突然ですが、あなたの推しポケモンはどの子ですか?
私は「シンボラー」。いまいち意図が読めない感じ、最高じゃないですか?
それなのにピクシブ百科事典では、
「その特徴的なデザインから先輩*同様コアなファンがいるらしく、」
*ネイティオのこと
オイ誰がコアなファンやねんコラ、シンボラーさんは最高のポケモンだろうがよ???
強く主張する私ですが、残念ながら賛同は得られず。「フリージオも好き……」とつぶやいている間に30歳目前になってしまいました。
さて。
同じく「最高なのに賛同を得られない」ゲームがあります。それが『Zoic(ゾイック)』です。
「ポケモンGOのようにリアルな街を探索し、約5億年前(カンブリア紀)の古代生物をゲットするゲーム」
ワクワクしてきましたね? 覇権ゲーの予感ですね? なのにまったく流行ってないのよ!
というわけで、この記事では『Zoic』の魅力を語らせていただきます。まずは今すぐインストールしてください。
目次
2017年6月、突如現れた位置情報ゲーム『Zoic』
『Zoic(ゾイック)』の舞台は、異次元ワームホールの影響で、約5億年前の平行世界とつながってしまった地球。
そこからさらに150年経ち、なんやかんやあって地球は水没。カセキ型新生物「Zoic(ゾイック)」があふれる環境となってしまいました。
主人公であるあなたは、位置情報に連動する「母艦」に乗り、水没した地球を動き回りながら、個性豊かなゾイック達を捕獲することになります。
なぜかって? それは知らん。
ゾイックをたくさん捕獲するとレベルが上がるほか、集めたゾイックでスタジアムバトル(ジム戦みたいなもの)に挑むこともできます。
なぜ? 知らん。
ともかくこういうゲームでして、津々浦々を旅しながらレアゾイックを捕獲し、最強のチームを作り上げるのが目標、というわけです。
そんな『Zoic(ゾイック)』を開発・運営するのは、株式会社マップル・オン。『まっぷる』『ことりっぷ』で有名な、昭文社グループの企業です。
サービス一覧を見てみると、やはりマップ系のアプリがほとんど。『Zoic』が位置ゲーなのは、同社が培ったノウハウを生かしたコンテンツを、と考えた結果なのでしょう。
調べてみると、2017年6月27日のニュースリリースが見つかりました。どうやら、「激レアモンスターをゲットしよう!」という切り口で、観光客を誘致するねらいもあったようです。
実際に、『Zoic』の約1年前にリリースされた『ポケモンgo』(2016年7月6日)では、地域限定ポケモンを求めて「遠征」するプレイヤーも。蓄積した知見とトレンドに乗った技術のシナジー効果をねらったコンテンツ、と言えるでしょう。
位置ゲーファンも唸る、完成度の高いゲーム性
同社の本気度は、卓越したゲーム性に現れています。
ゲームファンとして安易に他ゲーと比較したくないのですが、一部レビューには「ポケモンGOより断然いい」との評価も。事実、遊んでいて「これはすごい!」と感じたポイントがたくさんありましたので、順に紹介していきます。
位置ゲーあるある「あと数歩問題」を解決したシステム
『Zoic』に限らず、位置ゲーでは、目当てのモンスターを捕獲するために動き回る必要があります。自然と運動になって嬉しいのですが、ときには「困ったな……」というタイミングもあります。「あと数歩進めばレンジインする(捕獲可能な範囲内に入る)のにな〜」問題です。
たとえば、目の前に、滅多に手に入らないモンスターがいる。でも、ほんの数歩届かない。ここを越えると私有地、でもモンスターは欲しい……
普通なら当然、踏みとどまるべきですが、中にはルールを守れない人も。位置ゲーがトラブルを引き起こす、ひとつの要因と言えるでしょう。
その点、Zoicが優れているのは、「一定範囲を自由に移動できること」。プレイヤーの「母艦」を中心とし、そこそこの範囲を動き回って探索できるのです。
この設計のおかげで、位置ゲーの「あと数歩問題」は無事に解決。ルールを守って遊びやすいシステムだなと感じました。
戦略性の高いバトルシステム
冒頭で紹介したとおり、『Zoic』にはスタジアムバトルのシステムも実装されています。
各地域の郵便局が「スタジアム」に設定されており、道場破りを仕掛けたり、最強のチームで防衛したりといった駆け引きが楽しめるのです。
ここで光るのが、各ゾイックの作り込み。遠くから衝撃波を飛ばすゾイックもいれば、大きな頭でダイレクトアタックをかますゾイックもいます。
守りを固めつつ、果敢に攻める。かつ、トータルコスト制限にも気を配る……強敵に立ち向かうには、それなりの戦略と準備が必要になります。
「主将は体力値の高いハルキゲニアにしよう。周りをミクロミトラで固めて……助っ人はフルディアとエーギロカシスだな」
限られたコストの中で、どのゾイックを、どういう陣形で配置するか……。遊べば遊ぶほど、奥深いゲームなのです。
観光地なら、激レアモンスターが見つかるかも?
そして、プレイヤーのワクワク感を募らせるのが激レアゾイックの存在。
公式サイトを見る限り、全国の観光地に配置されているらしく、そこそこのゾイッカー(ゾイックプレイヤーのこと)である私もお目にかかったことがない種がたくさん。
通常種の色違いゾイックも豊富です。レベルが上がると珍ゾイックに出会いやすくなるほか、サーチアイテム(レーダー)を使用して見つけることも可能。
これがほどよいランダム要素で、プレイヤーを飽きさせません。
ずっと欲しかったパンブデルリオンの赤ver(デーモン)が手に入ったときには、満面の笑みを浮かべてしまいました。今後も大事に付き合っていきたいと思います。
攻めすぎたキャラデザイン
と、一貫して『Zoic』の素晴らしさを語ってきましたが、ここまで触れなかったポイントがあります。
「あまりにもキャッチーなデザイン」です。分かってます。ちゃんと説明します。
「口が6つで肛門が1つ」って何?
こちらのシファッソークタムをご覧ください。間延びしたピーマンみたいで可愛いですね。
で、図鑑の説明を見ると……
「口が6つあるが肛門は1つという特徴を持つ」
いやどういう説明? キャラゲーで「肛門」ってワード初めて見た。
ていうか、そもそも目のあるゾイックが少なすぎる。そして足が多い。たまに愛嬌のあるのもいるけど、全体的にクセがすごいんです。
舞台設定にあった通り、ゾイック達はカンブリア紀の古代生物を模してデザインされているんです。
だからというか、ちょっと虫寄りの子が多いんですよね……。それも怖いやつ。いや私は好きだけど、好きなんだけど、シンボラーさんと同じく「コアなファン」向けなのは否めない。いや私は諦めないけど。
やけに凝ったモーションが怖い
デザインだけでなく、モーションも割とすごいんです。
たとえばパンブデルリオンは……
そういう動き方なんだ!? 予想できん。
普通に可愛い子もいるけど(バンフィアとかね)、「お、おう」って動きのゾイックも。裏返ると足が多かったり。
「ARで古代生物を部屋に浮かべる」需要とは?
図鑑に掲載されているゾイック達は楽しく撮影したのち、SNSでもシェアできます。推しゾイックのベストタイミングを好きなだけ粘りましょう。
加えてAR図鑑からは、現実世界にゾイックを召喚することもできます。ワームホールから次々飛び出してくるゾイック達……
怖いな。
なんか「遊ぼ!」ってより、「侵略されてる」感がすごい。虫っぽいビジュアルとあいまって、良くないハーモニーを奏でている。
アノマロカリスやハルキゲニアに至っては、普通にでかい。もちろん私は、そのゾクゾク感がたまらなく好きなのですが、正直なところ人を選ぶかもしれません。
制作者とプレイヤーの愛がつまっている
でもね、何度でも言いたいんです。ゲームとしての完成度はすごく高いんだと。愛されて生まれてきたんだなって感じるんです。驚きの作り込みを見てください。
制作者の愛を感じるゾイック図鑑
再びゾイック図鑑に目を移すと、ご覧ください、各パラメータがこんなにも詳細に設定されているんですよ。
固有スキルやアビリティも凝っていて、モーションと合わせて「本気(マジ)で作ったな」と感じられる出来。
私の最推しゾイックであるマルレラなんか、固有スキル名「ジャッジメント」ですよ。白井黒子じゃん!!
何度も挑んだ、東京駅の「ガレオン」さん
スタジアムバトルも実に奥が深く、強い人には全然勝てない。
名前を出して申し訳ないのですが、思い出深いのは、東京駅を守っていた「ガレオン」さん。何度挑んでも、ついぞ勝てませんでした。東京駅ってのがまたすごい。マジのボスじゃん。
その他、各地のゾイッカーから学ぶことは多く、自分のチームも随分と成長しました。悲しむべくは、誰もチャレンジャーがいないことですが……
更新されず3年、それでも諦めないファンたち
と、このようにポテンシャルだらけの『Zoic』ですが、残念ながら覇権ゲーにはなっていません。それどころか2018年2月のアプデを最後に、アプリの更新はパタリと途絶えてしまいました。
それでも、伝わる人には伝わるもので、私以外にもゾイッカーはいる模様。たとえば……
レビュー欄には熱い思い
App Storeのレビュー欄を見ると、以下のような投稿が。
コアでニッチな最高の位置ゲー
ポケGO・ハリポタのメジャー所も良いですが、水面下で静かに広がるこの面白すぎる位置ゲーも是非周知されてほしい。私はこれがダントツ1番楽しい。別に海洋生物大好きなマニアとかじゃないです。そんなこと関係ないんだ。楽しい。これをリリースした運営さんの愛と勇気と根性にスタンディングオベーション。
過疎ってるが神ゲー
知名度が低く過疎っているが内容は神ゲーすぎる。位置情報ゲーだか一定範囲まで移動できることで家の中でも楽しめる、そしてキャラ紹介も面白い。運営さんにはもっとキャラを増やしてイベントもやってもらってジムも少し変えてくれたら絶対はやると思う
運営さん、なんとか再奮起して下さい!
良い位置ゲーを探している中で最近見つけました。キャラが魅力的で戦闘も奥深く、凄く楽しいです!ただ、いかんせん人が居なすぎる…。
(中略)
そのためには運営さんが盛り上げていかないと無理です!(T_T)
アンモナイトイベントとか博物館コラボとか、面白いこと色々できそうじゃないですか!このまま過疎らせてはアプリがあまりにも可哀想です…。どうかお願いいたします。
口さがないレビューも飛び交うApp Storeで、こんなに熱い言葉に、どれだけ出会えるでしょうか。
「赤いマルレラ」を見るまで死ねない
私もまた、レビュワー達と同じくいつまでも再始動を待つ身です。
もしもこのままサービス終了したら、埋まらぬゾイック図鑑を抱えて残りの人生を過ごす羽目になります。恐ろしい……。
最推しであるマルレラの赤ver. にも会えないままだなんて、悲しすぎます。きっと各地のゾイッカー達も同じ思いでしょう。
最近は唐突に「サービス終了」のお知らせが出るのではないかと、ビクビクしながらアプリを開いています。
いつか来るXデーの前に、たった1週間でもいい、復活してくれることを祈るほかありません。
「2021」のコピーライト表記に願いを込めて
『Zoic』の最終更新から3年。画面サイズも、iPhoneXSくらいから合わなくなってしまいました。
それでも、公式サイトのコピーライト表記は「2021」になっているのを確認。復活の可能性はある、そうですよね?(同社のサービス一覧からは消えているけど、諦めません!)
「少なくともここに1人、ファンがいるぞ!」と伝えたくてこの記事を書きました。みなさんも今すぐ『Zoic』をインストールしてください。そして遊んでください。
渋谷上原郵便局「おしゃれな道化師スタジアム」にてお待ちしています。
追記:2021年8月27日
今日はもう仕事休むhttps://t.co/xIIXntAeV5
— 夏野かおる (@Natsuno_Kaoru) August 27, 2021
(執筆:夏野かおる)