SNSには、数多のスパムが存在する。
ちょっとした動作でアカウントが乗っ取られてしまい、勝手に投稿されたり、フォロワーに怪しいリンクを送ってしまったり。
筆者も中1の時に初めて取得したTwitterアカウントが、乗っ取りによるスパム規制で凍結されてしまったことがある。あの夏の日の苦い記憶は、今でも鮮明に思い出せる。
今回ご紹介するのは、Instagramで大量発生中の「CHECK MY BIO」スパムアカウント。
所詮はエロ系スパムなのだが、なぜか笑えてしまう。気づけば私は、違う意味で心を奪われてしまっていた。
CHECK MY BIO!! 彼女らの誘い
まずは実際に、エロ系スパムによる投稿を見てもらいたい。
露出の多い女性の写真。その中央には「CHECK MY BIO(私のプロフィールを見て!)」の文字がでかでかと書かれている。
この写真に数十人のユーザーをタグ付けして投稿するのが、最近のエロ系スパムの手口。
プロフィール画面はこのようになっている。
大量に並ぶ、同じ写真の投稿。これが「量産型女子」ってやつですか?
CHECK MY BIOの言葉に従い、プロフィールを見てみると以下のように書いてある。
私の身体は男たちへの淫らな贈り物
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今回はやたらプロフィールを見せたがるアカウントたちを無作為にいくつか選出し、それらの特徴や傾向を探ることにする。
一見自然なID
普遍的なスパムアカウントの特徴として、IDがランダムなアルファベットの羅列であることが挙げられる。恐らく、機械的に多くのアカウントを作成するためだろう。
しかし、最近発生しているエロ系スパムたちはそうでもない。わりと意味のとおる文字列や、人名と思われる文字列が使われている。
考えられる可能性はふたつ。
- 不自然なアカウントとして認識されないための対策
- 既存のアカウントをスパムで乗っ取り、IDはそのままに元のプロフィール、投稿などをすべて削除した
もし後者なら恐ろしい。
自分のInstagramが勝手に乗っ取られ、すべてを消されたうえでエロ系スパムを振りまく害悪アカウントになってしまうことを考えたら、夜もおちおち眠れない。すみません嘘です快眠でした。
女の子の特徴
次に、エロ系スパムのプロフィール画面に注目してみよう。
1人目はTeruma(テルマ)さん。22歳ということは大学4年生か? 就職先決まってるんじゃないですか? こんなことしてるのバレたら内定取り消しになりそう。
…………あれ? アイコンと投稿写真、別人じゃない? きっと彼氏に振られてイメチェンしたんですね。女子って、失恋すると髪切ってイメチェンしがちですから。彼氏に振られた反動で自暴自棄になってこんなことに手を出してしまったのでしょう。早く次の恋を見つけられるといいですね!
2人目はAika(アイカ)さん。25歳というと、社会人2年目だろうか。美容品関係の開発職してそう。
彼氏がいないまま3年が過ぎようとし、焦っているのだろうか。身体を使えば男のほうから寄ってくると考えたのだろう。彼女のもとにはまんまと策にハマった男からのDMが今日も届く。もう、そのDMに快感を感じるようになってしまっているのかもしれない。SNS依存予備軍だ。
3人目はDoi(ドイ)さん。土井さんだろうか。それともハーフ?
年齢は……えっ、18歳!?!? もしかしたら、まだ高校生なのでは……? 受験勉強のストレスで手を出してしまったんだろうか? 学校にバレたら生徒指導じゃ済まない気がする。それに、もし悪い男に見つかってしまったらそれを弱みに犯罪に巻き込まれてしまうのでは。先輩のこと、心配です。早くこんなことやめてください…………。
エロ系スパムに載っている女の子は大半が日本人とみられ、年齢は18歳~25歳。なるほど、若い子にみんな釣られてくるからか。
一部例外はあるが、そこはそれぞれの性癖なので言及はしない。人の数だけ性癖は存在するので、そこは尊重しなければいけない。LOVE&PEACEの精神だ。
なお、どの女の子の写真も、おそらく他所から拾ってきたものだろう。元ネタの女の子たちは、エロ系スパムに使われていることをどう思っているのだろうか。……まあ、普通にイヤだろうな。
頭から離れないプロフィール文
エロ系スパムアカウントの最大の特徴は、何といってもBIO(プロフィール)である。投稿からBIOに誘導するんだから、スパムを仕掛ける側としては確実にリンクを踏ませなければいけない。
しかし、今回のスパムではプロフィール文の耳残りが良すぎるあまり、肝心のリンクを踏む人が極端に少ないと私は考える。
ここで、もう一度その文面を見てみよう。
私の身体は男たちへの淫らな贈り物
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やはり、面白い。一体なにがこの文章に面白さを与えているのか。一行ずつに分け、考えてみた。
私の身体は男たちへの淫らな贈り物
最も特徴的なのは、「淫らな贈り物」という表現。こんな言い回し、一昔前の官能小説じゃないと出てこない。
どこか羞恥心を感じてしまうが、語感がとてもいいので声に出して読みたくなってしまう。声に出して読みたい日本語のトップ20に入りそうだ。
見せてあげるはじめての裸エロ動画
倒置法が使われているため、「見せてあげる」という動詞がより強調されている。
違和感を感じてしまうのは、そのあとの「裸エロ動画」である。「エロ動画」で済ませればいいものを、「裸」という情報を付け足すところが面白い。エロ動画なんて、だいたい裸じゃないのか?
そのような類の作品を見たことがないため、断定はできない。私は健全な青少年なので。
……とまぁ、このようになっている。要は、ツッコみどころが多いから面白く感じてしまうということだ。
海外で見られるトンチキ和訳と同じだろう。(「Superdry©が「極度乾燥(しなさい)」と訳されているようなアレのことである)
おわりに
…………さて、ここまでただのエロスパムに関して長々と語ってしまったが、最後に大事なことを一つ確認しておきたい。
もっとも、広いインターネットの世界でおもしろ記事を読むような皆さんからすれば当たり前すぎることかもしれないが、どうかこれだけ。
おまけ
(執筆:アシベシゲル)
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