毎度ありがとうございます、じきるです。
この世には2種類の食べ物がある。
「溶けるもの」と「溶けないもの」だ。
例えばアイスは溶ける。そりゃもう、めっちゃめちゃに溶ける。
真夏の炎天下37度のもとコンクリートの上に放置したら、20秒ももたずに全て液体と化すだろう。車のボンネットの上なら、15秒。
しかも、夏じゃなくても溶ける。冬でも氷点下とかいかない限り、普通に溶ける。溶けるんだぞ。
そう、アイスは冷凍庫に入れないと溶ける。
これは全国民1億2千万人が知る、当たり前のことだ。
……はたして、それは本当だろうか。
「アイスは冷凍庫に入れないと溶ける」
これは世の理。常識だ。
だが、そもそも常識なんてものはあてにならない。
かつてニコラウス・コペルニクス(1473-1543)は、天動説が常識の時代に、地動説を唱えた。「地球ではなくお天道さまが動いている」という当時の常識に疑問を呈したのだ。
そして、天動説は間違いで、地動説のほうが正しかったと後に証明された。常識は打ち破られたのだ。
そう、常識は打ち破られるためにあるのだ。
「アイスは冷凍庫に入れないと溶ける」
実はこの常識は、間違っているのかもしれないのだ。
そこでボクは、
真夏のお盆休みに、友人にお中元としてアイスを送ってみることにした。
ゆうパック(要冷凍じゃない普通のやつ)で。
434km先の友人に常温でアイスを送ってみた
今回お中元を送る友人(被験者)はこのお方。
ご存知の方はご存知、知らない人はそのほうが良いということでお馴染みの異次元ライター・佐藤花太郎くん。
サツマイモと人参の間で満面の笑みを見せている。きっと前世はベジタリアン。菜食主義者だろう(現世は雑食)。
いつもお世話になっている彼に、お中元としてアイスを送ってあげよう。
はい。
写真では撮り忘れたが(やっべ)、このあとアイスはスーパーのビニール袋で8重にして封入した。
決して、暑さでアイスが溶けて水滴や良からぬ液体が漏れ出すのを防ぐためではない。
これは、秘匿性を高めるための行為だ。
「シュレディンガーの猫」という思考実験をご存知だろうか。中二病の皆さんなら全員ご存知だろう。
難しい話はしたくないため(というより出来ないため)簡単にざっくりいうと、箱の中に閉じ込められた猫は、それがボクたちの目に見えない以上、生きている可能性と死んでいる可能性が同時に出現する、というアレである。
しかし逆にいうと、少しでも箱の中が見えてしまったら、箱の中の秘匿性が薄れ、猫が生きているか死んでいるかはわかってしまう。そう、わかってしまうのだ。
秘匿性は高めるに越したことはない。
だからボクは、アイスをビニール袋で8重にして封入した。アイスが溶けている可能性と溶けていない可能性、それらを確実に、同時に出現させるために。
決して、気温差により水滴が漏れ出してダンボールが濡れることを防ぐためではない。
これにて、アイスが溶けている可能性と溶けていない可能性、2つが同時に存在することとなった。
ついでにApple製品の”空き箱”も一緒に送ってみた。
ボクはこれを空き箱だと思っているが、もしかすると空き箱ではないかもしれない。
なぜなら、箱を開けて確かめていないから。
シュレディンガーだ。猫だ。
だいたい全部で13万円(発売当時価格)くらいするだろうから、もし中身が入っていれば彼は大喜びでボクに忠誠を誓うだろう。
そしたら毎月一回は、お中元を送ってもらおう。お中元ってなんだっけ。
あとNINTENDO 3DSの”空き箱”も送ってみた。約2万円(発売当時価格)。
もちろん中身は確認していないから、もしかしたら空き箱ではなく中身入りの箱かもしれない。なんなら未使用の新品かもしれない。シュレ猫。
お盆休みで暇してるだろうし、3DSがあったらテンションアゲアゲだろう。ゲームソフトは送ってないし、なんなら本体が中に入っているかもわからないけど。
ちなみに箱を振ってみたら、空を切るようなスカスカした音が鳴った。
……あれ、今回アイスが溶けるか溶けないかの話だよな。まあいいや。
発送はボクの実家がある埼玉県。到着は彼の住まいがある岩手県。
実に434kmの道のりである。歩いたら3日と23時間かかるらしい。それもう約4日でいいじゃん。なんなの、その几帳面アピール。バトル漫画なら「ヤツがこの僕に勝つ確率はたったの0.237%」とかいう分析家タイプのメガネキャラじゃん。好きだよそういうの。
というわけで、ボクはアイス2箱、Apple製品3種、3DS、(あと普通に地元の美味しい銘菓)をダンボール箱に詰め、近所のローソンからゆうパックで郵送した。到着は2日後。
ゆうパックで送る時、郵送書面の特筆事項欄に「なまもの」とかの欄が見えた気がしたが、見なかったことにした。
アイスは「なまもの」に含まれるのか?と微妙だったが、そもそも箱の中身は開けるまで誰にもわからない。目に見えない以上、シュレ猫なのだ。
そもそもボクは「なまもの」の表示が見えた”気”がしただけで、実際はそんな欄は存在していないかもしれない。たぶんこれもシュレ猫。そういうことにしてくれ。
ちなみに郵送料は1180円だった。
ダンボールひと箱送るだけでも結構かかるんだね。
シュレディンガーのアイスは溶けたのか、溶けていないのか
2日後。
岩手の花太郎くんに、ボクからのお中元が届いたとの連絡が入った。
じきるくん(@kazzikill )から謎の箱がとどいたんですが、なんと!アップル製品三種と3DSが入ってました!_(┐「ε:)_ pic.twitter.com/04vxWNUrkm
— 佐藤 花太郎/秘密基地制作中 (@hanataro_1) August 17, 2018
めちゃめちゃ喜んでらっしゃる。送った甲斐があったというものだ。
さて……。ここからが本番。
肝心のアイスは、これまでの常識どおり溶けているのだろうか。
それとも常識の壁を打ち破り、アイスは溶けていないのだろうか。
もしアイスが溶けていなかったら、「アイスは冷凍庫に入れなくても溶けない」という新しい定理が生まれ、ボクはノーベル物理学賞を受賞するだろう。
でも論文とか書くのはダルいんで、その辺はゴーストライターに任せよう。「新垣」って苗字の人がいいな。
あと中に確実に溶けてます!!byじきると書かれていたのでなんだろう?と思ったらアイスでした。しかもマトリョシカみたいに8まい?の袋に入っていました。やっぱクレスタ創設者はクレイジーです。はい。 pic.twitter.com/DZqfYUTpQn
— 佐藤 花太郎/秘密基地制作中 (@hanataro_1) August 17, 2018
花太郎くんが、お中元箱のなかからアイスを発見したようだ。
ちなみに彼にアイスを送ることは伝えていない。
「確実に溶けてます!!by じきる」なんて書いた記憶はないのだが(あるかもしれない)、いつのまにかアイスを包んだビニール袋にはそんな文言が書かれていたらしい。これもシュレ猫の不思議なところだ。
さて、果たしてアイスは常識どおり溶けていたのだろうか。
それとも意識高めな就活生のごとく常識の壁を打ち破り、見事アイスは溶けずに原型を保っているのだろうか。
緊張の瞬間。
あっ。
えっ。
うっ。
Oh。
溶けていた。これは明らかに溶けていた。
オーケー、わかった。ボクの完敗だ。
アイスは、冷凍庫に入れないと溶ける。
今回は、これは常識ってことにしておいてやろう。
でも絶対ボクは諦めない。
常識の壁を打ち破るため、いつかアイスは常温でも溶けないことを証明してやる。
それにしても、溶けたアイスをドリンクにして飲むとは……。
こればっかりは想定外だよ。
常識を打ち破ったのは、花太郎くんのほうだったのかもしれないな。
おまけ
ちなみにApple製品3種と3DSは、おおかたの予想どおり全て空き箱だったようだ。
うまく行けばシュレ猫理論を使ってApple製品を無限に錬成することも可能では?と思ったが。
流石にそれは無理だったようだ。
ないものは生み出せない。死んだものは生き返らない。お盆には霊体で帰ってくるけど。
余談だが、Apple製品の空き箱はメルカリでそこそこのお値段で売れるらしい。
箱があると、Apple製品(本体)を売るときに高く売れるんだとか。それで空き箱の需要があるんだとか。
マル特情報をお伝えしたところで、今回はこの辺で締めさせていただこう。
では、また次回。
(おわり)
※ 本記事で述べまくった「シュレディンガーの猫」は、たぶん正しい意味でのシュレディンガーの猫ではありません。そこのところ突っ込むのはやめてください。泣いちゃうから。
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