旅にいきたい。
しかし世間は言わずもがな。
不要不急の移動はなるべく控えるべきだろう。
そこでボクはおもった。
旅行した気分だけでも味わえないだろうか。
そうだ、旅先の写真を家の中で撮ろう。
画面にうつした観光地を撮る
気づいちゃったんです、ボク。
旅を構成するいちばん大切な要素って、「写真」じゃないですか。
旅先に行けば、猫も杓子もみなカメラ(スマホ)片手に写真を撮る。
おまえふだん写真撮るタイプじゃないだろって人ですら、なぜか旅先では観光名所の写真をバシバシ撮りまくる。
そして観光名所の前でキメ顔ダブルピースかましてフィニッシュだ。
そう、旅に写真は欠かせない。
逆に言えば、旅先の写真さえ撮れれば、旅は成立するのだ。
気づいちゃったからにはさっそく撮ろう。
いまは大インターネット時代。
ちょっと調べれば、世界各国の観光名所の写真がいくらでも出てくる。
家にいながら世界中を旅できるのだ。インターネット万歳。
……そう、今回やるのは「観光地の写真をパソコンの画面にうつして撮影する」というものだ。
これで観光地、すなわち旅先の写真を撮ったことになる。
我ながら天才的な発想だ。
ノーベルステイホーム賞 受賞おめでとうございます!
フリー素材サイトでいい感じの写真を探すこと、約2分50秒。
おっ、パリの凱旋門。
いいねぇ〜。いちどパリ行ってみたかったんですよ。
4年前、古着屋でアルマーニのロングコートを14,000円で買ったのだが、あまりにも自分に似合わなすぎて押し入れに仕舞ってしまった。
あのアルマーニも、きっとパリなら馴染んでくれるはず。
今回はパソコンの画面を撮るだけだから、何の関係もない。
さっそく撮ってみた。
う〜ん……。これでは旅行感は出ない。
ただパソコンの画面をカメラで撮っているだけだ。
なんなら背景に洗濯物とか映っちゃってる。旅どころか生活感丸出しだ。
我が家はベランダがないから部屋干ししかできないし生乾きの臭いがひどい。そういうときは冷房をつけっぱなしにするといい感じに乾くぞ。
何か……何かひとひねりほしい。
ただ画面を撮影するだけじゃない、なにかリアルなものが……ハッ!
ボクはひらめいた
ひらめいてからは早かった。
さっそく近所の百均に足を運んだ。
雨上がりシチュをつくる
さて、ここまで読んで何をやりたいか、聡明な読者ならお気づきだろう。
そう、水をぶちまけたカラーボードを「雨上がりの道路」に見立てて撮影しようとしているのだ!
フォトウォーク(街中を歩きながら写真を撮っていく遊び)の界隈では、「雨上がり」というシチュがとても人気である。
なぜなら水たまりに被写体が映り込んで、なんかエエ感じになるからだ!
雨上がりシチュ上級者はこういう風に、わざわざ地面に水をぶちまけて写真を撮ったりもする(※周りの迷惑にはならないようにね!)。
そう、それを、家の中で再現してみた次第である。
水たまりというリアルな事象を用意したいことで、旅の写真はいっそう映えるに違いない。
舞台は整った。
さっそく写真を撮ってみよう。
あれ……?
うん、いや、なんだろう。なんか違う。
パソコン内の写真と、カラーボードの境目が気になってしまうな。
うーむ、なにかいい解決策はないだろうか。
凱旋門があまり水たまり映えしなかっただけかもしれない。別の写真を探してみよう。
東京タワーとか良いんじゃないかな。
雨上がりの地面に、逆さ東京タワーが写っている。
地面だけ見ても良い感じ……んっ……!?
あっっっ!!! そうだ!!!!
完璧だ。
水たまりと画面の両方を撮るからいけなかったのだ。
水たまりだけ撮れば、あまり違和感がない。
かつ、パソコン独特の「画面っぽさ」も消える。
画面を直接撮らず、水たまり越しにパソコンの画面を撮る。これはアリだ。
画面特有のモアレ(干渉縞)も気にならない。
……そしてこの「◯◯越しに撮る」という発見は、ボクにさらなるヒントを与えてくれた。
次行ってみよう。
画面越しに画面を撮る
これを……
こうして……
こうじゃっっっ!!!
やった、完全なる正解を見つけてしまった。
スマホの画面越しに、パソコンの画面を撮るのだ。
先ほどの水たまり越しの写真は、カラーボードののっぺりとした感じがやや気になっていた。
しかしスマホは完成された造形美。
スマホそのものの写真映えも、文句なしだ。
スマホに焦点を合わせ、背景(パソコン画面)をボカせば、完璧。
家にいながら、観光地の写真を撮ることに成功した。
うちで旅しよう
これにて「旅先の写真」が完成した。
ボクは、たしかに「旅行」にいったのだ。
見上げれば現実が巡るが、そんなことはどうでもいい。
旅にいったという、その感覚こそが大事なのだ。
まだまだ自粛が続く世の中、気持ちだけでもトリップしていこう。
(執筆:じきるう)
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