ピーマンの肉詰めっておいしいですよね。
噛むとじゅわっと広がる肉汁、パキパキっとした食感、どれをとっても最高の家庭料理です。ピーマンの肉詰め、ウマ~~イ!
待てよ? ピーマンが使われている料理は数多あるのに、ピーマンそのものに詰められてるのって「肉」だけじゃないですか?
てことは、「ピーマンが入っている料理」をピーマンに詰めたら、まったく新しい「ピーマンの〇〇詰め」に出会えるのではないでしょうか?
ということで今回は、ピーマンの新しい魅力を探るため、いろんなピーマン料理をピーマンに詰め込みます。
最高の「ピーマンの〇〇詰め」を作る
今回の主役はなんといってもピーマン。せっかくなら、できるだけ良いピーマンを使いたいですよね。
用意したのがこちら。
茨城県産のピーマンです。茨城はピーマン作付け面積・出荷量ともに日本一で、ピーマンの一大産地として知られます。色が濃くツヤもあり、肉質は柔らかく苦味が少ないらしいです。(参考:茨城県公式HP)
楽天市場で、産地直送のめっちゃいいものを取り寄せました。
ピーマンに料理を詰めるために、穴を空けていきます。外側が割れないようにタネを抜く作業はなかなか緊張感がありますね。小ぶりなので、料理が中に詰められるかやや心配です。
準備ができたら、さっそく中身を作っていきましょう。
ピーマンの焼きそば詰め
トップバッターは焼きそば。お肉のラベルがいじらしかったので、お持ち帰りしました。こういったユーモアのある商品は手に取りたくなりますね。
なお今回、料理担当はすべて夫です(筆者は撮影係)。
完成しました。絵面ヤバい。
ピーマンの中に麺状のものが入ると、エイリアン感が出ますね。食べてみましょう。
ピーマンがしっかり焼けていなかったせいか、青臭さが口の中いっぱいに残ります。学校の帰り道、むじゃきに雑草を食べたときのような味わいですね。伝われ。
トップバッターを飾ってくれた焼きそばですが、お世辞にもおいしいとは言えませんでした。外側のピーマンに、焼きそばの旨味をブロックされてしまったのです。ソースを足してもおいしくなるかは怪しい。
噛むと非常にパキパキするので、新鮮な野菜を食べている感じはあります。次に期待しましょう。
【評価】
- 美味さ:★★☆☆☆
- 青臭さ:★★★★☆
- パキパキさ:★★★★☆
ピーマンの中華あんかけ詰め
続いては中華あんかけ。右下にあるのはエビです。せっかく作るなら本格派を目指します。
調理スタートです。
あんかけ作りのプロかな?
おいしそう。期待が高まります。
完成しました。見た目が先ほどと大差ないのはお許しください。外側が全部ピーマンですからね。
まあ見た目が華やかにならないのは初めからわかっていました。問題は味です。この企画は味がよければすべてOKなのです。見た目なんて気にしちゃダメだ。
恐々しながらも実食。
ピーマン × あんかけ = うまいやん。
肉とピーマンって、やっぱりめちゃめちゃ合うんですよね。味のバランスが取れていて最高です。
ひとくちめは「ピーマンです!」の主張が強く、若干の青臭さが感じられましたが、食べ進めると最初に感じた青臭さは消えていきました。素材の旨味成分が抽出されたあんかけと、肉とピーマンの旨味が口内で馴染んでいきます。これには筆者もニッコリ。あんかけのピーマン詰め、ととのいました。文句なしの一品です。
ただ、具材が大きいとポロポロこぼれるので、小さめにカットしたほうがよかったかもしれません。
【評価】
- 美味さ:★★★★☆
- バランスさ:★★★★★
- ポロポロさ:★★★★☆
ピーマンのミートソース詰め
バサッ。パスタのアップで失礼します。
ミートソースを炒めます。これだけでボーノみがありますね。地中海が私を呼んでいる。
ちなみにミートソースと酷似していることで有名なボロネーゼは、パンチェッタ(豚の塩漬け)、タリアレッテ(平打ち麺)、トマト少なめ、ワイン多めで作る料理だそうです。シンプル食材なのに、あいつはおしゃれだ。ミートソースはガキ大将って感じがするのに。
茹であがった麺とソースを絡めていきます。この作業が楽しいんですよね。
詰めるのクッソ大変だわ。
夫がイライラしながら箸で詰めてくれました。ありがとうね。
さて、気になるお姿は……?
ピーマンの中から「キイィィー!」という叫びが聞こえてもおかしくない見た目になりました。風の谷のナウシカに出てくる王蟲(オーム)みたいです。王蟲は腐海にいるし、地中海にいても不思議ではありません。
食べますか。
もしかして、ミートソースとピーマンって、合いすぎ? むしろ「ピーマンがないと物足りない……」と口寂しくなるほど相性がいい。料理の添え物のような扱いを受けているピーマンが、色合いだけでなく味も必要とされていることがわかり、なんだか嬉しかったです。
また詰めものがパスタ(小麦粉)なので、炭水化物と野菜を同時に摂れるというメリットもあります。肝心の味も、それぞれの個性をたたえ合っているようにも感じました。ミートソースは濃い目がおすすめ。
ただし先述したとおり、「パスタをピーマンに詰める作業がめちゃめちゃ大変」なようです。パスタを詰めようとするたびに、パスタが中からぴょいと出てくる地獄……考えたくないですね。味が良かっただけに残念。
【評価】
- 美味さ:★★★★☆
- 相性のよさ:★★★★☆
- 作りづらさ :★★★★★
ピーマンのピザ詰め
今度はみんな大好き、ピザ! あ~心が躍りますね。ピザはおいしいですから。
写真なんて撮らなくていいからはやく作りましょう。
手作りピザって最高(サラミの置き方が雑)。
ご覧ください。ピザ生地の厚さに、ピーマンが悲鳴をあげています。
予想通りの見た目ですね。打つ手なし。食べましょう。
美味! 好みによっては宅配ピザを頼まなくても満足できるレベルです。あと、なんとなくトルコ料理っぽい味がします。
ピザ生地に塗ったトマトソースとチーズがピーマンの味付けに一役買っており、調味料の偉大さを改めて実感しました。ピーマンをしっかり焼いたのもナイス判断です。
おいしさの秘訣は、なんといってもトマトソースでしょう。実は先に作ったミートソースにも同じものを使いました。トマトソースは汎用性が高くて助かります。
【評価】
- 美味さ:★★★★☆
- 満足さ:★★★★★
- トルコ料理さ:★★★☆☆
ピーマンの無限ピーマン詰め
最後は、無限ピーマンをピーマンに詰めます。
味付けはバター&めんつゆで挑戦。シンプルがいちばんおいしいです。
ごく普通のピーマンの炒めものです。バターの香りが最高。
まあ、こうなりますよね。
封印されていた何かがとびだしてきそうです。ピーマンが転生したらピーマンに詰められていた件、みたいなラノベが発売される前に検証しましょう。
「悪夢は、ここで断ち切るッ――!(いただきます)」
見た目はアレですが、おいしいです。バターとめんつゆ、予想通り合いますね。バターは洋風料理に使うイメージがありましたが、めんつゆの大和撫子さが効いているので一気に和風感がでます。香りでごはん1杯はイケそう。
ピーマンがすし詰め状態になっていますが、青臭さも特になく、純粋にピーマン料理として成り立ちました。普通においしい。外側の味も無限ピーマンとほぼ変わりません。当然か。
バターとめんつゆ以外にも、ツナやかつお節を混ぜてもおいしそうですね。詰めるものを変えると気分も変わっていいんじゃないでしょうか。『味変で 無限ピーマン 無限食い』(5・7・5)
【評価】
- 美味さ:★★★★☆
- 大和撫子さ:★★★☆☆
- ピーマンさ:★★★★★
肉のピーマン詰め
ピーマンの肉詰めは逆にしてもおいしいか? この世の真理を説こうと思います。
この決断が吉とでるか凶とでるか。あなたのその目で、確かめてください。
準備はいいですか? それでは、レッツゴー!
出だしから悪寒。
写真では伝わりづらいかもしれませんが、かなり大きいです。
焼き上がりがこちら。普段のハンバーグにはもう戻れないボリュームです。ごはんやスープがなくてもお腹いっぱいになりそう。
切ります。
パカ。
こ、これは……!!!
予告もなく某有名なパレード曲が頭の中でリフレイン致しましたことを、深くお詫び申し上げます。
小分けにしてお弁当に入れたらかわいい気がします。自宅で作れる隠れミッキーハンバーグ、お子さんにいかがでしょうか? 夢を壊してしまったらすみません。
肉の主張がすごすぎて、「ピーマンどこ……? あっ奥のほうにいる」な味です。完全に主役を食われました。味のバランスが全くとれていません。これじゃあ出しゃばりバーグだ。
やはりピーマンの肉詰めは、ピーマンが外側でないと真のおいしさを発揮できないのかもしれません。ちなみにデカすぎて中まで火が通らなかったので、レンチンするはめになりました。そのせいで肉がホカホカ茹でられた感じになったのも残念なポイントです。
もし再チャレンジするなら、ミンチを薄くして、ピーマンが前に出られるような環境を作ってあげたいなと思いました。君はまだおいしくなれる。
【評価】
- 美味さ:★★★☆☆
- 大きさ:★★★★★
- ジューシーさ:★★☆☆☆
「詰めて」わかったピーマンの魅力
最高においしかったのは『中華あんかけ詰め』で、料理としての完成度が高かったのは『ピザ詰め』でした。お子さんに人気がありそうなのは『肉詰め(リバース)』でしょうか。ハンバーグの量と焼き加減にはくれぐれもご注意ください。
結果として、ピーマンに料理を詰めるのは案外楽しいことがわかりました。見た目はアレでしたが、味がよかったのが大いなる救い。検証した料理以外でも、ピーマンに詰めておいしくなる料理はまだまだありそうです。ピーマンの可能性は無限大だ~!
我こそは、というチャレンジャーの方がいましたら、ぜひ作ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
(執筆:きたかぜコンロ)