コロナ禍で学生の思い出が失われ続けている。学生時代の思い出は一生の宝だ。
ドキドキしながら入学式へ行き、友人ができずに落ち込み、体育祭や文化祭で謎に泣きじゃくる女子を横目に見て、修学旅行では木刀を買って先生に怒られる。
そんな思い出が無くなっていいわけがない。
だが、私は同時にこう思った。
ぶっちゃけ修学旅行なら、オンラインでも出来るんじゃね……?
そう思い、インターネットで生計を立てている4人の男たちは、「Zoom」と「Google Earth」を活用したオンライン修学旅行を企画した。
すべては思い出作りのために……!
【参加者紹介】
広告屋さん。修学旅行の思い出は、その場から逃げるためにトイレを探していたこと。今回の主催者。 編集者。修学旅行の思い出は、わざわざ家からニンテンドー64を持参して開催されたスマブラ大会。 ライター。修学旅行の思い出は、何度もかかってくる無言電話と戦っていたこと。 元アイドル。修学旅行の思い出は、友人に木刀を買わせ続けたこと。 |
集合: 京都駅
「本日はオンライン修学旅行へお集まりいただき、ありがとうございます!」
「京都駅スタートなの、芸が細かい」
「最初はどこに行くんですか?」
「まずはルーラで清水寺にいきます!」
「グーグルアースのことをルーラって言う人はじめて見た」
清水寺
「清水寺までの道、五条坂につきました」
「店がほぼ閉まってる」
「撮影されたのが2020年の夏みたいですね。コロナと時期被ってるから?」
「これはちょっと寂しいなぁ……」
「一旦、道なりに進んでみましょう」
「あっ」
「これは……」
「清水寺の前に着いた瞬間、Zoom時間切れってマジ?」
「Zoomは無料プランだと40分しか通話できないですからね」
「もう一回URL再発行お願いします」
「Zoomあるあるだ……」
「トイレ休憩の目安にもできるし、ポジティブに捉えていきましょう」
「ついたぁ!!!」
「意外とちゃんと見れるもんですね。すごい!」
「記念撮影しましょう!」
「記念撮影? どうやって撮るんですか?」
「画面スクショです」
「お手軽だ」
「記念写真も撮ったところで、さっそく中に入りましょう!」
「あれ……でもコレ以上は進めないみたいですね」
「清水寺は、順路通りに進もうとすると入場できないんです。でも、ルーラを使うことで有料ゾーンに入れるんです」
「ゲームのバグ技みたいなことしてる」
「こちらが有名な『清水の舞台』です」
「まさかの工事中!!!」
「せっかく入ったのに何も見えない……!!」
「2020年12月までは工事中だったみたいですね。グーグルアースの撮影がその前だったのかな……」
「旅にアクシデントはつきものです。切り替えて次へ行きましょう」
伏見稲荷大社
「伏見稲荷大社! 千本鳥居が有名なところですよね」
「なぜ伏見稲荷大社を選んだんですか?」
「伏見稲荷大社には五穀豊穣・商売繁昌の神様がまつられているそうです。我々は社会人なので、給料上げてくれって神頼みしたくて……」
「選定理由が大人の事情」
「千本鳥居の前まで来ました」
「二つに分かれてるのはグーグルアースの表示バグですか?」
「リアルでも二つに分かれてる場所ですよ」
「まあ、グーグルアースってたまにバグって表示されることありますもんね。猫のやつとか」
「おお〜、ちゃんと中まで入れるんだ……!」
「ちゃんと歩いてる感じで進めますね」
「雰囲気出てますね。厨二心がくすぐられます」
「グーグルアースすごい」
安井金比羅宮
「京都最後の目的地は、安井金比羅宮。悪縁を断ち切り良縁を結ぶ『縁切り寺』として有名な場所です」
「修学旅行で縁切り寺ってどうなん????」
「そこそこ生きてれば、みんな切りたい縁もあるでしょ」
「さっきから選定理由が大人すぎる」
「私たちは引き返せないぐらいに大人になったのだ……」
「ここ、入場料かかるはずなのに入れるっぽい」
「清水寺もそうでしたが、有料ゾーンでもグーグルアースで入れるところあるもんですねえ」
「ちょっと得した気分」
奈良公園
「お次は京都から奈良へ飛びます。修学旅行の定番スポット、奈良公園です」
「普通なら京都→奈良で1時間くらいかかりますよね。オンライン修学旅行なら一瞬だ」
「奈良公園なら、東大寺の大仏も近いですよね」
「実は事前にロケハンしたんですが、東大寺はグーグルアースで中に入れなかったんです……」
「東大寺はグーグルNGなんだ……」
「子どもが鹿せんべいあげてる」
「そういえば、修学旅行で鹿せんべい食ってる奴、クラスに一人はいましたよね?」
「それ、僕です」
「あれって食うと紙の味しますよね」
「うん、あんまり美味しくないし、次の日おなか壊した記憶……」
「この空間だけで経験者が2人いるとは」
「奈良公園に来て思ったんですが、動物とかの触れ合い系はやっぱりリアルの方がいいですね」
「目で見るよりも、触って楽しむものですからね」
「オンライン修学旅行の欠点が出てきましたね」
「鹿の剥製を買って、自宅で撫でれば解決」
「こわいよ」
谷瀬の吊り橋
「最後にこれは自分の願望なんですけど……谷瀬の吊り橋に行ってみたいんです」
「谷瀬の吊り橋ってどこ??」
「このへんです」
「めちゃめちゃ山の中だ。普通ならアクセスあまり良くなさそう」
「普通の修学旅行なら行き先に入らないでしょうね」
「そんな場所でも気軽に行けるのがオンライン修学旅行の良さです!!!」
「谷瀬の吊り橋だぁー!!!!!」
「いや、やっぱりマイナーすぎん?」
「じつはここ、リアルで行ったことあるんですが、マジで怖かったですよ」
「ボクは高所恐怖症なので、修学旅行で連れてかれたら不登校になるレベル」
「こういう所で揺らすやつ、いましたよね」
「真顔で『やめて。』ってなるノリ」
「体験系のものは、やっぱりリアルには負けるかぁ……」
修学旅行終了
「というわけで、オンライン修学旅行、お疲れ様でした!」
「想像してたよりかなり面白かったです。Google EarthとZoomの新たな可能性を見た……」
「リアルの体験とは別物だけど、サッといけるし会話ははずむ。めちゃくちゃ楽しかった!」
「家から1歩も出ずにパジャマ姿のまま参加できるなんて最高では!? もう全部これでいいんじゃないかな」
オンライン修学旅行を行なった感想としては……意外に楽しい!!!
短時間でいろんな場所を回れるし、お金も一切かからない。
何より、修学旅行の思い出は「行く場所」よりも「人との会話」が重要だったりしますよね。同じ景色を共有しながら話す時間をもつという意味でも、実施する価値があったと思います。
みなさんもぜひ、オンライン修学旅行に挑戦して、たくさん思い出を作ってください!
オンライン修学旅行を企画するときの3つのポイント
最後に今回、企画・実施してみて気をつけるべきポイントがわかったので、シェアします!
以下3つのポイントを参考に、オンライン修学旅行を実践してみてください!
ポイント1. 建物の中まで見れるか、事前に調査しておこう
事前調査でわかったのですが、神社仏閣系はグーグルアースで中まで見れる場所が少ないんです……。
企画の際には、事前に内部まで見れるか確認しておきましょう。
ちなみに実際の修学旅行も、先生たちは事前に旅行先へ行ってロケハンしているそうです。いいなぁ。
ポイント2. 行く場所については、事前に情報を集めておこう
リアルで行く場合は、看板などで情報を提示してくれていることが多いと思います。しかしオンラインの場合、文字が潰れて看板が読めないこともしばしば……。
行く場所については事前にすこし調べておくと、参加者にスムーズな情報提供ができると思います。
ポイント3. 話しながらも、画面は動かしておこう
話しながらでも景色が動いていれば、よりリアルに近い旅行ができます。
ファシリテーションする人は大変かもしれませんが、リアルに観光している感を出すためにグーグルアースの画面は常にこねこね弄っておきましょう!
(執筆:チヂイワマサユキ)