物心つくころからスーパー戦隊が好きだった。むろん、子を持つ親となった今でも好きだ。
男子に混ざって遊ぶことが日常だったからかも。
記憶にあるなかで印象的だったスーパー戦隊は『電子戦隊デンジマン』。
小学生になっても見ていたのだが「さすがに卒業しろ」と親から禁止されてしまう。
私がスーパー戦隊との再会を果たすには、親になり子どもがスーパー戦隊に触れるまで、待たなければいけなかったのである。
今回はそんな私の、スーパー戦隊への愛を叫ばせてもらう。
『スーパー戦隊』のざっくり歴史
スーパー戦隊の歴史は、1975年までさかのぼる。
初のスーパー戦隊は『秘密戦隊ゴレンジャー』。2021年現在放送されている『魔進戦隊キラメイジャー』で44作目である。
注目してほしいのが、スーパー戦隊の名前だ。
最近のスーパー戦隊には『〇〇ジャー』と名付けられている。おそらく「レンジャー」が元だろう。
しかし1980年代〜1990年代はじめまで『〇〇マン』という名前のスーパー戦隊が多く登場していた。
スーパー戦隊には、必ず女性の戦士が1人以上は在籍している。当たり前だが女性は「man」とは呼ばない。
1990年代以降は、スーパー戦隊の名前に『〇〇マン』とつくことはなくなったのだが、これはジェンダー的な理由からではないかと推察している。
私がぜひとも紹介したい、近年のスーパー戦隊 3選
オリジナルメンバーが9人!『宇宙戦隊キュウレンジャー』
『宇宙戦隊キュウレンジャー』は、親になって初めて見たスーパー戦隊である。
歴代のスーパー戦隊のオリジナルメンバーの数は、多くの場合5人である。(3人だったスーパー戦隊もわずかながらある)
なのに『宇宙戦隊キュウレンジャー』は、オリジナルの時点から9人もいるのだ。約2倍である。
『宇宙戦隊キュウレンジャー』の特筆すべき点は他にもある。
『宇宙戦隊キュウレンジャー』のオリジナルメンバーには、宇宙人どころかロボットやアンドロイドがいるのだ。(ロボットとアンドロイドの明確な違いは不明)
スーパー戦隊では「追加戦士」といって、オリジナルメンバーとは別に話が進むなかで仲間になる戦士がいる。通常は1人だけだ。
しかし『宇宙戦隊キュウレンジャー』では、追加戦士が最終的に3人も加わるのだ。
『宇宙戦隊キュウレンジャー』の追加戦士には、俯瞰して状況を冷静に判断し、指示を出さなくてはいけないはずの “総司令” もいる。この総司令がなかなかの曲者で、キュウレンジャーの戦士になり戦いたかったのだという。アンタ指示を出す立場だろ!とツッコミたくなってしまう。
またスーパー戦隊史上はじめて、子どもの追加戦士(コグマスカイブルー・上図中央)も加わる。
もう何でもアリだな、という状況だ。
最終的に12人になった戦士たちのうち、素顔をさらして演技しているキャストは7人。
素顔をさらしている男性キャストが子ども含めて6人いたのだが、どなたも個人的にどストライクの美貌であった。私のイチ推しはヘビツカイシルバー。
このヘビツカイシルバーは作中で一時期 “闇落ち” してしまい、キュウレンジャーの戦士たちと刃を交えることになるのだ。
闇落ちという、なんともオタク心を揺さぶる展開。闇落ちしたヘビツカイシルバーをみんなが救い出す展開も、期待通りアツいものであった。
じつはスーパー戦隊に実際に会えるイベントが、テレビと同期しつつシーズンを通して開催されている。それは東京ドームシティはシアターGロッソで行われるスーパー戦隊のショーだ。
シーズンを通して5本の脚本が作られ、スーツアクターさんたちが演じる通常公演とは別に、実際にスーパー戦士をテレビで演じているキャストが登場する通称『素顔公演』なるものがある。
素顔キャストの美貌に魅力を感じていたのは私だけではないようで、東京ドームシティのシアターGロッソで行われる『宇宙戦隊キュウレンジャー』のショーのうち、この素顔公演の人気はすさまじかった。
一般公演のチケット料金は親子共通で1,500円(当時)だったのだが、素顔公演のチケットは高騰し、オークションサイトで約6.7倍(10,000円)を記録した。息子の友達のパパさんがその値段で競り落としていた。
なおこのパパさんはオークションサイトで2口並行して入札しており、合計4枚落札した。
行くのはパパさん本人とひとり息子の2人だけであったため、「一緒に行きませんか? チケット代は正規の値段でいいんで」と気前のよいお誘いが……!
しかし!!!!
当時3歳の息子は「自分の席までショッカー(みたいなモンスター)が来るのが怖い」と弱虫を発揮し、このお誘いを断ってしまったのである!!!!
おっ、オマエ……ッ!!!!
私はアラフォーの身で、長年探し求めた敵に相まみえたスーパー戦士のようなセリフをもらした。
素顔公演を蹴るなどッ!!! スーパー戦隊ファンとして、あり得ないッッッ!!!
まさか息子を置いて自分だけウキウキと公演にいくわけにもいかず、血の涙を心で流しながらこの申し出を断るしかなかった。
ヘビツカイシルバー様をナマで見たかった……。しばらく落ち込んだものである。
スーパー戦隊どうしが戦う『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』
スーパー戦隊と同じくくりで語られるものに「仮面ライダー」がある。
「仮面ライダー」シリーズでは、敵の方にも仮面ライダーが登場し、仮面ライダー同士が戦う、というコンセプトが昔から定番となっている。
それと同じように、戦隊どうしで対決するコンセプトを打ち出したのが『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』である。
ここでの追加戦士は1人だけだったが、なんと快盗側にも警察側にもなれる変幻自在の存在だった。この設定にはびっくりした。
どうせそのうち手打ちして一緒に敵と戦うんだろうとおもっていたら、警察が怪盗と慣れ合うところを子どもたちに見せるわけにはいかなかったのか、対立したまま最後まで見事に走り切ったのである。
映画では協力するところもあったが、味方として慣れ合うことはしなかったのだ。子どもたちの憧れの職業のひとつである警察のイメージを守り切った。
見事に、いい形で予想を裏切ってくれた。
そしてこのとき、スーパー戦隊同士の対立構造はあったものの、相手を滅するところまではいかなかった点も特記したい。
スーパー戦隊同士が戦っても、どちらも、誰も命を落とさなかったのである。
戦いのなかで命を落とす『騎士竜戦隊リュウソウジャー』
個人的に仮面ライダーを好む子どもたちと、スーパー戦隊を好む子どもたちには明確な違いがある、と思う。
仮面ライダーを好む子どもたちは、仮面ライダーが敵となって滅されてしまっても、受け入れることができるのである。
人間の汚い部分、闇の部分を何となく受け入れている、と感じる。
でもスーパー戦隊が好きな子どもたちはちょっと違う。
勧善懲悪のわかりやすい世界で、自分たちは善のサイドにいて、自分たちを脅かす悪の存在からスーパー戦隊が守ってくれることを、確認したいのである。
しかし。敵と戦う日々はスーパー戦隊の戦士たちにとっても常に、死と隣り合わせなのだ。
いかに子どもたちを守る存在とはいえ、その命が尽きることもある。
『騎士竜戦隊リュウソウジャー』において、2人目の追加戦士として現れたナダという戦士は、敵との闘いのなかで命を落としてしまう。
ナダの最期は私にとって非常に衝撃的だった。
何故ならナダは、リュウソウジャーになりたくてもなれず闇のパワーを持った鎧の誘惑に負けてしまった「闇落ち」経験があるキャラだったからだ。
闇を経験した人はハッピーエンドを迎えてほしい、と願っていた。
なのに。リュウソウレッドと一緒に戦っている最中に、胸を穿たれてしまうとは。子ども向け番組としてはやや過激な最期の描かれ方であったことも付け加えたい。
ただ一応、救いはあった。
ナダの魂は滅することなく、自身が新たな武器となってリュウソウジャーたちを助けていくのだ。
しかしスーパー戦隊ファンとして、ひと言、言いたいことがある。
「スーパー戦隊は戦いの中で死んではいけない」
その身を賭して、子どもたちを守る存在だから。スーパー戦隊が死んだら、子どもたちを守る存在がいなくなってしまうではないか。
実際私はナダの死後、それほど情熱をもって続きを見られなくなってしまった。
「スーパー戦隊は戦いの中で死んではいけない」
これは切に、クリエイター関係者の方々にお願いしたい。あくまで私の意見ではあるが。
余談だが、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の放送が始まってから、とあるCDが発売された。その名も「スーパー戦隊シリーズ TVサイズ主題歌集」。
CDプレイヤーを持っていなかった私は、このCDを聞きたいがために、CDプレイヤーを購入した。
スーパー戦隊の出発点である『秘密戦隊ゴレンジャー』から当時最新の『騎士竜戦隊リュウソウジャー』まで、各スーパー戦隊のテレビシリーズのオープニング曲だけを1枚に集めた、ファンなら必携のCDである。
なお安いCDプレイヤーを買ったためかすぐ壊れてしまい、CDは取り出せなくなってしまった。コレしか聴かないので、特段困ってはいない。
『スーパー戦隊』は子どもたちにとっての『水戸黄門』
スーパー戦隊も仮面ライダーも、若手俳優さんたちの登竜門として知られているとおり、皆さん子どもたちのヒーローを経て、活躍の場を広げておられる。
『侍戦隊シンケンジャー』シンケンレッド・松坂桃李、『天装戦隊ゴセイジャー』ゴセイレッド・千葉雄大、『海賊戦隊ゴーカイジャー』ゴーカイブルー・山田裕貴、『烈車戦隊トッキュウジャー』トッキュウ1号ライト・志尊淳、トッキュウ4号ヒカリ・横浜流星……。いやはや、振り返ってみるとそうそうたる顔ぶれだ。
いちファンとして、これからもスーパー戦隊出身の俳優さんたちを応援していきたい。
ただ最後にもう一度。
「スーパー戦隊は戦いの中で死んではいけない」
これだけは譲れないから。本当にお願いします。
『スーパー戦隊』は、子どもたちにとっての『水戸黄門』でいいんじゃないかな。
(執筆:しのむ)
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