既存の曲を参考に「絶対に売れるラブソング」を作る

突然ですが皆さん、音楽は好きですか？ 私は大好きです。アイドルからアニソンまで、雑多になんでも聴きます。

ある日、同じく音楽が大好きな姉・しじみと互いが好きなバンドについて語っていた時、我々はこの世の真理にたどり着いてしまいました。

ねぇ聞いて……私、大変なことに気付いちゃった

何？ チケットの入金忘れたの？

それだったらもっと叫んでる。あとチケットご用意されてないの分かってるくせに言うなよ

ラブソングってさ、ずっと流行ってない？

……マジじゃん！！！！

そう、今も昔も流行る曲はラブソングが圧倒的に多いのです。

｢Billboard Japan Hot 100 Year End｣（年間音楽チャート）でここ数年分のTOP20にランクインしている曲を調べてみたところ、確かに多くのラブソングが確認できました。愛の力ってすごいですね。

…………売れたい

なんか言った？ 声小っちゃくて聴こえないんだけど

売れたい！！！！！！ ラブソング作って売れたい！！！！！！！！！！

声でっっっっか。でもわかるな～～～～～

フェスでオーディエンスを沸かし、M〇テやC〇TVにも出演するようなアーティストに……なりたいんだ……

欲深い

ラブソングを作って、売れたい。ちやほやされたい。

歪んだ欲を持った姉妹は、ある行動に出ました。

｢売れる曲を、自分たちの手で作り上げよう。｣

既存の曲を参考に「絶対に売れるラブソング」を作る

そう決意した我々は、さっそく売れるラブソングをつくることにしました。

せっかくなので、私と姉でどちらが優れたラブソングを作れるかバトルしてみたいと思います。

しかし我々は作曲の知識が皆無、作詞に関してもズブの素人。0から曲を作るなど到底不可能です。

なので今回は、既存の曲を参考にしながら、どうにか歌詞だけ作っていこうと思います。

▲素人でも歌詞が書けるように、既存曲を参考にしていきます

既存の曲から任意で3曲選択し、「特徴的なワード」「ストーリー性」などを分析し、それを基にオリジナルの曲を作っていきます。

完成した歌詞は友人3人に見てもらい、どちらの曲が売れそうかどうかを審査してもらいます。

そうと決まれば、グダグダしている暇はありません。待ってろ武道館！！！！

実際の制作風景

ここからは、私･アシベシゲルの制作風景をお見せしていきます。

いちおう軽音部でベースを担当しつつ作詞をしていた経験があるので、正直なところ勝つ未来しか見えません。メジャーデビューは私のものです。

①参考にする曲を決める

ここが一番大事なところといっても過言ではありません。いい曲を書くには、いい参考を選ぶ必要があります。絶対に、ふざけられません。

悩みに悩んだ結果、私はこの3曲を選びました。

I LOVE…/Official髭男dism

言わずと知れた大人気バンド･Official髭男dism。

最新の流行りと言えばヒゲダンでしょ！ という安直な理由で採用しました。

君の瞳に恋してない/UNISON SQUARE GARDEN

『オリオンをなぞる』『シュガーソングとビターステップ』などで知られるUNISON SQUARE GARDENから、この一曲を選びました。

友人に勧められてアルバムを聴いたとき、私に一番刺さったのがこの曲だったからです。

ハッピーウエディング前ソング/ヤバイTシャツ屋さん

大阪発の3ピースバンド･ヤバイTシャツ屋さん。キャッチーなメロディーとユニークな歌詞で若者を中心に絶大な人気を集め、この楽曲はYouTube上で2600万回以上再生されています。（2020年4月現在）

ここで、いま記事を読んでくださっている方の大半はこう思ったでしょう。お前、ふざけたな？と。

確かに、少しはふざけました。奇をてらおうとしました。でも違うんです。私は割と真面目なんです。ヤバTのように底抜けに明るくて聴いた人がクスッと笑える、耳残りのいいラブソングが作りたいと思い、この曲を選んだのです。

②歌詞を分析する

選んだ曲の歌詞を印刷しました。ここから、売れる曲の要素を研究していきます。

私の場合、「何度も繰り返し登場するワード」「特徴的なワード」を抜き出し、そのあとに全体のストーリー性や自己解釈をまとめます。

深読みが大好きなオタクなので、この作業がびっくりするほど楽しい！

▲気付いたことをいろいろ書き込む。

30分余りで3曲の分析を終えました。

各曲の特徴を掴んだところで、次の作業に入ります。

③歌詞を書く

先ほどの分析を踏まえ、早速歌詞を書いていきます。

PCのモニターと睨みあうこと数時間。浮かんだ歌詞を書き出しては消し、書き出しては消しを繰り返していきます。この作業、すごく苦しい。

▲フレーズがうまく繋がらず苦戦する筆者・アシベ

工程としては、まず曲のストーリー性（男性視点･好意をうまく伝えられない）が似ている『I LOVE…』と『君の瞳に恋してない』を参考に元となる詞を作り、そこにヤバTのエッセンスを加えていきます。いきなり使おうとすると、すべてが崩壊してしまうので……。

苦戦しつつ、2曲の要素から書いた歌詞がこちら。

きっかけなんて覚えてない　気付けば目で追ってたんだ
大きな瞳に華奢な肩、ポニーテールが風になびいて
君は誰もに頼られて　無邪気に笑ってみせるんだ
僕のことなんて見えてないよな

夢見てるんだ　君と結ばれたいって
「千里の道も一歩から」ってどっかの誰かが言ったけど
僕らの距離は何千里？　五里先も霧中で見えないよ
ヘルプミー、ジーザス！なんだってするから

叫ばせて　君が好きだって！
届きそうで届かない　どうしようもない胸の痛みを
振り切って　今、君のもとへと駆けていこう
……なんてね、できるわけないよな
今日もまた想いを拗らせていく

「クラスの人気者である女の子に片思いをしているけど、思いが伝えられない」そんな男の子の曲です。

ここからヤバTのエッセンスを足していきます。彼らの曲は関西弁を使うことによって軽快さが生まれており、言葉遊びでキャッチ—さを出しています。（この要素を私なりに取り込んだ結果は後ほど）

分析を始めてから完成するまで、実働時間は約5時間。

満足のいく歌詞が書きあがったところで、早速友人たちに評価してもらいましょう。

お互いの歌詞を見せあおう

お互いに歌詞が書きあがったところで、完成した歌詞を見せあっていきます。

まずは姉・しじみから。

10分弱で完璧な曲ができました。武道館と横アリを埋めます

うるせぇよ。そんな彼女が書いた曲がこちら。

「君に愛されたい」と願った時には　もう逃げ道なんてなかったの
私は君の目にどう映っているの　弱い子なんて思われたくはない
きっと向かっていくしかないんだ　自分の気持ちすら解けないまま

「月がきれい」とかそんなもんじゃない
走り出したらもう戻れない
君を泣かせちゃうくらいの一生分の恋をしたい
ねえ、神様聞いてよ

友達なんて役目はいらない　周りなんてもう見えないくらい
このまま誰も知らない場所へ　なんて
笑ってみせてよ　こんな私でも
君のそばに少しでも居れたらって　走って　ただ走ってく

参考にしたのは、LAMP IN TERRENの『オーバーフロー』、ポルカドットスティングレイの『阿吽』、KEYTALKの『Love me』。
3曲の共通点としてなんとなく走っているイメージが浮かんだので、そこを一本の柱としてまとめました。
「君に愛されたい」「一生分の恋をしたい」「少しでもそばにいれたら」と、いかにも一途な片思いワードが入れられたので満足です。原曲も聴いてください。

レベル高っ………。

MA〇CHのCMソングに起用されてバズります

黙れ、自惚れるな

タイアップまで視野に入れるほどハイクオリティな歌詞を出してきたしじみ。正直、予想をはるかに上回る出来映えでした。

続いては私・アシベシゲル。バンド経験者として、絶対に負けられません。

とにかく｢バズ｣を意識しました。勝つのは私だ。

何だかイキリ散らしてますね。完成作がこちら！

きっかけ、一体全体なんやっけ　気付けば目線でストーカー
大きな瞳に華奢な肩、ポニーテールが風になびいて
君は誰もに頼られて　無邪気に笑ってみせるんや
僕のことなんて見えてないよな（Look at me！ 好きって言い！）

夢見てるんや　君と結ばれたいって
「千里の道も一歩から」ってどっかの誰かが言うけれど
僕らの距離は何千里？　五里先も霧中で見えへんなぁ
ヘルプミー、ジーザス！あくまでもええから……

叫ばせて　君が好きだって
届きそうで届かへん　どうしようもない胸の痛みを
振り切って　今、君のもとへと駆けていこう
……なんてな、できるわけないよな
またこじらせてるわ　あかんわもう

おい待て、ふざけてんなぁ！！！！！！！！！！

うるさい、私は真面目だ。
参考にしたのはOfficial髭男dismの『I LOVE…』、UNISON SQUARE GARDENの『君の瞳に恋してない』、ヤバイTシャツ屋さんの『ハッピーウエディング前ソング』。甘酸っぱくてもどかしい片思いのストーリーを軸に、関西弁で軽さを出したり「ヘルプミー、ジーザス！｣のようなライブでのコール&レスポンスで盛り上がりそうなワードを入れました。夏フェスの定番曲になります。

こんなふざけた歌詞なのに説得力があるのがおかしい

重要なのはお互いがどう思ったかではなく、第三者からの客観的な意見。

今回は、邦ロックが大好きな友人3人に審査員を務めてもらいます。（公平性を保つため、作者は伏せています）

まずは姉・しじみ作の歌詞に寄せられたコメントから。

「優しい少年感がある。好き」

「女子とも男子ともとれない目線からの歌詞がいい。切なさを感じる」

「ボカロっぽい」

続いて、私･アシベの歌詞に寄せられたコメント。

「『ヘルプミー、ジーザス！』のところ、ライブで言いたい」

「『僕らの距離は何千里？』って歌詞がめちゃめちゃ上手い。すごい」

「最近の邦ロックっぽい」

どちらも高評価！ 鼻の下が伸びてしまいますね。しかし、これは勝負。勝敗を決めなければいけません。

｢どっちのほうが売れそうだと思う？｣と質問を投げかけます。すると……

と、いうことは……！？

やった～～～～～～！！！！！！！！ 勝ったぞ～～～～～！！！！！！！！

……勝ったからって特に何もないけど。

もし「歌詞に曲をつけたい！」「演奏したい！」という方がいらっしゃいましたら、アシベシゲルのTwitterまでご一報ください。また、メジャーデビューのお誘いもお待ちしています。

それでは失礼いたします。

（執筆：アシベシゲル）

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