12星座において一番つかみどころのない星座……それは私の星座でもある「みずがめ座」だと考える。
なぜなら私にとって「みずがめ」は、12星座のモチーフの中で最も印象が曖昧だからである。
同じ道具の星座でも、いて座の弓矢はスタイリッシュでかっこいい。てんびん座のてんびんは公平感があってかっこいい。弓矢はゲームや漫画、てんびんは理科の実験で触れ合うから、それぞれ親近感も湧きやすい。
しかし、みずがめはただの器。よくも悪くも地味すぎるのだ。
雨水や井戸水をためる用途があるといっても、蛇口をひねれば綺麗な水が出る現代において、みずがめの魅力を想像するのは容易ではない。せいぜい傘立て代わりのイメージしか湧かないのではないだろうか。
また、ここで2枚の画像をご覧いただきたい。
このように、「みずがめ座」自身も「みずがめ」を持て余している感が拭えないのである。
星座としての「みずがめ座」に、独創性や発想力といったポジティブな印象があるのは理解している。しかし「みずがめ」自体が現代での立ち位置を確立していないために、私は自身の星座にいまいち愛着が持てないのである。
それならば、今の時代に沿ったみずがめの新たな価値を創造すればいい。今回の取り組みが、私のように心の奥で違和感を覚えていたみずがめ座の同志達の一助になれば幸いである。
みずがめはAmazonで買える
というわけで、みずがめをAmazonで購入した。
横幅と高さはおよそ30cmで、重さは10kgほど。
縁に少し粗い部分があるが、全体的な手触りはとても滑らか。
値段・性能共に、初心者用のみずがめって感じがして頼もしい。
今回の検証ではみずがめ座のイラストらしく、みずがめの中に液体が入っている状態で、実用性のある使い道を模索していこうと思う。
みずがめの使い道 その1:加湿器
私は冬に加湿器をつけずに寝ると、翌朝のどが痛くなってしまう。
水槽を部屋に置くだけで加湿効果があるという話を聞いたので、みずがめで代用してみた。
そして次の日。のどは……
痛くなかった!
水かさも前日より少し下がっていたので、ちゃんと加湿はしていたようだ。
本家の加湿器と比べてどれほどの効果があるかは定かではないが、みずがめ加湿器は非電源で使えるため財布に優しい。何かと電気代のかかる冬場には、ありがたい利点である。
みずがめの使い道 その2:足湯
はたから見るとかなり奇怪な光景だが、これが意外とよかった。
自室で足湯という状況に新鮮味を覚えながらも、足元は満遍なく心地よく温まっていく。箱根や嬉野に行かずとも、手軽にリラックスできるのだ。
またお湯の温かさは、20分ほど続いた。一応陶器だから、保温性は優れているのだろうか。
そして人間というのは不思議なもので、「足元が液体に浸かっていると眠気が吹き飛ぶ」という知見も得た。
ウトウトしてみずがめを倒すわけにはいかないという自制心が、無意識に働くのかもしれない。
とはいえみずがめは桶やバケツよりも大きく重いため、多少足を動かしても大きく傾くことはない。これなら夏には水を入れて、涼をとることもできそうだ。
みずがめ足湯、大いにアリである。
と、ここまでみずがめの新たな使い道を考えてきたが、全体的に地味ではないだろうか。
たしかに実用性は身をもって感じられたものの、「加湿器座」とか「足湯座」とか呼ばれたら、みずがめ座諸君はさぞ苦い顔をするに違いない。
せっかく星の数ある星座群から選ばれた12星座のひとつなのだから、やはりビジュアルにも力を入れていきたいところである。
そこで次は、オシャレな使い道を考案した。
みずがめの使い道 その3:間接照明
ここではオプションアイテムとして、「懐中電灯」と「のむんチョゼリー」をみずがめに入れることにする。
懐中電灯の射光がのむんチョゼリーを透過することで、オトナな間接照明に変わりステキな雰囲気を演出するはずなのだ。
思ってたのと違う。なんか神々しい……。
たしかに非日常感は満載だが……今にも何かが召喚されそうである。
みずがめ間接照明は、ムーディよりもファンタジーの演出に長けていることが発覚した。
みずがめの使い道 その4:ミズガメファンタジー
というわけで、これまで考案してきた地味な使い道を、ファンタジー調に演出してみることにする。
「加湿器」「足湯」それぞれに、「間接照明」の機能を追加してみた。
すごい。すごいぞみずがめ。見た目も中身も唸るほどの優れものである。
みずがめは日常を簡単かつ便利に彩る
みずがめは想像以上のアイテムであった。
水を張ることで乾燥から喉を守り、冬には温かさを、夏には涼しさをもたらす。
そして懐中電灯とのむんチョゼリーを組み合わせることで、部屋の雰囲気を一瞬で非日常に変えられる。
こんな芸当、弓矢やてんびんにはできるまい。
みずがめは、十分にかっこよく親しみのあるやつだった。
みずがめは時代に置き去られたのではない。時代がみずがめを使いこなせていないだけだったのだ。
今の私ならば、胸を張って自分の星座に愛着を持つことができる。
もし自身がみずがめ座であることに戸惑いを感じている同志がいれば、ぜひともあなたの生活の中に、みずがめを取り込んでみてほしい。
きっとあなたにしか気付けない、まだ見ぬみずがめの可能性があるはずだから。
おまけ
せっかくなので、みずがめ座のポーズもしてみた。
みずがめ座の人(ガニメデさん)は簡単そうにやっているこのポーズ、実はとてつもなく難しかった。
私が買ったみずがめは、重さが約10kgある。そこに2リットルの水が加わると、私の片腕では全く支えられなくなるのだ。
なんとも無様なみずがめ座となってしまった。
それにしても、二人がかりで辛うじてできたあのポーズを、ガニメデさんはたった一人で軽々と……。
彼の尋常ならざる筋力と体幹を実感し、改めて自身の星座に誇りを持つことができた。
(おわり)
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