というわけで、全肯定ロボ〜イエスマン〜を携えて「ヘボコン」にやってきました。
ヘボコンとは、技術力の低い人のためのロボット相撲大会です。まともに動かない、できの悪いロボットばかりが集まり、おぼつかない足取りでなんとか戦います。私が知る限り世界で唯一の、ロボットを作る技術を持たない人が表彰されるロボットコンテストです。(引用:ヘボコン公式)
今更ですが、今回の全肯定ロボ〜イエスマン〜は、ヘボコン用に作ったロボットになります。
ヘボコンは名目上「ロボット相撲」という体裁をとっていますが、ほとんどの参加者は勝ち上がることを重視しておらず、試合前のロボット設定解説やパフォーマンスに全力を注いでいます。ロボット相撲よりも、その前説こそが本番と言えるでしょう。
つまり、参加者のほぼ全員が承認欲求に飢えているということです(筆者含む)。そこで筆者の全肯定ロボ〜イエスマン〜が火を吹くのです。その承認欲求、オレが満たしてやるぜッ!
他の参加者様のロボットもいくつか紹介しておきましょう。
こちらは本媒体のライターでもあるこやしゅんさんのロボット「強き一票」。会場の皆さまから4つある投票箱に票を入れてもらい、票が多いほうに傾きロボットが前進するという機構だそうです。
……これでわかりましたね。決して筆者のロボットが異常ではないということに。このような実質“無動力”のようなロボットは多数存在します。ロボットの概念を改めてください。
こちらはメガネプロジェクトさんのロボット「メガネの砦」。作者は小学生男児で、上方に取り付けられたお父さんのメガネをブンブン振り回す攻撃が特徴です。お父さんに怒られないか心配。
なお操作性はかなり高く、配線もしっかりしており動力もついています。大人より小学生のほうがマトモなロボットを作れるのかもしれません。
こちらは筆者の第一試合の対戦相手、かーねるおいさんのロボット「パンダンドラム」。
イギリス発の兵器・パンジャンドラムを模した、パンダがマスコットのロボットです。一見かわいい感じのロボットではありますが、対戦中に前方の風船が爆発する機構が施されているなど、なかなかアグレッシブな挙動が特徴です。
なお、対戦相手のかーねるおいさんには「今日の主役です」タスキを事前につけてもらいました。試合前から相手を承認して自己肯定感を高めていきます。盤外戦術はヘボコンの基本テクニックです。
正直なところ、断られたらどうしようと思っていたので、ノリノリでつけていただき感謝しています。これにて筆者は承認されました。
筆者も「激しく同意」と書かれたTシャツを着用し、準備万端です。今回のロボット制作のなかで一番高い買い物でした(1,650円)。
それでは第1試合、いってみましょう。
ヘボコン(技術力の低い人限定ロボコン)お疲れ様でした!
LIVE配信アーカイブより、自分の出たシーンをちょっとだけ載せときます。#フルバージョンはリプ欄へ #ヘボコン #ヘボコン2023 #DPZ pic.twitter.com/6x2iUaW55J— じきるう 編集者 (@zikilluu) August 26, 2023
審判すらも困惑する、どっちが勝ったかよくわからない試合となりましたが、最終的に会場投票による判定負けとなりました。(詳しい試合の様子は公式YouTube LIVEアーカイブをご覧ください)
とはいえ、やりたいことはすべてやり切ったので悔いはありません。相手の承認欲求を全力で満たし、そして筆者はステージ上でロボットの設定を語り、自分自身の承認も叶えています。参加者全員の承認欲求を満たせる場所、それがヘボコンなのです。
なお、相手を全肯定し、首がもげるぐらい頷いた結果、実際にロボットの首はもげました。慣用句が実際に見られる光景はレアですね。
操縦者(筆者)もまた首が痛くなり、翌日ムチウチの状態でこの記事を書いています。痛みが引かなかったら後ほど整形外科に行こうと思います。
先述した通り、ヘボコン2023の様子はYouTube LIVEアーカイブに残されていますので、気になる方はぜひこちらをご覧ください。
今回は9年続くヘボコン史のなかでも、名試合がかなり多い大会だったかと思います。個人的な推し試合は「著作権に配慮して直前で遺影に変更したロボット vs 著作権ガン無視で大音量のBGMを流すロボット(1:44〜)」「コントローラーを忘れたロボット vs ロボットがコントローラーのロボット(1:51〜)」「両者ともクソデカいし設定の搭載量がバグった、会場投票トップを一手に担った試合(2:05〜)」です。なおこの記事では詳しく紹介しませんが、動画の終盤では審査員賞、最も技術力の低かった人賞などの授賞式の様子も映されています。
それではまた、参加者全員がぬるま湯の承認を与え合うイベント、ヘボコン2024でお会いしましょう!
【筆者の過去のヘボコン参加録】
- ヘボコン2022レポ(1回戦敗退)
- ヘボコン2019レポ(1回戦敗退)
- ヘボコン2018レポ(準優勝)
- ヘボコンDPZエキスポ大会2016レポ(最ヘボ賞)
- ヘボコン世界大会2016レポ(1回戦敗退)
(執筆:じきるう)
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