初めまして、チオールと申します。
突然ですが、皆さんは「◯×ゲーム」をご存知でしょうか。
知らないという人は試しにググってみてください。
ググると、いきなり勝負を挑まれます。しかもルール説明はありません。
さて、Googleですら「ルール説明しなくても分かるよね?」という態度をとるぐらい有名な◯×ゲームですが、私は一つ疑問に思っていることがあります。
それがこちら。
実際にプレイしたことのある人ならわかると思いますが、
- 盤面が小さく、ゲーム展開のパターンが少ない
- 一方が変なミスをしない限り、必ず引き分けになる
という特徴があり、楽しいと思える要素が見当たりません。
というわけで、◯×ゲームをアレンジして面白くしてみたいと思います。
「m,n,k-ゲーム」を活用して、◯×ゲームを面白くする
※注意※
ここからちょっとだけ難しくなりますが、ゆっくり噛み砕きながら読めば楽しめると思います。
既存のアレンジルールについて調べていたら、こんなページを発見しました。
m,n,k-ゲームとは、◯×ゲームの盤面を「m×n」に拡張し、勝利条件を「k個並べる」に変更したゲームです。
五目並べを一般化したようなものですね。今回はこれを活用していきましょう。
またこの記事では、盤面のサイズや勝利条件などの小規模のアレンジルールを「オプションルール」と呼び、大規模なアレンジを「フレームルール」と呼びます。
オプションルールは、フレームルールの中に組み込めることとします。
また今後の利便性を考慮して、オプションルール1個ずつに対してアルファベット1文字の略称を設定します。
オプションルール
F:盤面サイズ変更
m,n,k-ゲームでのmとnの値を変えることです。
以下、「盤面をm×nにする」というオプションをFm,nと表記します。
C:勝利鎖長変更
m,n,k-ゲームでのkを変えることです。
以下、「n個並べたら勝ちとする」というオプションをCnと表記します。
P:プレイヤー数変更
通常の◯×ゲームは2人用のゲームですが、特に大きな修正をせずとも3人以上に拡張できます。
ただし◯と×では記号が足りないので、記号の種類を増やすか色分けをするなどの修正が必要です。
以下、「プレイ人数をn人にする」というオプションをPnと表記します。
【補足】
- オプションルールとフレームルールに厳密な違いはありません。料理の味付けで言えば、主軸の味と隠し味のようなものです。
- 発展性を考慮して、ルールには故意に曖昧さを残した部分があります。実際に遊ぶ際は説明をよく読み、プレイヤー同士で相談して詳細なルールを決めてください。
- 筆者には友達が1人もいないので、テストプレイはすべて1人で行っています。そのため、戦略性などの分析に誤りがある可能性があります。
さて次は、これらのオプションを乗せる枠組みとなるフレームルールを紹介していきます。
フレームルール
逆◯×ゲーム
- コンセプト
なるべく小さな変更で、戦略性が大きく変わるようなルールとして考え出しました。
- ルール
「逆◯×ゲーム」は、◯×ゲームの勝利条件を「列を作ったら負け」に変えたゲームです。
例えば以下の盤面では、通常であれば◯の勝ちですが、「逆◯×ゲーム」では◯の負けになります。
- オプション
CオプションとPオプションを入れると列ができにくくなるため、Fオプション(盤面サイズ変更)だけで遊ぶと良いかと思います。
なおマス目の総数が奇数個の場合、記号を1個多く書かなければならない先手が不利になってしまいます。
そのためFm,nのmとnのうち、少なくとも一方は偶数にしたほうが良いでしょう。
- 戦略性
通常の◯×ゲームでは「ここを取った方が列を作りやすい」「ここを取らないと負ける」といったような比較的単純な読みで戦略を立てることができます。
しかしこのルールは戦況の有利/不利の判断が難しいので、より高度な先読みが要求されます。
共有◯×ゲーム
- コンセプト
「逆◯×ゲーム」と同じコンセプトで、なおかつオプションと組み合わせやすいルールを目指しました。
- ルール
通常の◯×ゲームでは各プレイヤーに対して1つずつ「記号」が割り振られますが、「共有◯×ゲーム」では全ての記号を全てのプレイヤーが共有します。
つまり各プレイヤーは自分の手番でどの記号を描いてもよく、「列が完成すれば記号の種類に関係なく勝ち」となります。
- オプション
最初の説明にある通り、Pオプション(プレイヤー数変更)は「記号は1人につき1種類ずつ」という前提で使用します。
しかし共有◯×ゲームではその前提が不要なので、このフレームルール限定のオプション「記号追加」を導入することができます。
後述のものを含む他のルールであればプレイヤー数と記号の種類数は同じですが、共有◯×ゲームでは「3人で記号2種類」や「2人で記号3種類」のような変則ルールで遊ぶことも可能です。
- 戦略性
オプション無しの場合は「逆◯×ゲーム」と同じく “相手のミスを待つ” という消極的な戦略になりがちです。
一方でCオプション(勝利鎖長変更)をつけた場合は、「列ができそうな部分を増やす」という積極的戦略をとることができます。
◯×ドミノ
※ドミノ[名]
(1):サイコロの目が2つ描かれた牌を使用するゲーム。
(2):1×2の長方形。
(3):板状の物体を並べ、連鎖的に倒す遊び。
- コンセプト
通常の◯×ゲームではひたすら相手の妨害をすることになりがちなので、自分の1手が相手にとって有利になり得るようにしました。
- ルール
通常の◯×ゲームではプレイヤーは自分の記号を1個ずつ配置しますが、このルールでは◯と×を両方1個ずつ、同時に、隣り合うように配置します。
つまり1回の手番で、◯と×を組み合わせた長方形をつくることになります。
(先程のGif画像では、同時に配置した記号の組み合わせが分かるように黒枠で囲んでいます)
- オプション
ゲームとして成立させるには、おそらくFオプションによる盤面サイズ拡張が必須です。
また、記号が2種類であることを前提としたルールなので、Pオプションを導入するには「異なる記号を2個選んで配置する」等のような調整が必要になります。
- 戦略性
通常の◯×ゲームでは「自分が置いた記号は、常に自分にとって有利に働く(邪魔にならない)」という性質があるため、必ず先手が有利になります。
しかし◯×ドミノ(P無し)の場合、盤上にある◯と×の数が常に等しいため、このような格差は生じなくなります。
戦略性の違いは、Cオプション無し、つまり「記号が3つ並んだら勝利」のときが特に顕著です。
例えば以下のように、1手目で真ん中を取ろうとして後手の記号(×)を壁から離れた位置に置いてしまうと、その時点で負けが確定します。
よってこのルールでは、枠の外側から埋めていくのが定石となります。
壁無し◯×ゲーム
- コンセプト
通常の◯×ゲームは3×3の枠を書くことから始まるので、枠を書くこと自体をゲームに取り入れてみました。
- ルール
ゲームを始める前に、まずは初期配置を決めます。
配置は上の図の通りでなくても大丈夫ですが、最初は少なくとも1つの「壁(黒い線)」を描きます。
各プレイヤーは自分の手番において、記号を描く前にマス目の線に沿って壁を描きます。壁を描く場所に制限はありませんが、1回の手番で書ける壁の数は3つまでです。
壁を描き終わったら次は記号を描きます。ただし、記号を描ける場所は壁で完全に囲まれた領域の中だけです。なお、壁に囲まれてさえいれば1手で何個でも記号を描けることとします。
- オプション
複数取りにより列が作りやすくなるので、CオプションとFオプションを両方入れると楽しいと思います。
また、このルール限定のオプションとして「壁色追加」というものを考えることができます。
各プレイヤーが描く壁の色を、記号の色と同じにして、「その領域を囲む壁の色の中で、自分の色が一番多い領域にしか記号を描けない」とするオプションです。
このオプションを使用する際は、「壁だけ書いて記号を描かずに手番を終えてよい」というルールを追加すると戦略が変わって面白いと思います。
ただし、壁色追加とPオプションを同時に使うと列がかなり作り辛くなり、最悪ゲームが成立しなくなる可能性があります。
- 戦略性
通常の◯×ゲームとの最大の違いは、記号を描ける場所が常に制限されることです。
既に壁が1つ以上描かれているマスにしか記号を描けないので、例えば「斜めの列が完成しそうなのに壁が無いから記号を置けない」という状態が発生し、逆にこれを利用することで妨害がしやすくなることもあります。
ぷよぷよ式◯×ゲーム
- コンセプト
なるべく少ないオプションで、特にFオプション無しで遊べるルールを目指しました。
- ルール
通常の◯×ゲームでは一人のプレイヤーが列を完成させれば終わりですが、「ぷよぷよ式◯×ゲーム」ではゲーム終了までに作った列の数を競います。
そして、完成した列は盤上から消去します。
基本はこれだけですが、「全てのマスが埋まっている時のみ、既に置かれた記号を別の記号に書き換えてもよい」というルールを追加することで、3×3の盤上でも遊べるようになります。
なお、ゲームの終了条件は「10点先取で終了」「20手で終了」のように、色々なパターンが考えられます。プレイヤー同士で事前に話し合って、好きなように決めてください。
- オプション
「なるべく少ないオプションで遊べるように」とは言ったものの、オプション有りでも楽しめると思います。
ただし、勝利鎖長を長くすると列が作りにくくなり、「列を作りまくる楽しさ」が損なわれるため、Cオプションは相性が悪いです。
試してないのでわかりませんが、F5,5とP3かP4あたりを入れてワイワイするのが一番楽しいのではないかと思います。試してないのでわかりませんが。
- 戦略性
このルールでは盤面の変化が激くなるため先読みが難しく、戦略を立てるのは通常よりも難しいでしょう。
しかし、通常ルールとは違い「小さなミスで即負け」ということが起きにくいため、あまり深く考えずに遊んだほうが楽しいと思います。
全部乗せ◯×ゲーム
- コンセプト
ルールのパターンが沢山あるのなら、それを活かしてルールを組み合わせたり切り替えたりして遊ぶこともできるのではないかと考えました。
- ルール
未定
- オプション
不明
- 戦略性
不明
見ての通り、全部乗せ◯×ゲームは未完成のゲームです。
よって、この記事を読んで「全部乗せ◯×ゲームで遊んでみたい!」と思った人は、ほとんどゼロに近い状態からルールを作る必要があります。
最後に
私がこの記事を書くに至った理由として、「 “遊びを作る” という体験を提供したかった」というものがあります。
各ルールにオプション等で自由度を持たせたのはそのためです。
また、オプションとフレームの区別を曖昧にした(=フレームどうしを組み合わせられるようにした)のは、全部乗せという一つの到達点を作るためです。
というわけで、この記事を読んだ方は紹介したルールでただ遊ぶだけでなく、いろいろなオプションで遊んでみたり、新しいフレームルールを考えてみたりしてください。
そして、あなたの手で全部乗せ◯×ゲームを完成させてください。
それでは、さようなら。
(執筆:チオール)