スーパーで売っているさまざまな食品たち。
パッケージの裏にはメーカーが推奨している食べ方が書かれており、このレシピに従って調理するだけで、料理が苦手な人でもおいしく作れて便利だ。
そのパッケージをもっとよーく見てみよう。
「フルーチェムース」
牛乳を入れるだけでも大正義のおいしいフルーチェができるのに、わざわざ生クリームを買い足して泡立てなきゃならない「フルーチェムース」。しかも、そのあと冷蔵庫で冷やさなければならない「フルーチェムース」。
面倒すぎだろ。こんなのいったい誰が食べるんだ。
……でも、僕は思ってしまった。「なんでこんなに面倒なものを載せるのだろう」と。
それは「美味いから」なんじゃないか。
「フルーチェムース」の味とは?
理論上、美味しいに違いない「フルーチェムース」。一度は絶対に食べてみたい。
僕はスーパーで買ってきた生クリームを渾身の力を込めて、ガシャガシャとかき混ぜていく。生クリームを泡立てた経験もないのに、ただただ無心でかき混ぜる。
「フルーチェならもうとっくにできあがって、今ごろ完食しているだろう」
そんなことを考えていたその時だった。生クリームに一筋に手ごたえを感じる。
「生クリームが…ホイップしてる!」
無事に生クリームは泡立った。僕は生クリームをフルーチェと混ぜ、冷蔵庫で冷やす。
そしてついに、未知の食べ物「フルーチェムース」は完成したのだ。
フルーチェとは明らかに違うビジュアル。魅惑的だ。
フルーチェの時の500倍くらいはかき混ぜたと思う。混ぜた分だけ輝いているように見えるのは気のせいだろうか。
フルーチェムースを口に運ぶ。なめらかな舌触りとリッチなミルクの香り。これは極上スイーツだ。
お手軽にできるフルーチェはたしかに最高だ。しかし、ほんの少しの手間暇を加えることでこんなに幸せな世界が待っていたのか……。
ハウス食品さんに聞いてみた
フルーチェムースの美味さに感動した僕は、こんな素晴らしいレシピがどのように誕生したのか、ハウス食品に問い合わせてみた。
すると、このような回答が返ってきた。
ハウス食品さん:製品開発担当者とアレンジレシピ担当者が、試作を重ね、相談しながら決定しています。
考案するレシピは、フルーチェのおいしさを活かしながら、「楽しく」「簡単に」「美味しく」作れることを基準としています。
その上で、材料が一般的に手に入るものであるか、またトレンドとして「映える」見た目になっているか等を考慮し決定に至ります。
なるほど……。
何気なく「こんなの誰がつくるんだよ(笑)」と見くびっていたパッケージ裏レシピ。実は掲載するために考え抜かれたものだったのか。
ハウス食品さん:フルーチェのパッケージ裏には、普通に作るフルーチェとはひと味違ったレシピを掲載しています。
フルーチェムースは、牛乳の一部を生クリームに置き換えて作るレシピですが、「神スイーツ」や「激ウマ」などの声がネット上で飛び交っています。フルーチェブランドサイトでも生クリームを使ったアレンジレシピを紹介していますので、是非チェックしてみてください。
私達もフルーチェ史上No.1のアレンジレシピと自負しておりますので、是非ともお試しいただきたいと思います。
公式サイトではその他にもハウス食品を使ったたくさんのレシピを公開していますので、ぜひ一度お試しください。
「パッケージ裏レシピ選手権」をやろう!
もっとパッケージ裏レシピを試してみたい。「こんなの誰がつくるんだよ(笑)」の向こう側を見てみたい。
そこで今回、「パッケージ裏レシピ選手権」と称し、スーパーでパッケージ裏にアレンジレシピが書いている商品を買っては試食する、という日々を過ごしてみた。
この記事では「パッケージ裏レシピ選手権」を勝ち抜いた「パッケージ裏レシピ・オブ・パッケージ裏レシピ」をご紹介していきたい。
目次
No.1 味の素「鍋キューブ® 鯛と帆立の極みだし鍋」海鮮だしの炊き込みご飯
味の素が販売している「鍋キューブ®」は、キューブ状になっている便利な鍋つゆの素だ。
鍋つゆ用の調味料であるものの、とても汎用性が高く、いろいろなメニューに活用できるようになっている。
鍋キューブ®のパッケージ裏レシピの中で僕がおすすめしたいのは、鍋キューブ® 鯛と帆立の極みだし鍋を使った「海鮮だしの炊き込みご飯」だ。
材料はもも肉、しめじ、人参、油揚げなど、どの家庭でもありそうなものなので、作りやすいところもポイントだ。
さっそくつくってみよう。
炊きあがって炊飯器を開けると、ふわーっと海鮮だしの香りが湧き上がってくる。
食べてみると、鯛や帆立のダシがやさしくご飯にしみていて、うまい。
高級な和食料理店のコースで、締めに出てくる炊き込みご飯を想像した。赤だしのお味噌汁と漬物と一緒にいただきたい味だ。
こんなプロの料理人がつくったような上品な炊き込みご飯が、うちの炊飯器で炊けるなんて。
ちなみに鍋キューブ®のパッケージ裏レシピは、これ以外にも多くの種類がある。どれも非常においしかった。
たとえば鍋キューブ® トムヤム味(期間限定品で次回出荷未定)の「パッタイ風そうめんチャンプルー」 も絶品だった。
そうめんやミックスシーフードを使ったパッタイ風そうめんチャンプルーも、完成度抜群。
鍋のスープを使って作ったとは、誰一人として思わないだろう。
味の素さんに聞いてみた
味の素さんにパッケージ裏レシピについてお尋ねしてみたところ、以下のような回答をいただいた。
味の素さん:鍋だけじゃなく、こんな使い方もできるんだ、便利だな!と気づいていただけるようなメニューを選定しています。「鍋キューブ®」は、鍋つゆとしてお使いいただけるのはもちろん、鍋メニュー以外にも広くお使いいただける調味料です。
いろいろなメニューに使いこなしていただくほど、美味しさと簡便さを実感していただけると思います。気軽に作っていただけるメニューをパッケージ裏面にご用意しておりますので是非お試しください。
また、スペースの関係でパッケージ裏面には載せられなかったアレンジレシピは当社のレシピサイト「レシピ大百科®」にて多数掲載しております。いろいろな「鍋キューブ®」のレシピを検索してみてください。
基本的には調味料の計量や調整が不要で、キューブを必要な分だけ入れれば簡単に味が決まるレシピを作成しているそうだ。だからこそ、キューブだけの味付けでここまで完成度が高かったのか……。
鍋シーズンも終わりに近づいているので、鍋キューブ®がまだ余っているというご家庭ではぜひ試してみてほしい。
No.2 伊藤園「こんぶ茶」トマトの冷製パスタ
伊藤園の「こんぶ茶」は、サッと使えて便利な顆粒タイプ。
北海道日高産の昆布を使用した、まろやかな味わいが特徴だ。
こんぶ茶のパッケージ裏には、なんと「トマトの冷製パスタ」のレシピが掲載されていた。こんぶ茶で、こんな小洒落たものがつくれるのか……!
調理してみよう。
冷製パスタなんて初めて作った。
見た目は鮮やかでおいしそうだが、麺と野菜だけのパスタなんて食べたことがないので少し不安。いただきます。
うまっ!
トマトの甘みとブロッコリーのシャキシャキ感のあと、昆布とオリーブオイルの香りが鼻を抜けていく。これはイタリアンレストランの味だ。
自分で作ったのが信じられないくらいの味の完成度。これ、こんぶ茶でつくったんだぞ……。
伊藤園さんに聞いてみた
伊藤園にパッケージ裏レシピについて問い合わせてみたところ、以下のような回答をいただいた。
伊藤園さん:製品の特長を生かし、簡単かつなじみがあり、おいしいレシピを選んでパッケージに掲載する方針です。
「こんぶ茶 70g」は北海道日高産の昆布を使用し、まろやかな味わいに仕上げております。こんぶ茶のまろやかな旨みが、さわやかな酸味のトマトを使用したさっぱりとした冷製パスタに良く合うんです。簡単に作れるので是非一度お試しください。
こんぶ茶でつくるトマト冷製パスタもめちゃめちゃ簡単でおいしいので、バッチリだ。とくに夏場にまた食べたい。
No.3 東洋水産「バリうまとんこつラーメン」豚キャベ焼ラーメン
次に紹介するのはインスタントラーメン「バリうまとんこつラーメン」だ。九州限定商品とされている。
シンプルながら、付属の調味油が醸し出すとんこつの香りが秀逸な袋麺。美味いのでよく食べている。
この「バリうまとんこつラーメン」の5個入りのパッケージに記載されているレシピが「豚キャベ焼ラーメン」だ。
ラーメンだからと言って、焼ラーメンがつくれるとはあまりにも安直過ぎないか……? 本当に美味いのだろうか。
つくり方はけっこう豪快。フライパンにラーメンの調味油をひいて、豚とキャベツを炒めた後に水250mlを入れる。
水が沸騰したら麺を入れ、麺がほぐれたら粉末スープを投入!
裏面のレシピにはソースも追加するように書いているが、ソースがなくてもおいしそうだったので、今回はソースを入れずに調理した。
焦がさないように丁寧にフライパンの水気を飛ばして、無事に完成。
見た目は合格……どころか、めちゃめちゃ美味そうだ。
炒めたことでとんこつの香りが引き立って香ばしく、食欲がそそられる。
食べた瞬間、美味すぎてにやけてしまった。これはウマい。
ビールが欲しくなるような、ガツンとパンチのある味わいだ。やはりここでも、ラーメン同様に調味油の旨味が効いている。
東洋水産さんに聞いてみた
東洋水産の方に、どうやってこのメニューが誕生したのかと尋ねてみた。
東洋水産さん:もともとの商品が汁ありのラーメンなので、「汁なしにアレンジできないか?」という発想がありました。その結果、焼ラーメンという料理にたどりついたんです。
お好きな食材でアレンジしていただき、オリジナルなレシピをお楽しみください!
付属のスープと調味油だけで味付けしているのが信じられないような完成度。個人的にはソースがなくても、かなりウマい。
「バリうまとんこつラーメン」は「インスタント焼ラーメン」でもあると言って過言ではないだろう。
うまくこのレシピを応用して、他のとんこつ袋麺でも「焼ラーメン」を試してみたくなった。
No.4 丸美屋「ふりかけ袋入りシリーズ すきやき」
おなじみの丸美屋のふりかけにも、アレンジレシピがあった。今回ご紹介するのは、知る人ぞ知る「丸美屋 すきやき」のふりかけ。
なんとこのアレンジレシピは「チーズバーガー風トースト」。ふりかけをパンにかけて食べるという大胆な一品である。
しかも「チーズバーガー風」だという。なんともナゾだ。
レシピはケチャップとマヨネーズをパンにぬった上に、スライスチーズを置いてトースト。仕上がったトーストに「すきやき」をふりかける。
めっちゃカンタン!
見た目は結構おいしそうに決まった。味の想像がまったくつかない。
なぜかチーズバーガーの味がした。頭が混乱した。
そもそも、この「ケチャップとマヨネーズを混ぜたもの」というのを初めて食べた(一般的にはあるあるらしいが、僕は初体験だったのだ)。これがけっこう、ファストフードのチーズバーガーのソースっぽい、ジャンクな風味をつくってくれて美味しい。
そこにチーズと「すきやき」の牛肉の風味が混じり合い、チーズバーガーの味わいになるようだ。
丸美屋さんに聞いてみた
丸美屋さんにもこのレシピについて問い合わせてみた。
丸美屋さん:丸美屋ではさまざまなレシピを作って試食し、その中から「おいしいもの、手軽に作れるもの」を選び抜いてパッケージ裏に掲載しています。
でもチーズバーガー風トーストは、担当者自身も目からうろこ! ふりかけの新たな楽しみ方を、ぜひ!
担当者さん自身も驚きのレシピだったらしい……!
でも朝の忙しい時でも簡単に作れるし、朝の定番になりえる一品。文句なしに美味い。
……ちなみに食べるとふりかけがポロポロこぼれるので、お皿の上で食べることをおすすめする。
No.5 エスビー食品「まぜるだけのスパゲッティソース ペペロンチーノ」ガーリックチャーハン
最後に紹介するのは、エスビー食品から発売されている「まぜるだけのスパゲッティソースペペロンチーノ」。
ゆでたパスタに和えるだけでおいしいパスタが食べられるので、僕もよく購入している。
実はこのパスタソースで、かなりレベルの高い「ガーリックチャーハン」がつくれるのだ。
みじん切りした玉ねぎを炒めた後、溶き卵を半熟程度に炒めた後、白飯を投入。そこに、パスタソースで味付け!
この一袋で味が決まるのだから驚きである。
ソースには、ガーリック、唐辛子、パセリのトッピングの袋が同封されており、ガーリックチャーハンのトッピングにもそのまま流用可能。
見た目もカフェ飯のような感じに。美味そうだ。
香りもガーリックの香りが香ばしく、食欲がそそられる!
これは「ガーリックチャーハンの素」なんじゃないかと思った。素晴らしい完成度の高さで、外食のようなリッチな味わいに舌が驚く。
2人前で定価220円(税別)のパスタソースでつくったものとは、到底思えない…。
これはみなさんもぜひ試してみてほしい。
エスビー食品さんに聞いてみた
エスビー食品さんにも、このアレンジレシピについて問い合わせてみた。
エスビー食品さん:まぜるだけのスパゲッティソースシリーズは、定番の「たらこ」を始め、「花椒ペペロンチーノ」や「かみにそバーニャカウダ」などさまざまな種類を取り揃えております。
お好みに合わせて色々なアレンジをお楽しみください!
知らない世界がパッケージ裏にある
「こんなの誰がつくるんだよ」
そう思っていた僕は愚かだった。
つくって、食べてみないとわからない世界がそこにあったのだ。
いつも使ってるそのパッケージ、ちょっとひっくり返してみてほしい。
各メーカーが「さまざまな食べ方を楽しんでほしい」という願いを込めた、商品への愛情の結晶ともいえる「パッケージ裏レシピ」の輝きを見逃さないように。
(執筆:大塚拓馬 取材協力:ハウス食品、味の素、伊藤園、東洋水産、丸美屋、エスビー食品(敬称略))
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