はじめまして、ぼっちのazumiと申します。28歳にして、はじめてやってみたことがありました。
それは、豆苗の再生栽培。根本あたりまで切った豆苗を水につけて育て、収穫するアレです。
今更すぎるけど豆苗育てるのハマってる、かわいい、世界一気軽なペットや… pic.twitter.com/Um3GLRRt70
— ぼっちのazumiさん (@azumi_bocchi) May 13, 2022
毎日水を替えて面倒を見ていくうちにすくすくと成長していく新芽の健気さ……なんとかわいいことでしょう。
なお、かわいがりすぎたせいで食べごろを逃したのか、味は再生栽培前の市販の状態のほうがおいしかったかもしれません。ちょっとわしゃわしゃした雑草の味がしました。
そして思いました。
そんなわけで、すっかり夏休みの時期を逃していますが、遅れてやってきた大人の自由研究にお付き合いください。
豆苗再生栽培の限界について調べてみた
現代のインターネットは便利です。なんたって「豆苗 再生回数」と検索すれば、再生栽培として収穫できる回数は2回までって書いてありますからね。
え、答え出ちゃったじゃん。2回まで採れるらしいです。
……いやいや。私は問いたい。本当に? 2回目までが限界なんですか??
もちろんしっかり調査したWeb記事やブログもあるんですが、なにがどうダメで2回目以上再生しにくいのか、デイリーで観測しているようなページは案外ないものです。
だったら私が人柱となってやってやりましょう。かわいくておいしい豆苗を愛でるために!
なぜ豆苗再生栽培は2回目までと言われているの?
実験を開始する前に、傾向と対策を練っておきましょう。そもそもここまで「2回目まで説」が流れているのはきっと理由があるはず。
検索して出てきた「2回目までの理由」は主に以下のとおりです。
- 豆の栄養素がなくなっていき、養分不足で成長しなくなるから
- 水はけが悪い場合、カビや腐敗などのトラブルが起き始めるから
ふむふむ。文学部出身の私の頭でも十分に理解できるまっとうな理由ですね。
……ということは、栄養があって水はけのよい「土」で育てればいいのでは!? 仮説レベルですが、「2回目の壁」を越える突破口が見えてきたかもしれません。
豆苗再生栽培の限界突破に挑む【実録26日】
まず豆苗を買わないことには始まりません。近くのスーパーに売っていた98円の豆苗を買いました。私が本実験の人柱なら、キミは豆柱だ……!(鬼滅の刃かな)
とにかくこの豆苗がもつ生命力に期待するしかありません。
土や植木鉢も用意しました。
シンプルに土栽培だけ行っていては、比較対象がありません。せっかくなので水栽培との違いや、屋内・屋外での違いも全部実験しちゃいましょう。
というわけで、今回実験するのは次の4パターン!
この中では栄養満点かつ光合成もできる「土栽培×屋外」が本命です。10回くらい採れちゃったらどうしよ。
いざ実験開始です!
回数やパターンごとに、どんなふうに育っていったかレビューしていきます。
豆苗再生栽培 1回目
「2回目の壁」と言っておきながら1回で失敗してしまっては話にならないと、わりとプレッシャーを感じながら育てました。豆苗再生に責任感を感じることになるとは……。
そんな心配をよそに、生命力の強い豆苗たちはすくすくと成長していきました。
芽が生えそろってきましたが、屋内と屋外で全然密度が違う……! 屋外のほうがみっちりと、葉の枚数が多めに生えているようです。日光の力だろうか。
毎日順調に成長し……
ついに実食。
ここはシンプルにごま油で炒めて、塩コショウでいただきましょう。
全部うまい!!! 豆苗はごま油で炒めるのが最強です。みなさんやってみてください。
……しかしこれは実験。「うまい」のなかにある味の違いや、量の違いをまとめてみました。
全体的な傾向として、
- 屋外で日光に当てたほうは葉がわさわさと生い茂る
- 土栽培のほうが豆の甘味を感じる味になる
という結果となりました。
意外な味わいだったのは「水栽培×屋外」。総評に「ふわふわベビーリーフ」と書いている通りで、完全に豆苗ではない触感の新芽がそこにありました。私はこれ好きです。柔らかな歯ごたえが好きな人は、屋外にて水で育ててみてください。
豆苗再生栽培 2回目
1回目で意外な差異がでたのに驚きつつ、2回目からが勝負です。ここまでは成功させなければならない……!
多少育ちがまばらになっていきつつも、4パターンの豆苗は枯れることなく、着々と葉をつけていきました。
「水栽培×屋内」の出遅れが目立っていますが……その他のパターンが伸びすぎてしまうので、ここで実食!
結構収穫量に差異が出ましたが、味もはっきり違いを感じました。
2回目にして大本命の「土栽培×屋外」が個人的にベスト豆苗でした。豆苗がエンドウ豆であることを思い出させてくれる味。豆特有の甘味が好きな人におすすめです。
ただ、成長スピードや収穫量、味のバランスの良さの観点では「土栽培×屋内」がダントツでした。このころは台風の日や炎天下の日が続いていたので、不安定な屋外より、エアコンつけっぱなしの屋内のほうが安定的に育ったのかもしれません。
なお、「水栽培×屋内」の豆苗は早くも暗雲が立ち込めています。正直おいしくない……。
豆苗再生栽培3回目
いざ、未知の領域へ。パターンごとの違いあれど、2回目まで豆苗たちは健全に育っていってくれたので、3回目も期待がもてます。
しかし……。
なんと残念なことに、
- 土栽培×屋内:3日目脱落
- 土栽培×屋外:12日目脱落
と、期待値の高かった土栽培シリーズが次々と消えていく結果に。
枯れてしまっても写真撮影のときくらい、そこに置いておきたかったのですが、なんせコバエが湧くものですから……。致し方なく撤去させてもらいました。いのちが止まった瞬間からすぐに獲物にありつく、コバエたちのハイエナのような精神がたくましい。
生き残った水栽培も、うっすらと豆に白カビや赤カビがあったので、実食は控えます。これ以上育てるのもやめておきましょう。3回目でフィニッシュです。
私の栽培力では、おいしく食べれるのは2回目まで、なんとか育てられるのは3回目までとなりました。大口を叩いたわりにほぼネットに書いてある通りじゃないか……。大本命の土栽培が、3回目にして急にうまくいかなくなって悲しい。
なんで!? 土に栄養があれば育つんじゃないの!? キミたち2回目まで水栽培より元気だったじゃん???
豆苗のプロに聞いてみた
私の理科力では考察に限界があります。豆苗のことは豆苗の専門家に聞いてみましょう。
Murakami FARM!!!
ということで、スーパーでよく見かける豆苗の販売元であり、豆苗研究会や村上農園 自由研究部などのサイトで再生栽培の実験も行われている「村上農園」さまに問い合わせたところ、大変ご丁寧なフィードバックをいただきました!!
「唐突な問い合わせですみません。今回4パターンで豆苗を育てるこんな実験をやってみたんですが、途中まで元気だった土栽培がなぜか急に元気なくなっちゃいました……。
“土なら栄養があるだろう”という仮説をもとに実験していたのですが、豆苗は本来水耕栽培の野菜ですし、土栽培は向いてなかったんですかね……?」
「Twitterの豆苗栽培の記録、拝見しました! 一度カットした豆苗でも、土に植え替えて、うまく育てば豆まで収穫できますので、土での栽培に向いていないということはないと考えております。
ただ弊社の実験では、土に植えた豆苗の葉や茎は1度しか収穫したことがなく、繰り返しの再生栽培に土が向いているかどうかは判断ができません。栽培の記録を拝見する限りでは、枯れた要因は向き不向きではなく、別にあったのではないかと推察いたします」
「なるほど。必ずしも土栽培が向いていないということではなかったんですね。“別の要因”とはどんなことが考えられるのでしょうか?」
「まず、豆苗の再生栽培は、根が元気な状態を保つことがポイントになって参ります。土での栽培の場合は、主に下記の点に気をつけて栽培されるとよろしいかと存じます」
「おお、具体的……!」
「栽培の記録の状態から推察し、『土栽培×屋内』は根腐れが起こっていた可能性がございます。
また『土栽培×屋外』に関しましては、3回目の栽培の状態から、栄養や水があまり吸えていないように見受けられましたので、根詰まりを起こしたか、何らかの原因で土に十分に根が張れていなかったのではないかと推察いたします」
※根詰まりとは:
植物を長い間同じ鉢で栽培することで、成長した根が鉢底で渦巻き状になるために、新しい根が伸びることができず、水分や養分の吸収ができない状態のこと。
(参考:園芸通信)
「詳細にありがとうございます! 非常に納得がいく分析です。
確かに『土栽培×屋内』は水はけのないガラス容器で栽培していたため、最初から根腐れのリスクがありました。そして『土栽培×屋外』は水はけや根の張り方が十分に見えた一方で、成長が進んでも植え替えをしていませんでしたので、根詰まりを起こした可能性が高そうです!」
「また、土栽培(特に屋外)ではどうしても、病気や虫害のリスクや環境要因から、栽培の難易度が高まりますね……!
初めて豆苗の再生栽培にチャレンジされる方は『水栽培×屋内』が失敗しにくくおすすめです!」
「私は家庭菜園素人にも関わらず高難易度なことをやろうとしていたわけですね……! 家庭菜園に慣れていなくて不安な場合は、ベーシックな水栽培×屋内でやってみるのもいいかもしれませんね。
村上農園さま、ご協力ありがとうございました!」
びっくりするくらい謎が解明しました。どうやら私の園芸スキルがもうちょっと高ければ、豆苗たちをもう少し長生きさせることができたのかもしれません。根詰まりという現象にまで気が回らなかった自分が悔やまれます……。
かわいくておいしい豆苗を何度も収穫するためのコツ
はじめに戻ります。私が実験や考察を通して得た「豆苗再生栽培のコツ」は以下のとおりです。
- おいしさ対策:
土栽培×屋外で育てると噛めば噛むほど豆の味(個人差あり)- 根詰まり対策:
最初から大きい植木鉢を選ぶ or 成長したら植え替えを行う- 根腐れ対策:
水はけのいい植木鉢や土を選ぶ- かわいさ対策:
上記の条件を満たすかわいい植木鉢を選ぶ☆毎日観察して愛でる☆
私は後半のコバエの湧いた豆苗がトラウマでしばらく実験できませんが……この記事を読んでチャレンジされる方はぜひこれらのポイントを押さえて栽培してみてください!
ご協力いただいた村上農園さまのYouTubeでは、土に植えて豆の収穫まで成功している動画が上がっています。すごい。
ということは……豆苗を育てて、豆を収穫して、そこから豆苗が生えて、また豆を収穫して……豆苗再生の∞ループができるのでは!?
とはいえ、ここまで協力いただいておいて、「豆苗は∞回再生できる」みたいな無責任な結末にはできませんので、このように締めておきましょう。
すべての記録は私のTwitterの「#豆苗観察にっき」にて公開中!
気になったら覗いてくれると嬉しいです。みなさん素敵な豆苗ライフを!
(執筆:ぼっちのazumiさん)