時点でピンときたかもしれないが、「ん」に該当する音符が無いため、アラームは2音である。れんこんのように穴だらけの楽譜になった。
実食
あ、れんこんだ。れんこんの本質は穴じゃなかった。
見事な繊維質。ちょっと長めに揚げたのにしぶといシャキシャキ感。食感は正直、天ぷらと大差はない。
まあ、さといもよりは味がついている。
おわりに
こうして「フライド○○」5品の調理と作曲が完了した。
- フライドポテト
- フライドさつまいも
- フライドながいも
- フライドさといも
- フライドれんこん
最もおいしく、将来性を感じさせたベスト・オブ・フライドは……
フライドながいも!
決め手は圧倒的な意外性である。正直、粘り気のある食べ物が苦手なのだが、フライにすることでオリーブオイルとの意外な調和が生まれ、本家ポテトをも超える味を体感できた。まさしく粘り勝ちである。
フライドながいも、優勝おめでとう! 豪華な音楽でお祝いしよう!
※オーケストラの音を脳内補完してお聴きください。
(執筆:フクイチ)
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