第15試合 TECH☆TECH from NID vs クレイジースタディ ロボット部
最後に筆者のロボットの試合をご紹介しよう。(動画は2:00:40から再生)
まずは対戦相手の紹介。
TECH☆TECH from NIDの『配送ドローン EMU』。荷物を配達してくれるドローンがモチーフのロボットのようだ。コンセプトからしてハイテクノロジーである。
デザインもしっかりしており、おまけにドローンまでついている。ヘボコンにしてはかなり高度な出来ではないだろうか。
しかし……
ドローンはバネの力でちょっと跳ねただけであり、飛行というにはおこがましい。ちゃんとヘボくてよかった。
また「前進してプロペラで攻撃する」と説明してくれたが、見ての通りつまようじより短い羽が4つついているだけなので、攻撃力は低そうである。
筆者も人のことは言えないが。
筆者のロボットについてはすでに述べているため詳細は割愛するが、タオルをゆっくり回すだけとなってしまったロボットには、会場からどよめきと半笑いが沸き上がった。
では試合を見ていこう。
……何が起こったか説明すると、筆者が振り回すタオルがロボットに引っかかり、そのまま激しく横転してしまったのだ。結果、プロペラを回しながら前進するだけの『配送ドローン EMU』が勝利となった。
ロボットとは関係ないところで勝敗が決まるのも、またヘボコンたる所以である。
10年経ってもヘボいまま
というわけでヘボコンは幕を閉じた。
あらためて言うが、ヘボコンは今年で10周年。筆者も3年目から出場しているが、10年で何が変わったかと言われると、おそらく何も変わっていない。
強いて言うなら「ヘボへのアプローチ」が変わってきただろうか。ある人は動力に坂道を、ある人はとにかく派手に設定を盛りまくり、ある人は全てがめんどくさくなって既製品を持ってくる……。
ある意味「ヘボくするための技術」は進化しているが、だからなんだと言われたらどうしようもない。正しい技術を高めることを放棄し、ただみんなでゲラゲラ笑っていた末路がこれである。
なお審査員からのコメントは以下のとおり。
栗原一貴さん(イグノーベル賞 受賞者):
「ヘボコンはそもそも技術がなにもない」
「清々しい無力感」
「ただただ呆然と立ち尽くしている」すずえりさん(初代ヘボコン 最ヘボ賞受賞者):
「私は10年前に出たが、そこから何の進歩もない」
「無駄で悲しい」
「失われた10年」
散々な言われようだが、主催の石川さんも「10年経ってもヘボいまま」と述べていたので、我々は半笑いで頷くしかない。
ヘボコンに技術はいらない。ただ己のヘボさをさらけだせば、なぜか認めてもらえる、そういう特異なイベントなのだ。
銭湯にある37度くらいのジャグジーに似ているかもしれない。あまりのちょうどいいぬるま湯加減から、一度入ったら抜け出せなくなったのだ。
筆者はもう手遅れだ。
【筆者の過去のヘボコン参加録】
(執筆:じきるう)
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